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注意
寝取られです
後味の悪い暗さ
好きだと言われながら抱かれたのは一ヶ月ほど前のこと。
可愛い弟機の一人だと、可愛がっていたら弟機の一人ではなく男として見ろという。
この弟機はプライドが高い。そして酷く傷つきやすくて脆い精神の持ち主だ。
そのアンバランスな心が余計に守ってあげたいと思えてしまうのだろう。
ジェミニは、それほど危うい心を持っていた。
だから拒絶するとどうなってしまうのか、わからなかった。
抱かれた後はジェミニに対して嫌悪感は沸かなかった。逆に言うと好意もわかない。
ただ他の弟機たちに対しての後ろめたさだけが残る。
「ロック…」
後ろから抱きしめられる。
「ダメだよ、ジェミニ…夕飯の支度の途中だし、ロールちゃんがすぐ戻ってくる―――」
振り向きざまに口を塞がれる。
ジェミニの舌が入ってくる。
拒めない。
ジェミニの手がエプロンの中へ侵入し服越しにまだ小ぶりの胸を撫でるように揉み始める。
「好き…君が好き。」
「うん、僕もだよ?」
ジェミニはずるずると崩れるように膝を突いて、そのままロックの胸元へ顔を埋める。
「何かあったの?」
「…ううん。ロック、今度休みができたんだ…一緒にいてくれないか?」
「う…うん…」
頷くと、ジェミニは嬉しそうな笑みを浮かべる。
今にも泣き出しそうな顔を、無理に笑みの形にしているように見えて、苦しかった。
彼も彼の中で葛藤しているのかもしれない。
抱くべきじゃなかったのだと、思っているのかもしれない。
そう、彼にとって自分を抱いたことは過ちで―――
それを後悔しながらもお互いを傷つけまいと、好きだ好きだといい続けているのではないだろうか?
でないと、あんな表情はできない。できやしない。
ジェミニの休暇の日がやって来て、ロックはジェミニの部屋にいた。
ベッドに腰掛けて、何もすることがないので近くにあった本を適当に読む。
ジェミニの趣味は少々変わっているが、選り好みしないロックはその趣味本をすんなり読めていた。
当のジェミニはなにやらスネークに呼び出されてしまっていて今は一人っきりだ。
「仕事、かなぁ…?」
小さく呟く。
帰ってしまってもいいのだろうか、しかしすぐにジェミニが戻ってくるかもしれない。
そんなことを考えていると、ジェミニは割と早く戻ってきた。
スネークも一緒に。
「よーロックちゃん!お待たせしちゃったなー」
スネークはいつも通り軽いノリで声をかけてくる。
「あ、えと…今日はジェミニと過ごすんだけど…」
「…アンタさぁー、本当にジェミニ好きなわけ?」
「えっ?」
スネークはジェミニの肩に腕を回しながら視線をロックに向ける。
「俺はジェミニが好きなんです、で!ジェミニは俺のことが好きになってしまったみたいってこと」
「……」
ジェミニの目は揺れ動いている。
しかしロックを見ようとはしない。
「ロックちゃんはジェミニのこと好きでもなんでもなかったんだろう?丁度いいじゃねーです?
なぁジェミニ?」
スネークの舌が伸びてジェミニの頬を舐める。
ジェミニはビクリと震えながら頷いた。
「ジェミニ、本当に?」
「あ、あぁ…」
「嘘、嘘だよ!」
ロックはジェミニに駆け寄って、ジェミニの腕を掴んだ。
「僕を見て!好きなんでしょう?ずっと好きって言ってくれてたじゃない…!!」
「やめてくれなーい?」
スネークはロックの腕を掴んでジェミニから引き離すとそのまま引きずるようにしてベッドへ押し倒す。
「や、なに!?」
「ジェミニを忘れさせてやろうっていう俺の親切心が働きました。
あ、逆にホレてもいーですよ?俺お嫁さんいっぱいホシーから」
「や、っんぅ…」
抵抗しようにも戦闘用から家庭用の設定に戻されている今、工業用のスネークの力に抵抗できなかった。
スネークの舌が口内を蹂躙する。
喉の奥まで伸びてきては、にゅるんと引き下がる舌の動きにロックはガクガクと身体を仰け反らせて
その味わったことの無い刺激に耐える。
「はぁー、どうです?ジェミニもお気に入りのキスは」
「はっ…はぁ、はぁ……」
「ふふ、かわいー顔しやがる…ちゃんとココも反応してんですねぇ?」
「や、あっ…!!」
スネークの指がロックの股の間へ滑り込む。
そこはしっとりと湿っていた。
「じぇ、みにっ…助けて、ジェミニっ…!!」
ロックはジェミニへ視線を向けるがジェミニは立ったまま動こうとしない。
あの泣きそうな顔で、揺れ動く目で二人を見ている。
「じぇみにっ…!!や、やめてスネーク!お願い止めて!!」
「俺、嫌がる子大好きなんでー」
スネークは笑みを浮かべながらサーチスネークでロックの両腕の自由を奪うと、服を奪い始める。
長い舌がちろちろとロックの肌蹴て露出した胸元の乳首を刺激し、長い指が秘所を解しにかかる。
「あぅ、いや…やだぁぁ……」
「ロック…う、ぁ…」
「逃げんじゃねぇーよっ!ジェミニ!!!」
じり、とジェミニが一歩下がるのにスネークは気づいて怒鳴った。
怒鳴り声というよりは叫びに近い。
「ひっ…」
「ホロも出すな!!部屋から出るな!!ここにいろ!見てやがれ!!」
「う、うぅぅ…」
ジェミニはその場に崩れてしまう。
何故スネークはそんなことをいうのだろう。
何故ジェミニは助けてくれないのだろう。
好きなんでしょう?好きなのに、どうして動かないの?何故、やっぱりスネークの言うように―――
「んっあ、いやぁぁ…!!」
抵抗もできぬまま、スネークのナニが身体の中へねじ込まれてくる。
この圧迫感は、未だに慣れない。
「可愛い…そんなに、俺のイイですぅ?ふふ、アンタ結構スキモノなんだネ?」
チロチロと舌を出しながら笑うスネーク。
「キツ、い…痛い……」
「まぁ規格が違うモンね?でもジェミニにもこうやって無理やりヤられたんでしょ?
なぁんで叱ってやらなかったんです?仲良しこよしの空気が壊れちゃうから?
我慢したんだ?してたんでショ?ねぇ、ロックちゃん…アンタ仕方なくジェミニのいうこときいてたんでしょ?」
「っ…」
ロックは何も言い返せず、スネークを涙目で見るしかできなかった。
「ジェミニのこと好きでも無いのにジェミニの愛は欲しいんだ、ひでぇ女です」
「違ッ…あっんッ…あ、あぁぁっ…!!」
激しく動かされ始めて、ロックは声を上げながらジェミニへ目を向ける。
ジェミニは涙を流しながら、スネークの言われたとおりにこちらを見ている。
「やだなぁ、余所見。」
スネークがロックの頭を掴むと、そのまま唇を唇で塞いだ。
「ごちそうさま」
スネークはそう呟きながらロックから身体を離す。
「アンタ、皆を均等にしか愛せないんだ。なんですかー?最初は嫌がってたくせにー
途中からノっちゃってさー。弟なら誰でもそうやって許しちゃうんでしょー?
まぁこれでジェミニもアンタ諦めますヨ。ヨカッタネ」
「ロック…ロック…」
ジェミニがロックに近づき、その力をなくしている手を握る。
「ご、めん、ごめんなさい、ロック…ごめんなさい……。
俺、やっぱり、俺は…君が―――」
「ジェミニ」
スネークの手がジェミニの頭を掴む。
「あ、あぁぁ…ごめ、ん…俺、もう…ッ…」
「俺はアンタが好きだよ。」
「おれ、もスネークが好き…スネークが好き……」
そのジェミニの表情は泣きそうな笑顔ではなく、狂ってしまったのかと思えるほど歪んだ笑顔だった。
◆◆◆◆
あれからロックはジェミニと言葉を交わすこともなくなった。
顔をあわせる程度で―――
スネークは何もなかったかのように振舞ってくる。
しかしいつもスネークはジェミニとべったりくっついている。
好き合っているのならば、当然なのだろうが―――
この違和感はなんなのだろう
「ジェミニ、いる?」
ロックはジェミニの部屋の前に立って声をかけた。
「お願い、開けて」
中にジェミニはいる。
しかし反応してくれない。
「じゃあ、このまま聞いてくれる?僕は…スネークの言うとおりだったよ。
君の事は好きでも嫌いでもなかった。君が好きだというから受け止めていただけ。
僕は君の言葉を受け入れていなかった。それが君を苦しめていたのなら、謝るよ、ごめんなさい」
ロックはジェミニのドアに手を添える。
「スネークに、抱かれても、やっぱり僕は怒れなかった。
僕のせいなんだって、思うと……ううん、ごめん。ジェミニはもうスネークが好きだったんだよね。
ごめんね、もう忘れて。お互いなかったことに―――」
ドアが開く。
手を掴まれそのまま部屋へ引きずり込まれる。
「ジェミニ!?」
ジェミニに抱きしめられていて、ロックは驚いた表情を浮かべた。
「蛇は、嫌い」
「え!?」
「俺は、蛇が嫌いだ」
「ジェミニ?え?」
「俺は君のことを忘れられない、できない…。やっぱり俺は君が好きなんだ」
「あー、クソ。折角俺が汚れてやったのにこのバカ」
ジェミニの部屋の奥からスネークが出てくる。
「ジェミニ、お前は俺が好きなんだよ。な?」
「うん、あぁ……スネークが好き」
「あーダメだなぁ。感情プログラム弄ってやろうか?」
「だ、ダメだよそんなことしちゃ!!」
思わず叫ぶロック。
「どういうことなの、スネーク」
「んー、セックスもっかいしてくれるんでしたら教えマスケド?」
「怒るよさすがに」
「おお怖い。ふふ、アンタがジェミニを愛してくれないからジェミニの精神はボロボロだ」
クスクス笑いながらスネークは言う。
この男もおかしな精神状態なのかもしれない。
「だから俺に惚れれば苦しまずに済むんだって進めたわけ。
ふ、ふふ…アンタはジェミニが鬱陶しいんだろう?やめてくんないかなぁ、そうやって生ぬるい優しさ見せるの。
ジェミニがどんどん壊れるじゃねーか」
スネークはジェミニからロックを引き離す。
「アンタは全部忘れて皆のオネーサンやってたらいいんです。」
「あっ」
部屋から突き飛ばされるように追い出される。
「さぁて、愛を確かめ合いますか?オニイサマ」
スネークはクスクス笑いながらジェミニを見る。
「待って!」
ドアが閉まって鍵がかかる。
「スネーク!!ジェミニ!!」
ドアを叩くロック。
「……ジェミニ」
拒絶してしまえばよかった、あの時。あの夜。無理やり抱かれた日。
でも拒絶しなかったのは弟だったから?
―――ジェミニが好きだったから?
答えが出ない。もう遅い。
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