スタスクが人間の女の子になっちゃってる
全体的にキャラ崩壊。口調も違う。
ギャグだから許してほしい。ゆるふわ世界。
目が覚める。
通常の目覚めと違ったので、スタースクリームは疑問を感じた。
いつもなら、真っ暗な視界から徐々に周りを認識し色がついていくのに、今日はなんだ?
ぼやけている。
目を閉じ、そしてまた開くとマシになってきた。
え?目、閉じ…?え?瞼?ええ?
「なんじゃこりゃーーーー!!?」
叫びながら飛び起きる。
声が違う。かなり違う。発声の方法も違う。
手を見る。にぎにぎやってるその手はどうみても自分の手ではなく、人間の手だ。
「俺様の身体がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
「起キタカ。スタースクリーム」
「サウンd…でっか。」
声の方へ振りかえると、かなりの至近距離なのにサウンドウェーブの顔が頭上にあった。
「状況説明ヲスル。黙ッテ聞ケ。
オ前ノスパークヲ人間ノ肉体ヘ移シタ。以上」
「簡潔すぎてわかんねーんだよこのバカ!!!!」
癖でナルビームを撃とうと腕を前に出すが、撃てないことに気づいて恥ずかしさを隠すために手元にあった大きな布をサウンドウェーブに投げつける。
しかし届かず落ちていく。
「何ヲシテイル」
「畜生…どういうこった…」
「メガトロン様ノオ仕置キノ一環ダ」
「それをまず最初に言えってんだこんちくしょう!!!!あの野郎っ!俺様のスパークを人間に移すとかふざけてんのかぁ!?」
サイバトロンと仲良しこよしな人間の身体にされて屈辱感を感じているらしい。
周りを見回すと、隣の寝台にスタースクリームの機体が横たわっていた。
「美しいな俺様の身体は…ほんとカッコよすぎて失禁する」
「汚イ」
「するわけねーよ!!」
「騒がしい…もう少し落ち込んでいるかと思ったのだが」
メガトロンがやってくる。
「メガトロン様、無事ニ実験成功」
「おいメガトロン。サイバトロンの野郎どもの真似とは、やはりご老体の発想は貧困ですなぁ?」
「このっ…!反省してれば戻してやろうかと思ったが、やめだ!一生そのままでいろ愚か者め!」
「ちょ!それは困りやすぜ!?俺がいなきゃデストロンの戦力がガタ落ちでさぁ!!!」
「お前のような愚か者一人いなくなったところで弱くなるデストロンではないわ!」
「わかった!反省した!お許しくださいメガトロン様!!お願いです戻してください!!」
土下座するスタースクリーム。
「こんな軟弱な肉体なんかいやだ!美しくてカッコよくて超最高で最強な俺様の身体がいいんです!!」
「戻したところで起き上がるなりナルビームを撃つんだな?」
「そりゃあもう……ハッ!?」
なんとも言えぬ空気が流れる。
青ざめて引きつった顔をするスタースクリーム。
メガトロンはそんなスタースクリームを無表情に見下ろしている。
「やっぱりそのままでおれ」
「いやぁぁぁぁメガトロン様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「いやーとか気色の悪い声を上げるな。第一、今のお前は人間の雌の身体なんだぞ?」
「なんだって!?うぉぅホントだ!!!なんでですかぁメガトロンさまー!!!なんで雌なんですかー!!趣味かー!!」
「趣味なわけなかろうが愚か者めが!」
メガトロンは怒鳴るとアイセンサーをスタースクリームから反らし、宙へと向ける。
「…サイバトロンとの交戦で巻き込まれた人間がおってな、あまりにも可哀想だったんで直させたのだが助からなかった」
「破壊大帝の肩書きはどこへいったんですかぃ?」
「そういえばサイバトロンどもは人間の意識をガラクタに移していたなーと思い出して、今回の仕置きを思いついた」
スタースクリームのツッコミを華麗にスルーして語るメガトロン。
「だったらもう少し肉体を選んでくださいよ!なんですかこの身体は。こんなんじゃ何にもできやしねぇぜ!」
「当たり前だ。己の無力を感じておれ愚か者。ところでサウンドウェーブ」
「ハイ」
「…服を着せるのを忘れておるぞ。人間は儂らと違って体内で温度調節なんぞできん。風邪を引く」
「……ア」
「通りでちょいと寒いと思った。てか忘れるなよ頭ン中の回路イカれてんじゃねーの?」
「…オ前ニ興味ガ無カッタダケダ。コノ布を被ッテイロ」
さっきスタークスリームが投げた布を拾って頭から被せる。
「コンドル、イジェークト」
サウンドウェーブの胸からコンドルが出てくる。
「……適当ニ服ヲ盗ッテコイ」
「適当な命令すんなー!!!俺に似合う超イカス高級な服持って来いよ!わかったなコンドル!!!」
「オ前黙レ」
「畜生ナルビームが欲しい…!!!」
コンドルはどっちの命令を聞いたのか(サウンドウェーブの方だとは思うが)そのまま外へ出て行く。
「ううっ…空も飛べねぇビームも撃てねぇ……メガトロン様お許しください」
「駄目だ」
「畜生……!!!」
(結構堪えておるようだな。)
ひそりとサウンドウェーブに呟くメガトロンに、サウンドウェーブは小さく頷く。
(あとはうろちょろしているところに誤って踏み潰さんようにせんと)
(基地内ヨリ外ノ方ガ安全ト思ワレル)
(………そうだな。)
デストロンの面子を思い返しながら頷くメガトロン。
面白がってスタースクリームでキャッチボールを始められても困る。
もし死んだらスパークが肉体から離れてしまう、機械であろうと肉であろうと死は死なのだ。そうすると一体どうなってしまうのか…。
(しかし一人で放置させるのも心配だ。)
(フレンジーヲ護衛ニ回スカ?)
(……サイズ的には小さいフレンジーでも良かろうが、場所が場所だ。それでは逆に目立つだろう…うーむ)
考え込むメガトロン。
(今日の作戦は儂がやるから)
(ハ?)
いいたいことはその言葉で理解した、しかし何故自分なのかという疑問のせいで声がでた。
(解らんのか?人間どもの中に普通に溶け込めるのはラジカセになれるお前だけだ。
ラジカセになってスタースクリームを監視していろ)
(シカシ…ソレダトコンドルデモ、イイノデハ……)
上空からコンドルで監視してればいい。
しかしメガトロンは顔をしかめたままであった。
「サウンドウェーブ!」
「!?」
メガトロンがサウンドウェーブの肩を掴む。
「本当にアイツ何するかわからんのだぞ…!?命令だ、これは命令だからな!」
「ウゥ…了解」
まるで嫁入り前の娘を心配する父親のようではあるが、実際は本当に何を仕出かすかわからないからここまで必死なのだろう。
もう元に戻してやれよと思ったが、それを進言しても却下されるであろう。
仕置きの目的と手段が入れ替わってしまっているが、止めれないのだがらこの現状のままいくしかない。
「お前ら、俺様の目の前で堂々とヒソヒソ話とか気になるじゃねーか」
コンドルがもう服を持ってきていたらしく、それを着ながらぶつぶついうスタースクリーム。
服を見る限り、サウンドウェーブの命令を優先したらしく適当に見繕って盗ってきたようだ。
「スタースクリーム」
「なんです?戻す気になったんで?」
「馬鹿者。戻す気はさらさらないわ。儂が良いというまで基地から出て行け」
「なんでですかぁ!!?」
「メガトロン様ノ配慮ダ。従エ」
「はぁ!?……うーん……」
スタースクリームは同機のサンダークラッカーとスカイワープを思い浮かべる。
こんな姿を見たらきっと大笑いだろう。
そして玩具感覚で弄ばれ、逆間接折りだのなんだのされたら……
「外に行きやしょうぜ!メガトロン様!」
「儂とではなくサウンドウェーブとでいけ。儂は作戦の指揮をせねばならん」
「なんでサウンドウェーブと!?」
サウンドウェーブは黙ってトランスフォームをしてラジカセになる。
スタースクリームは咄嗟に振ってくるラジカセをキャッチしてしまった。
「人間の町の近くまでサンダークラッカーたちに送らせる。あとは死なない程度に適当にしろ」
「こ、これがGか……」
サンダークラッカーのコックピット内でスタースクリームは失神しかけていた。
「…サンダークラッカー、速度ヲ落トセ。スタースクリームノ意識ガ無クナル」
「面倒くせぇなぁ…てかジェット機にスピード落とせ言われても困るんだがよぅ」
「まったくだぜ」
早くも命の危機に陥っていた。
***********
同機に「がんばれよー」と言われ、去っていくジョット機を見送る。
彼らはそのまま作戦決行場所へ向かいデストロン軍団と合流らしい。
「メガトロン様お一人で大丈夫かねぇ?
あとでニューリーダー様がいないと何もできませんでしたって泣きついてくるんでしょうなぁ」
「アリエナイ」
「てめぇ…」
とぼとぼ歩きながらぶつぶつ言い合う二人。
そしてぐぎゅううううと腹がなる。
「なんだ?あぁ、腹が減ったみたいだな。しかし不便だな人間は。
視界も限られてるし足遅いし疲れるしセンサーの類がないから場所の把握しにくいしよぉ」
「俺ガ指示スル。黙ッテソノママ歩ケ」
「命令すんじゃねぇ…腹空いてんだよ俺様は……」
なんとか街まで向かい、そこで適当に食べることにした。
スタースクリームは地球人の文化をまったく知らないわけではないが、興味が向くのは大抵科学的な分野であり、
ほかのことにはまったく興味がなかったため、何が何やらわからない。
こういうときに情報参謀のサウンドウェーブがいてよかったと思った。
そのためにメガトロン様はサウンドウェーブをつけたのか、とも思った。
本当はただ偶然なのだが。
バーガーをもぐもぐ食べながら、腰に引っ掛けていたサウンドウェーブをテーブルに置く。
「金とか持ってたんだな」
小さく呟くスタースクリーム。
「服ノツイデニ盗ッタ」
「デストロン軍団っていつから窃盗団になったんだ…?」
「ウルサイ。…音楽デモ聞ケ」
「はぁ?俺サウンドシステムじゃねーからわっかんねぇよ」
「今ハ人間」
「……まぁちょっとは興味あるな。どう聞こえるんだろうな。
お、ヘッドフォンもってんのかよ。聞かせる気まんまんだったなお前」
ニヤニヤしながらスタースクリームはヘッドフォンを装着する。
「あ、これが音楽か。」
音楽を音と認識してしまいただの雑音や騒音にしか聞こえなかったのだが、
今はそんなことはない。音楽として認識できる。
「良い曲なのかどうかは別として」
「……良イ曲ダ」
「そんなのわかんねーよ」
「トコトン聞カセテヤロウカ。スタースクリーム」
「何一人で燃え上がってんだよ。俺は気分が沈んでるんだぞ…」
燃え上がっていても抑揚のない声のサウンドウェーブに呟くスタースクリーム。
「ま、聞いといてやるさ。気は紛れる」
空腹も満たされ満足したスタースクリームは、サウンドウェーブから流される曲を聴きつつ公園のベンチに座っていた。
「マジで暇なんだけど…どうしよう」
「反省シテロ」
「いっぱい反省しましたとも。あーちっくしょう、無力っていうのはこんなにも暇なのか!」
だめだこいつ反省してねぇ…とサウンドウェーブは呆れる。
「スタースクリーム」
「ん?」
「高速デ近ヅイテクル デストロン ト サイバトロン ノ反応ヲキャッチ。」
「おいおい!なんでだよ!」
『しまったー!!スタースクリームがいるのわすれてたー!!!』
『なんでもいい誰でもいい、助けてくれサウンドウェーブ!!』
サウンドウェーブからサンダークラッカーとスカイワープの声が聞こえてきた。
「バカヤロウ!!なんでこっちにくんだよあっちにいけバカ!!」
サウンドウェーブをひっつかんで叫ぶスタースクリーム。
人間の体内に通信機なんてもんはないので仕方が無い。
『うるせぇ非力のスタースクリームは黙ってろよ!!参謀の癖に非力とか最悪!!』
「サンダークラッカー……お前さっき誰でもいいって言ってたくせに…」
よほどテンパってるのだろうか、多分。
バカやってるうちにもう肉眼でも確認できるほど迫ってきていた。
「…ゲッ!あれって…」
あの大きなジェット機はー……よりにもよってスカイファイアー。
完全に硬直しているスタースクリームにサウンドウェーブが叫んだ。…と思うがちょっと普段より声を荒げただけだったかもしれない。
「伏セロ」
気が付くと周りは瓦礫。
覆いかぶさるように人型へトランスフォームしたサウンドウェーブがいた。
どうやら吹っ飛んできた建物などの破片からスタースクリームを守ったらしい。
有り得なさすぎる行動にどうしたらいいのかわからなくなってしまうスタースクリーム。
「命令ダ」
「命令…あぁ、命令、命令ね!だよな!」
マインドスキャンをしたらしい。とりあえずサウンドウェーブの呟きにかっくんかっくん頷く。
テンパってしまった自分が恥ずかしい。
「恥ズカシガッテイル暇ハナイ。撤退ヲ……」
「こんなところにサウンドウェーブが!?」
サイバトロンが現れる。スカイファイアーじゃない。マイスターだ。
「……コッチノ台詞ダ」
かなり苛立っているようだ。さっさと帰りたいのに副官と鉢合わせたのは運が悪い。
しかし相手がブロードキャストじゃなくてよかった、ブロードキャストだったら今ごろメガトロンの命令も忘れて
超音波合戦を繰り広げていただろう。
今の状況も困るがその状況も困る。
「…………」
むんずっとスタースクリームを掴み上げるサウンドウェーブ。
「え?なになに?」
そのままブラスターガンを突きつける。
「近ヅケバ、人間ヲ殺ス」
「可憐な女性を人質とはさすがデストロンだな」
「……」
(さぁてどうしようか)
心の中で呟くスタースクリーム。
サウンドウェーブがマインドスキャンしてるかもしれないが。
(サウンドウェーブはとろくさいから飛んで逃げても逃げ切れるかどうか…)
いつも俺らが回収して飛んでるもんなーと思い返す。
「連絡済ミ」
小さく呟くサウンドウェーブ。スタースクリームにいったのだろう、やっぱり心を読んでやがった。
ジェット機の音が近づいてくる。
「……」
サウンドウェーブは無言で肩に装備しているエレクトリックランチャーを乱射した。
「鼓膜が破れるー!!!」
耳を塞いで叫ぶスタースクリームだが、それはランチャーの回転音と着弾の破壊音でかき消される。
バッ!と空へ飛び立つサウンドウェーブ。
2機のジェット機がタイミングよく上空にいた。
サウンドウェーブはスタースクリームを肩に乗せ、そのまま羽にその手をかける。
「ぐぉぉバランスがっ!トランスフォームしろやぃ!!!」
「待テ」
凄く自然な動きでサウンドウェーブはブラスターガンを後方へ向けて放った。
「うああ!!?」
「スカイファイアー!!!……おっと」
思わず撃たれたサイバトロンの名を呼んでしまい、罰が悪そうに口を塞ぐスタースクリーム。
スカイファイアーはそのまま地面へ墜落してしまったが、死にはしないだろう。
スタースクリームを先にコクピットに乗せたサウンドウェーブはトランスフォームし、スタースクリームの手元に戻る。
「無茶すんなよ。俺様が潰れてたらどうすんの?」
「ジェットロン ノセイニスル。問題ナイ」
『大有りだってーの!!』
サウンドウェーブに突っ込む2機。
「ま、とりあえず作戦が失敗してメガトロンが泣きながら「スタースクリーム様がいないと作戦も成功させられませんでした」
とかいいながら俺を元に戻すだろうな!はっはっはっは」
「それはないわ…」
「絶対無い。てか作戦台無しにしてるのほとんどお前だろ…今日だってお仕置き云々なかったら成功してたぞ…?」
「スタースクリーム。自重シロ」
「え、なにこの流れ」
************
なんだかんだで元に戻ったスタースクリームはメインルームでサウンドウェーブから流れる曲を聴いていた。
「スタースクリームが壊れた!!」
「もともと壊れてたがもっとひでぇことになったぞー!!」
「邪魔すんなてめぇら!俺は感性豊かで音楽も理解できんだよバカどもめ!!!
てかもともと壊れてたってなんだコラー!!!」
仲が良いジェットロン。
どうやら人間の脳で理解したためなのかスパークもそれを覚えたらしく、機械の身体に戻ってもちゃんと音楽としてきけるようになっていたのだ。
その辺はちょっと嬉しく思うサウンドウェーブだった。
おわり
やだなにこれ。
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