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 目の前にバーナーの顔があった。
        
         見下ろしているように見えるが、ふと沸いてくる違和感。
        
         喉の奥が熱い。
        
        「キング、気がつきましたか」
        
         バーナーは淡々とした声色で話しかけてくる。
        
         声が出ない。
        
         声を出そうとすると雑音のような音が漏れる。
        
        「キング、見てください。真っ赤です。」
        
         バーナーが腕を動かす。
        
         視界が回って周りが見えた。
        
         森が燃えている。
        
         赤い。
        
         炎の赤。
        
         そこでやっと、キングはバーナーの腕の中に抱かされいることに気づいた。
        
         首から下の感覚が無い。
        
         バーナーから数本コードやケーブルを接続されていて、そこからエネルギー供給を行われているようだった。
        
        『バーナー』
        
         信号を送る。
        
        「なんですか」
        
        『ワタシ ノ カラダ ハ イッタイ ―――』
        
        「……」
        
         バーナーはキングの首を自分に向けさせる。
        
        「安心してくださいキング。きちんと燃やしました。燃え難かったけれど」
        
         ゆるやかな笑顔を浮べる。
        
        「これから一緒に全部燃やして行きましょう」
        
        
        
         ごぅ…っとバーナーの右手から緑色の炎が吹き上がる。
        
        
        
         喉の奥が熱い。
        
         熱さのせいなのか、首が切断されているための痛覚回路のエラーか。
        
        
        
         バーナーは何を望んでいるのだ…
        
        
        
         褒めて欲しいのか
        
        
        
         しかって欲しいのか
        
        
        
         あぁ、わからない。電子頭脳が働いてくれない。
        
         エネルギーが足りない。
        
        「キング、眠いんですか?寝ないでくださいよ。
        
         ずっと俺を見ててくださいよ。ねぇキング……俺がんばってるんです」
        
        
        
         まどろんでいく意識
        
        
        
         あぁ、見ていてあげたい…バーナーを見ていてあげたい
        
        「キングが起きてからまた燃やすから。おやすみなさい」
        
         バーナーはスリープモードに移行してしまったキングの首を抱きしめ呟き、口付けをする。 
        
        
  
 
 
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