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ある日。
シャドーは絶句していた。
「あ、シャドーお帰り。ごはんだぞー手を洗えー」
マグネットが緩やかな笑み(マスクで解らないが)を浮かべながら言う。
「なんでござるかこのお赤飯は…」
食卓に並ぶ料理―――いつも真っ白いゴハンなのに今日はお赤飯だ。無茶苦茶目立つ。
「ジェミニがねっ!シャドーに恋人ができたっていうからお兄ちゃんお祝いしたくなって!!」
「ジェミニ殿ぉ!!!!」
「なんだ?マグネットに世間話をしただけだぞ」
「恋人ってなんじゃあああ!!!」
「えー、恥ずかしがるなよ。シェードと進展あったのは確かだし」
シャドーに応えながらジェミニは自分の分のお赤飯からお豆だけを寄り分けている。
「…豆食えよ」
スネークが横から口を挟む。
「豆の食感と味が嫌いだ」
「偏食過ぎる。おいタップ、こいつの豆食ってやれよ」
「えーやだよ、スネークが食べてやんなよー」
「年中有休のくせに役に立てよ。ほら豆ってなんか正月つながりっぽくてお前に関連付けされるだろ。」
「関連しないし。マグネット、ジェミニの偏食怒らないの?」
「ジェミニちゃんはいけない子だなーははは」
「全然怒ってないよそれ!なんでジェミニに対して無茶苦茶甘いんだよ」
ため息を吐くタップ。
「綺麗だからねぇー」
「ふ、ふふ、だろう?そうだろう?俺は綺麗だろう?美しいだろう?完璧だろう?」
ほわほわオーラを出すマグネットに対し、ジェミニは病的なオーラを出しまくっている。
なんだか次元が違いすぎて空間が歪みそうだ。
「ほらシャドー、早く手を洗っておいで。冷めちゃうよ」
「うぐぐ……」
◆◆◆◆
シェード城(という名の前衛基地)にて。
「シェードぉ!いざ尋常に勝負でござるー!!!」
「今日も元気だなぁ先輩」
突如現れ、シャドーブレードを構えながら走ってくるシャドー。
シェードは目を赤く光らせ石化光線を放つがシャドーはそれを避けてブレードを放つ。
飛び上がってシェードのもとから外れるブレード。
「今日は一段と気合がはいっていますねぇ」
「性欲は欲求不満の一つだと聞いたでござる、つまり戦闘をすれば欲求を消化できるはず!」
「そうだといいですねぇ…」
「お前も俺も戦闘用!戦闘をしていれば満たされるはずだ!拙者賢いでござる!」
クラッシュノイズを避けながら、シャドーは跳ぶ。
「至近距離なら避けれまい!」
「っ…」
ブレードが羽に突き刺さり、安定性を失ったシェードは地へ降下する。
「もらったぁ!」
「…」
シェードの赤い目がシャドーを射る。
石化光線をまともに喰らってしまった、体中の神経回路が麻痺し身体が硬直する。
すかさずシェードはシャドーに向かってバスターを向けた。
「ぐああああ!!!」
クラッシュノイズを受けて、シャドーは後ろへ吹き飛ばされる。
「さぁ、立てシャドーマン。オレ様もお前も戦闘用だろう?戦って戦ってそして壊れろ」
笑みを浮かべて言うシェード。
その笑みはいつもの紳士さはなく、ただただ『邪悪な』という言葉が合う笑みである。
スイッチが入るとシェードはこうなる。
このシェード城のボスとしてのシェードになる。
シャドーは口内のオイルを吐き捨て、ニヤリと笑った。
「壊れるのは、お前の方でござる!」
お互いなりふり構わず戦い続けて、先に動けなくなったのはシャドーだった。
「う、ぐ…」
体中がバラバラに裂けそうに痛い、口からオイルが漏れる。
「はぁー…はぁー……」
鋭い目つきのシェードは視線をシャドーに固定したまま、フラフラと近づいてくる。
彼も身体が動かしにくそうだ、仕方がない。ブレードには機能をおかしくする毒を仕込んでいるのだから。
シャドーのもとへたどり着くと、シェードはバスターを向けた。
(あれ、これマジでヤバいかなぁ……)
シェードは果たして理性が残っているのだろうか。
このまま撃たれたら、本当に壊れてしまうかもしれない。
あぁ、でも本気でシェードを壊そうと思っていたし、これはこれでいいんだ―――
「…?」
シェードのバスターが消えて普通の手になり、そのままシャドーの首を掴んだ。
「む…ぐ…」
「…」
メキメキと首が悲鳴を上げ始める。
「がっ…しぇ、…ど……」
ロボットなので人間のような窒息といったことは起きないが、発声回路や電子頭脳へ繋がる神経回路がエラーを起して痛い。
「熱くて…」
シェードは囁くように呟きながら、シャドーに顔を近づけてくる。
「貴方に傷つけられた箇所が熱くて痛いんです…」
「シェード…」
キスをされる、唇が触れるだけのキスだ。
そしてシェードの舌が口から溢れ出ているオイルを拭うように舐め取る動きをする。
口調は普段のものになっているが、シェードの目はまだ鋭い、恐らくまだ切り替わっていない。
しかし彼は彼なのだ、自分と違ってこれも彼の一部分で―――
ぐいっとマフラーをずらされ、首を露出させられる。
「うぐ!?」
首筋にシェードの牙が突き刺さる。噛み付かれた。
遠慮なく思いっきり食い込み、吸血鬼を模してあるので通常より長い牙は容易に傷つけてオイルが溢れ出る。
「シェー、どっ…」
抵抗しようとした瞬間、シャドーは悲鳴を上げた。
全身からエネルギーが急速に失われていく。
シェードがエネルギーを吸い取っているのだ。
「あ、あぁぁぁぁぁっ!!!!!?」
噛まれている首筋が熱い。
全身が痛みではなく痺れるような感覚に襲われている。
「ひ、あっ―――」
耐え切れず強制シャットダウンに入るシャドー。
その感覚はまるで性行為時の絶頂に似ていた。
◆◆◆◆
メンテナンス室にて。
「変態紳士」
「えー。直してあげたんですからもう許してくださいよ」
いつもの調子でシャドーにいうシェード。
シャドーはメンテナンス台の上で首を撫でながらムスっとしていた。
「ほら、トマトジュースあげますから機嫌直して?」
「拙者の機嫌がこんなもんで直ると思ったら大間違いだ!」
言いながらシェードからジュースを奪い飲みはじめる。
「まだ首がおかしいですか?」
「いや、別に……」
シェードに背を向けるシャドー。
「きちんと治っているはずなんですが…」
シャドーの手を掴み首から離して、シャードはその首を撫でる。
「んぅ!?」
「あれ?もしかして先輩って首が敏感?」
「そんなことないでござる!あまり調子に乗りやがるとお仕置きでござるよ!」
「わぁ!?」
シャドーに押し倒されるシェード。
「トマトジュースプレイをしてやる…!」
「なんですかソレは」
「口移しで飲ませてやるでござるよ?」
「メリットとデメリットがよくわかりませんねそれ」
「メリットはお前の情けない顔が見れることじゃああああ!!!」
むぎゅっとシェードの頭を押さえつけ、シャドーはトマトジュースを口に含むとそのままシェードにキスをする。
「んっう、んんっ……」
舌と、オイル混じりのジュースが入り込んでくる。
吐き出すことも許されず、ゴクンゴクンと飲み込む。
「はっ…あ……」
「はぁ…」
顔を離すシャドーの舌から糸が引く。
「エロ顔」
「してないです、シャドーさんのほうがいやらしい顔だと思います」
「まだそんな口が利けるか!」
「や、ちょっ…やめ、シャドーさ、んっ……!!!」
ジュースが尽きるまでされ、シェードはぐったりしていた。
顔も赤いし涙目で、普段の彼とはまったく違う。
「もー反省してるんで勘弁してください」
「…さすがに興奮しているな、これで興奮してなかったら少し考えてしまうところだった」
「!!?」
シャドーが股間あたりをさわさわと撫で始めるので思わず身を起すシェード。
「ダメですって!ダメ!!」
「抜くだけだ」
「そこまでしていただかなくてもいいんですけど!?」
「ははは、お前の焦る顔が見たいだけでござるよ!さぁイクときの顔はどんな顔なのかな!?」
「もうヤダこの先輩、鬼畜すぎる」
「変態が何をいうか」
シャドーは楽しくなってきたのか、ご機嫌な様子でシェードのナニを取り出すと口に咥える。
「うっあ、あぁ……」
「ん…」
「あの、シャドーさんっ…」
「んー?」
口に含んだまま声を出すのでゾクゾクとした快感に思わず震えるシェード。
「このまま最後までしませんよね…?」
「…するけど?」
「遠慮します!」
「遠慮しなくていい、拙者に身を委ねておけ。あぁ、恥ずかしいのか?別にかまわないではないか。
遠慮なく!大きな声で!喘ぐといいよ!」
「お断りしますーーー!!!」
ギシギシとメンテナンス台が壊れそうな音を立てている。
二人分の体重はさすがに重量オーバーなのだろう。
「っ…う、っ……」
「声、出さないんだな…」
シェードを見下ろしながら言うシャドー。
「もしかして拙者のを感じない?」
「いえ、そんな、ことは…」
「だったらもう少し声を…あ、そうかお前の感じる場所を探してやる」
言ってシャドーは、止める間もなくシェードの脚を押さえたまま腰の動きを変えた。
「んっ…ひぅっ…!!」
「あ、ここでござるかー」
「ひぁっあぁぁ……あぁっ……!!」
涙と口内オイルを垂らしながら身悶える。
「あー、スネーク殿は奥が好きだったからついその癖で攻めてしまっていたでござるよー。
シェードはここがイイんだな?」
鬼畜な笑顔で囁くシャドー。
シェードが睨んでくる。
その視線にゾクゾクする。
「拙者の首、噛んでもいいぞ?声が抑えられる」
「はあっ…」
ガギリッ…と鈍い音とともに牙が食い込む。
「いいな、共食いみたいだな…」
シャドーは小さく呟きながら、喉の奥で笑った。
◆◆◆◆
「酷い先輩」
「拙者は酷いよ」
「はぁー」
シェードは深くため息を吐いて、シャドーを見る。
「貴方に惚れたらどうするんですか」
「思いっきりフってやるから安心しろ」
「貴方、中途半端に私に優しいから勘違いしちゃうかも」
「そっちの都合は拙者は知らぬ。」
「酷い先輩。あ、でも貴方が私に惚れたら、私はどうしようかなぁー」
「それはない」
「ふふ、そうですかぁ?」
笑みを浮かべるシェード。
「噛まれるのがお好きみたいですけど?」
「別に好きじゃない!」
首を押さえながら叫ぶシャドー。
「ふふ、そういうことにしておきますね」
「ぐぬぬ…」
「仲良いじゃん」
サーチスネークから送られてくる映像を眺めながら、スネークは呟く。
「シャドーのデレ期が到来してるな」
「あいつマジ反応が中学生だったもんな」
「今でも中学生だけどな、コウモリは大人だからバランス取れるだろ。」
ジェミニはドーナッツを食べながら言う。
「なんか援助交際に見えてきた…」
「犯罪くせぇ……」
スネークとジェミニは相変わらずだった。
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