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        地球さんが幽霊
        色々クロバトの趣味
        地球さんが太陽さんの体乗っ取って土星ににゃんにゃんするので許せる人向け
        人名表記で行きます、趣味です
        サンゴッド→寺田太陽(てらだ・たいよう)
        アース→寺田神子(てらだ・みこ)
        サターン→土鎌沙汰(はがま・さた)
        
         事故で自身は右目を失い、最愛の人は命を失った。
        
         今でもこの結果が良かったのかどうか解らない。
        
         片思いだった恋は中途半端なカタチで残っている。
        
         そうして日々を過ごしていると突然最愛の人が目の前に現れたのだ、夜中に。
        
         そこからおかしな日々が始まってしまった。
        
        
        
        
        
        
        
        『おはようございますタイヨウさん』
        
        「おはようミコー!」
        
         真面目な声とバカみたいに明るい声にサタは目が覚める。
        
        (いるなぁ…)
        
         タイヨウと同居生活を始める原因になってしまった幽霊であり最愛の人であるミコを見ながら思う。
        
         透けているので凝視しないと焦点を合わせにくい。
        
         ハッキリと姿が見えることもあるのだが何とも不思議なものである、普通見えないものなのだ。
        
         というか存在してはいけない人だ。
        
         死んでしまっているのだから。
        
         ミコがサタの前に現れ、「私のことが好きだったのならあの人の面倒を見ろ!」といってきた。
        
         あの人とはタイヨウのことだ。
        
         ミコにとって彼の存在は特別だったらしい。
        
         もともとタイヨウは心臓が悪くドナー待ちだった。
        
         しかしドナーが見つかる前に症状が悪化し危篤状態に陥り、そして自分達は―――
        
         タイヨウの心臓にはミコの心臓が移植されている。
        
         だから自分達二人だけにミコが見えるというこの現象は何かしらの幻覚ではないのだろうか、と思ってしまう。
        
        
        
        
        「今日は病院へ行く日でね、ミコと一緒にいってこよう」
        
         お味噌汁を啜りながらタイヨウが言う。
        
        「いや、それはいいんですけどね。あんま大声でミコと喋るのどうかと思いますよ、俺たち以外見えないんですから」
        
        「そっかー」
        
         しょんぼりした顔で横に座っているミコを見るタイヨウ。
        
        「わたしの夢はね、こうやってミコと一緒に暮らすことだったから楽しくてつい…
        
         ずっと病院生活だったものねー」
        
        『えぇ』
        
        「…気になってたんですけど、あんた達は親子?兄弟?名前から血縁なのはわかるんですけど」
        
        「……」
        
        『……』
        
         タイヨウとミコは顔を見合わせる。
        
        「親戚みたいなものかなー?」
        
        『そうじゃないんですか、タイヨウさんがそういうなら』
        
        (フクザツなのか…?)
        
         あまり聞いてはいけないことだったらしい。
        
        「それじゃ俺、仕事いってきますんで。なんかあったら連絡してくださいよ?」
        
        「ダイジョウブダイジョウブ」
        
         笑顔で手を降るタイヨウ。
        
         この人の空元気が恐い。
        
         ミコもこういう気持ちだったのだろうか、なんて考えながらサタは身支度を済ませると部屋を出た。
        
        
           ****
        
        
         ミコが居ること以外、普通の生活だ。
        
         普通の生活だと思いたい。
        
         コレだけがなければ。
        
         深夜。
        
         サタはタイヨウの下に組み敷かれていた。
        
        「ミコぉ!!やめ、ろっ…!!」
        
        『ここのところ「報酬」を与えていなかったからな。溜まってるだろう?』
        
         タイヨウがサタの耳元で語る。
        
         今、このタイヨウはミコだ、身体を乗っ取られている。
        
         こうやって「報酬」といって愛される。
        
        「タイヨウさん、の体ッ…だろうが!」
        
        『確かにそうだが、この方はこういう風に使われていようがまったく気にしない方だ!』
        
         少し怒った口調で言うミコ。
        
        『お前は気にせず満足していればいいんだ、わたしに愛されて嬉しいだろう?』
        
        「うあっ…!ひっ!」
        
         両手を元々締めていたネクタイで縛られそのままズボンを降ろされる。
        
         ズボンが足に絡まって身動きが出来ない。
        
        「ミコ、やめ…本当に、ミコ…」
        
        『……』
        
         無表情のタイヨウの顔が迫り、そのままキスをされる。
        
         確かにミコと関係を持つことを望んでいた。
        
         しかしこれはあんまりだ。
        
        「はっ…」
        
         糸が伝う。
        
        『いい顔をする…満足するまでシてやるからな』
        
        (あぁ…)
        
         涙で霞む視界の中
        
         タイヨウの顔がミコに見える。
        
         もともと二人の顔は似ている、かなり似ている、そのせいだ、そのせいだろう…
        
        
        
        
        
        
        「ッ…うっ…んぅ」
        
         腰を打ち付けられる衝撃と快楽に耐えるようにサタは唇を噛み締めていた。
        
         これまで数回果てて、濡れた腹は乾いてきている。
        
        「み、こ…みこっ…」
        
        『……』
        
         名を呼ばれ動きを止め、縛っていた両手を解放するとサタはタイヨウに腕を絡ませる。
        
         応えるようにタイヨウもサタを強く抱きしめた。
        
        「ミコ、好き…だ、ミコ…」
        
        『……』
        
        「ッうあぁぁっ…!!」
        
         激しく突上げられ悲鳴を上げるサタ。
        
        「ッ―――」
        
         意識が飛ぶ。
        
        
           *****
        
        
         ミコの顔が真っ青になったのを見たとき、ただ事ではないと思った。
        
         あの人が死んでしまう、あの人がと取り乱すミコを宥めようと必死だった。
        
         しかしミコはサタを振り払って駆け出していた。
        
         それを追った。
        
         そして止められなかった。
        
         助けられなかった。
        
         一緒に車に跳ねられたらしい。
        
         記憶はない。
        
         顔の傷は目立たない程度に治ったが、潰れた右目は戻ってこない。
        
         そしてミコは死ぬ間際に自身がドナーになると告げたらしい。
        
         タイヨウは奇跡的に助かった。
        
        
        
        
        
         夢を見ているのかもしれない。
        
         まだ病室で眠っていて、これは夢で。
        
         もしくは自分自身が死んでいるのかもしれない。
        
         死ぬ間際の一瞬の夢。
        
         一瞬の…長い長い夢かもしれない。
        
        
        
        
        
         しかし目が覚める。
        
         あぁ、ミコだ…ミコがいる…
        
         手を伸ばして、触れて―――
        
        「おはようサタくん。わたしだよ?」
        
        「うっ…!?」
        
         タイヨウだった。
        
        「ね、寝ぼけ…ました…」
        
         タイヨウから手を離すサタ。
        
        「ハッ!?」
        
         自身の身体を見る。
        
         パジャマを着せられていた、これはタイヨウのパジャマだ。ふざけた猫柄である。
        
        「もしや…」
        
        「あ、うん…ちょっと恥ずかしい姿のままだったからね…」
        
         苦笑しながら応えるタイヨウ。
        
        「う、うわあああああああ!!!!ミコのバカー!!!」
        
         手で顔を覆いながら悲鳴を上げる。
        
        「まぁまぁ、私が目覚めちゃったせいみたいだからミコは悪くないんだよ」
        
        「ミコは!?」
        
        「寝てるのかな、消えちゃってねぇ」
        
        「そうですか…あの…」
        
        「ん?」
        
         サタはタイヨウを見る。
        
        「このままでいいんですか?ずっとこのままで」
        
        「…わたしはこのままでいいよ。でも君は嫌だろうね、君は巻き込まれただけだし」
        
        「いえ、そんな…ただタイヨウさんが…」
        
        「この体存分にミコに使われていいんだよ、だって心臓はミコのものだし、そもそもこの命はミコのお陰だしね。
        
         ……私がミコを縛ってるのかな」
        
         タイヨウの表情が珍しく暗くなる。
        
        「私のせいでミコが成仏しないのかな…」
        
        「それは、俺のせいです、きっと俺のせいだ…」
        
        「……ふふ、じゃあミコが成仏するまで付き合おうか一緒に」
        
        「…えぇ。成仏する方法も考えながら」
        
        「そうだねー」
        
  
 
 
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