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まだこの頃はフォルテのこと「お兄さん」って呼んでないっすねキング…
「どうだい?なかなかかわいいだろう!」
どやっといった顔で言うキングのその姿はかなり小さかった。
ロックマンと同じぐらいだろうか、ご丁寧にカラーリングは金色ではなく紫で振り分けている。
「可愛いですキング!可愛いです!」
マジックがはしゃいでいる。
もしかしてこいつショタコンなんじゃないか、とバーナーは思ったが胸の内に秘めた。
流石のバーナーも今の面倒くさいをより悪化させたくなかったのだ。
「キング、なんでンなちっこくなったんです?」
「あぁ…収入がかなり減ってしまったからね、少しでもエネルギーの節約になればと思って
子型のボディを作ってみたのだよ。何百キロも違うと流石に身体が軽いね、ハハハ」
言いながらマントを靡かせてくるくる回るキングは可愛い。
「金ぴかの方はメンテルームに置いてるんですか?」
「あぁそうだよ。寝ているからって性的なイタズラはよしてくれたまえ」
「ココのメンツがそんなモラルあると思っているんですかキング」
「思ってない」
キッパリ答えてカラカラ笑う。
イタズラされても飼い犬に噛まれた程度にしか思っていないから仕方がないのだ。
「よーし、この姿で可愛こぶりっこしてロックくんに優しく接してもらおう」
「邪悪…」
「おいクソ金ピカ野郎!邪魔すんぞ!!!」
『!!!?』
乱暴にドアが開いたかと思えばフォルテとゴスペルがズカズカと入ってきた。
「フォルテ君、ここは駆け込み寺じゃないのだよ」
「あぁ?なんだテメー。そのふざけたボディは」
フォルテはキングを見て目を細める。
「時代はコスト削減なのだ。」
「はー?」
「我々改心いたしましたから資金源がなくなってしまいましてね。
ぶっちゃけお金ないんです」
マジックが簡潔に説明する。
「ゲッ!お前ンとこもジジイの二の舞かよ!俺のメシどーなんだよ!!!!
俺は育ち盛りなんだぜ!?」
「それをいうなら俺だって育ち盛りだぜ!なぁキング!!!!」
「そこで何故張り合うのかわからないけどバーナーくん、フォルテ君も…君たち体は育たないだろう。
燃費の悪さは普段の生活の悪さだ。私の計算だと君たちそんなに燃費が悪い方ではないのだけどね?」
「大方喧嘩でエネルギー減らしてるんでしょう…」
「ふん、俺は強いからな。売られた喧嘩は買う。あー、仕方ねぇなぁ…ロックマンのところへいってメシをたかるか…」
ゴスペルと合体するフォルテ。
「フォルテくん!いっしょにいこう!」
「なぁ!?」
キングがフォルテの背中に飛び乗る。
「キング!!?」
「留守を頼むよマジック、バーナーくん」
「離れろてめぇこの!ゴスペル!フルスピードだ!!!振り落とすぞ!!!」
ギャーギャー喚きながらフォルテとキングは窓から飛び立っていった。
「な、なにがしたいんだキングは」
「…オニイサマと遊びたいだけでしょう、あれは…」
「いい年して」
「まぁフォルテさんより若いですけど。稼働時間だけ見れば…」
****
「いやぁ私まで呼ばれてしまってすまないねロックくん。
なかなかスリリングな飛行だったよ」
お菓子をもぐもぐ食べながら喋るキングの横でフォルテはぐったりと項垂れていた。
「振り落とせなかった…なんなんだこいつ」
「誰だって落ちたら壊れてしまうのだよ?必死にしがみ付くさ。あぁロックくん、紅茶をおかわり」
「キングがそんな姿になってるのビックリだよ…」
キングのカップに紅茶を淹れながらロックは呟く。
「ふふふ、なかなか可愛らしい姿だろう?少し気に入ってるんだ。
どうかな?兄弟に見えるかな?」
フォルテに寄り添って問いかけるキング。
「あー、うん」
ロックは少し困った表情を浮べながら。
「(頭の空気抵抗がありそうな装飾とかが)似てると思うよ」
「わぁい」
「なにがわぁいだコイツ!」
「いひゃい」
フォルテはキングのほっぺを抓る。
「お前だたロックマンの菓子を食べたかっただけだろ!?」
「それ以外に何があるんだい?」
「俺はお前のタクシーじゃねぇんだよっ!」
「あんな乱暴な飛行でタクシーだなんて他のタクシーに失礼だとは思わないかね?
ところでフォルテ君、今日はこのままロックくんの家でお泊りとかしないのかい?」
「しねぇよ!!!」
「な、なんだってーーー」
キングは涙ぐみながら
「私は期待していたんだ、ロックくんの家でお泊りできると!フォルテくんと一緒に!」
「僕は別にかまわないよ、フォルテも泊まりなよ」
「な・ん・で・だ・よっっ!!!!!!!!」
テーブルを叩きながら叫ぶフォルテ。
「キングが可哀想だし、楽しみにしてたんでしょう?たまにはいいじゃない」
「俺はお前のトコロにごろごろエネルギー置いてるから来てるだけであって
お前と馴れ合うために来てるんじゃねぇんだよ!」
「困るよ…エネルギーごろごろ置いてないし、ライト博士の収入で成り立ってるのに…
フォルテ、この世にタダなんてものはないんだよ。覚えておいた方が…」
「そうだな、君は一度生産関連について知識を高めるといい」
「お前らムカツク!!!!勝手にしやがれ!!!」
フォルテは立ち上がってそのまま部屋を飛び出す。
「フォルテ!夕飯までには帰ってきてねー!!!」
ロックはフォルテを見送りながらそういう。
「…かえってくるかなぁ」
「来るだろう、私がここにいるからね」
「キング、フォルテと仲良くなりたいの?」
ロックはキングの横に座りながら問いかける。
「そう見えるかい?」
「なんだか甘えてるように見えるから」
「正解だ。ま、それを口実にして君と接触しているだけかもしれないよ?」
「全部ひっくるめて事実、かな?」
「ノーコメントだよ」
キングは呟きながら、紅茶を飲み干した。
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