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航海というものは大変で定期的な補給を受けなくてはならない。
臨時的にたまたまよった港は小さな島に見合った小さな港であった。
「………」
方や海上を警備する潜水艦の艦長、ダイブ。
「………」
方や海を荒らす海賊船(武装していて戦艦のようになっているが)の艦長、パイレーツ。
その二人が小さな酒場でばったりと顔を合わせてしまっていた。
他のクルーたちは艦長たちに触れず、自分たちで盛り上がっている。
先に動いたのはダイブであった。
パイレーツの胸倉を掴んで持ち上げる。
「何すんだ?あぁ?」
帽子の下から鋭い眼光でパイレーツはダイブを睨んだ。
「ここは陸だが貴様を捕まえる!」
「てめーにそんな権限ねーだろ。陸だぜここ」
「俺は正義を貫くのみだ!!」
「貫けるんだったら貫いてみろよこの野郎!!!」
「ッ!」
パイレーツはハサミになっている義手をダイブの顔に目掛けて振るうがその手首をダイブは掴んで止める。
「抵抗するだけ無駄だ」
ダイブがそのままパイレーツをねじ伏せようとしたがガキンっと何かが外れる金属音が響いた。
パイレーツの腕から義手が外れる。
「!?」
一瞬の隙。
パイレーツは思いっきりダイブに頭突きをして胸倉を掴んでいた手から逃れた。
「いってぇーな!この石頭ぁぁぁぁ!!!!」
叫びながらパイレーツはダイブに蹴りを放つ。
「うおお!?」
バランスを崩してダイブはテーブルやら部下を巻き込んで床へ倒れこむ。
「殺す!!」
勢いに乗ったままパイレーツは倒れているダイブへとび蹴りを仕掛けるが寸前でダイブは床を転がって回避し、そのパイレーツの脚を掴んで引っ張り倒した。
「うぐおおおお…」
強かに後頭部を打ちつけて身悶えるパイレーツ。
「お前痛がりだな」
「ちげぇよ!!!受身とれねぇんだよ!!!!」
ない腕を振るいながら吠えるパイレーツ。
「左手があるだろ」
「鬼か貴様!!!」
「艦長~!もう挨拶はその辺にして休みましょうよー!」
「そうですよ艦長ー!折角久しぶりの酒にありついてんのに勿体無いですぜー!!」
お互いのクルーたちが艦長を宥め始める。
「挨拶!?お前たちこいつらは悪いやつらだぞ!?いっつも戦ってる相手だぞ!!?」
「海で決着つけましょうよー」
「ここじゃだめなのか!!!?」
「あー、萎えた…俺めっちゃ萎えた…」
部下たちに叫ぶダイブと、よろよろと義手を回収し席に座って瓶越しに酒を煽り始めるパイレーツ。
「あ、おいパイレーツ!!!お前真面目にしろよ!何で飲み始めてるんだ!!!」
「ここが酒場だからよ」
「それはそうだが!なんか言い方腹立つッ!かっこよくないからな!!」
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