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「トードぉぉぉぉぉ愛してるぅぅぅお前に夢中だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ずぼぁぁぁっと土の中から飛び出してくるスネーク。
トードは咄嗟に素早い動きで手に持っていた鍬を突き出した。
ごきっ…
スネークの股間にクリティカルヒットし、スネークは倒れた。
「ハッ、す、スネーク!大丈夫ケロォォォ!!!?オラ、思わず!!
きっと戦闘用に改造されたときの後遺症ケロよぉぉぉ!!!!」
「に、人間だったら俺、今頃女の子になってたよ…」
涙目ながらも顔をあげるスネーク。
生きてた。
ホっとするトード。
「おめーも懲りないケロねぇ。オラ今から仕事だから行って来るケロ」
「はぁいvいってらっしゃーいvv」
手を振って見送るスネーク。
「……あれ!?違うよ、俺まだお前の新妻じゃねーよ!?待ってトード、もっとお話しませんか!?ねぇ!!!ちょっと舐めさせてもらえればそれでいいからぁー!!!」
お昼タイム。
ずっとにやにやと笑顔を浮かべてトードを視姦…もとい、眺めていたスネークはお昼タイムになった途端トードを呼んで横へ座らせた。
「トード おまえのために はやおきしておべんとうつくってきたんだ」
おにぎりの入ったお弁当箱を出してくる。
綺麗に握られているおにぎり、そのほかのおかずも入っている。
「おめーが作ったケロか!」
「そうだよ、初めて作ったけどなかなか上手いだろ?俺手先の器用さには自信あっから。
ちゃんとおにぎりの熱を取ってから弁当箱に入れたし抗菌作用のある梅干も入れたしトードがお腹壊したらいけないから生野菜は避けて加熱したものだけを―――」
「気持ちは伝わってきたケロ…もういい、もういいケロ…」
「そ、そうか?」
(結構 神経質っぽいケロ…普段本能の赴くままに動いてるくせに…)
「頂きますケロー」
もぐもぐと食べ始めるトード。
「美味いケロ!スネークは良いかみさんになるケロよ~」
かぁぁっと顔を赤くするスネーク。
自然と女の子のような座り方になってるしもうこの場にジェミニがいたら「マジきめぇ」とか言われていただろう。
「う、嬉しいなぁ…トードにそう言われると……」
「スネークは食べないのかケロ?」
「お、俺?俺は、俺…」
スネークの目の色が変る。
「お、おれ…トード、がっ…!!」
「ケロォ!!?」
押し倒されるトード。
体格差がありすぎるので抵抗もできない。
「うっうぅぅ……ご、めん…」
何とか本能を押さえ込んだようだ。
トードから手を離す。
「トードを食べれるわけ無いんだ…俺の顎は本物の蛇のように顎の関節が2つあるわけじゃないし…丸呑みは儚い夢」
「夢で終ってよかったケロ」
「トードは俺を克服できたのに俺がこの本能を克服できないでどうするというのか!」
「まだオラも怖いケロ。でもスネークが頑張ってるのにオラだけ逃げるのもダメだからケロ」
「と、トードかっこいい…!!!」
ぎゅうっとトードを抱きしめるスネーク。
だらだらと涎が垂れてくるが。
「スネーク…涎が……」
「うぉぉこの身体めぇぇぇ俺の理性に制されろぉぉぉぉぉ」
「ケロぉ…仕方が無いケロ、少しずつ変えていけばいいケロよ…。明日も昼飯もってきてくれるケロ?」
「もちろん!!」
「楽しみケロ」
「安心してくれトード、ちゃんと365日分のレシピを考え、そのレシピも栄養が偏らないように考慮した―――」
「わかった、わかったケロ…」
スネークを制するトード。
さすがサードの頭脳というだけあってか、それとも神経質な性格が祟っているのかべらべらと理屈っぽいことを喋り始めるクセがある。
普段はこんなにお喋りではないそうなのだが…。
スネークとであったのは、カリンカお嬢様が人質に取られて自分たちが戦闘用に改造される前後だった。
紅い目をギラつかせて、鋭い眼光で見つめてきたのを覚えている。
恐ろしくて身が竦みあがってしまったが、あれは敵意を剥き出していたのでも悪い性格だったのでもなく、蛙を見て食べたくなっちゃったのを必死に押さえていたのだ。
任務中だということで押さえ込んでいたのだろう。
第四次世界征服も失敗に終った今、こうやって堂々と接触してくる。
本当なら接触を避けるどころか警察に通報モノであるが悪さをしに来ているわけではないし…とコサック博士に言われて彼の存在は黙認されている状況なのだ。
実際のところは、スネークとの何気ない会話からDWNの情報を得ようという企みもあるのかもしれない。
しかしスネークも頭がいい。
そういう内情は解っているのだろう、自分の話ばかりしてきてDWNの情報が入ってこない。
「じゃあなトード、また明日!」
元気よく手を振ってスネークは去っていった。
「明日はどんな弁当か楽しみケロー」
ふふふ、とトードは楽しそうに小さく笑った。
◆◆◆◆
ジェミニの部屋。
「はぁー、はぁー…ヤバかったぁぁぁぁぁぁ」
スネークは息を切らせつつ、ジェミニに抱きついていた。
「キモいんだけど。排気吹きかけてこないでくれる?」
「ヤバかったんだよオニイサマぁ!もうちょいでパクっと齧っちゃうところだった!」
「齧ってしまえよ。スプラッター嫌いじゃないぜ?」
「お前は好きなんだろうが俺は嫌だよ!!」
グロ好きなジェミニに叫ぶスネーク。
「あ、トードに「良い奥さんになれるね☆ミ」って言われちゃったぁぁぁぁvvvv」
「あ、そ。お前男性型だろ。去勢してこい」
「もっと興味持てよ。俺がトードの話をしてるんだぞ」
「うぜぇ、シャドーのところ言って来い」
「残念だったな。シャドーのところへ行った後ここへ来たんだぜ」
「くそぉ…」
舌打ちするジェミニ。
どうして蛇と蛙の話を聞かされなくてはならないのか…。
「てかさぁ、トードと仲良くなってどーすんの?お前アッチに行きたいわけ?
俺的にはそれでいいんだけど。きめぇお前見なくて済むし」
「…あ」
間抜けな声を上げるスネーク。
「お、俺…何も考えてなかった!」
「はははバカがいやがる。死ねばいいのに」
「どうしよっか、オニイサマ」
「……」
ジェミニはずっと鏡の方に向けていた視線をスネークに向ける。
「俺には関係ない」
「いやそうだけどさ。今の俺じゃ冷静で客観的な判断が出来そうにない」
「それを求めるんだったら俺も無理だ。今の俺はトードに浮かれるお前に嫉妬しているから冷静な判断は期待できないぞ」
「俺モテモテじゃねぇか。顔はこんなんでも身体はエロいしな」
にやにやするスネーク。
「頭だけモゲてしまえばいいのに」
「スプラッターやめろ。あー、参ったなぁ…」
「お前は」
ジェミニはスネークの頬を撫でる。
「トードに対して何を抱いて何を求めているんだ?」
「……何だろう、本能の赴くままに接しちゃったから」
スネークはジェミニの手を握る。
「でも俺はずっとDWNでいるよ。ここしか居場所がねぇし」
「そうか、残念だ」
◆◆◆◆
しばらくスネークの弁当の差し入れが続いた。
「今日も美味かったケロ。ぽかぽかして良い陽気だし少し昼寝でもするケロ?」
「昼寝?いいのか仕事は」
「大丈夫ケロよ。スネークは真面目ケロね」
こてんと転がるトード。
スネークも横になる。
「…スネーク、聞きたいことがあるケロよ」
「何だ?」
「スネークん所の仲間はここにくることに反対とかしないケロ?」
「あー、サードって個人の行動にあんま興味もたないから。気にしなくていいぜ」
気にしていたら精神的に疲れる。
ナルシス全開のジェミニとか、イタズラ全開のシャドーとか、健康関係に熱心なマグネットとか……関わるとすごく疲れる。
そのせいで他世代のナンバーからは「サードって他人に無関心なの?」とか思われている。
違うのだ、濃すぎるだけなのだ……。
どうやら遠い目をしてしまっていたらしい、トードが心配そうな目で見てくる。
「…抱きしめてもいい?」
「い、いいケロ…」
スネークはトードを抱き寄せる。
少し緊張しているのか、トードの身体に力が入っている。
もしかすると怖いのかもしれない。
「平和だなぁトード」
「スネーク?」
「俺、今のこの関係、嫌いじゃないんだ。心地よくて…」
あぁ、キスしたい。
少しだけ、少しだけだ…キスを…しかしそれをすればきっと歯止めがなくなる。
食べたい衝動が抑えられなくなる。
きっとこの食欲を処理しきれないと判断すれば、性欲に認識が切り替わってトードを襲ってしまうだろう。
まだそういう関係にはなりたくない。
「迷惑かもしれないけどさ…」
「そ、そんなことないケロ!」
「そんなこといってると、調子に乗るぜ俺…おやすみトード」
「…おやすみスネーク」
寝息を立て始めるスネーク。
「…」
トードは黙ってそっとスネークの胸元へ寄り添い、目を閉じた。
****
「トードとお昼寝しちゃったぁーvvvvvv」
両手を頬に当ててもじもじ(というか蛇だからかくねくねしてる)しながらスネークは惚気る。
「ハハッワロスワロス」
張り付かせた笑顔でいうシャドー。
「永眠しろクソ蛇。」
鏡を見つめながら呟くジェミニ。
「トードの寝顔超かわいい!永久保存だぜぇぇぇぇぇ!!!あはははーっ!!!!」
完全に舞い上がっている。
「ジェミニ殿、あれ絶対恋しちゃってるでござるよな。腹が立つことに」
「知るか。まぁ失恋するだろ。スネークの性格の悪さに気づいて」
「拙者、スネーク殿のエロボディ+その性悪さがとても堪らないのでござるが」
「お前だけだそんな性癖」
「明日の弁当にI
LOVE TOAD
ってかいちゃおうかなぁー!やっべぇー!」
「ヤバいのはお前の頭の中だ」
ジェミニは突っ込むが、スネークは舞い上がりまくってて聞こえていないようだった。
END
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