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ちょっぴり病んでるナパさんも美味しいなって

 その姿、その声は甘美なもので、興奮を煽ってくる。
 引き締まった肉体が黒革の拘束具に覆われ、目隠しと猿轡を装着させられている。
 猿轡から漏れる呻き声。
 目隠しの間から流れる涙。
 表情が見えずともすべてが自分を掻きたててくる。
『ウェーブ』
 愛しく名を呼びながら自身は手にした鞭を背中へ振るうのだ。
 打ち付けた所が赤く張れる。
 切れて血が滲む。
 ウェーブの呻き声が大きくなる。
 声を聞きたい、その声を。
 しかし我慢する。
 もっと愛してからだ、もっともっと愛してから「ナパーム」と呼んで欲しい。
 懇願するような哀願するような求める声でナパームと。
『もっと気持ちよく…してあげるから』
 ウェーブの腰が震える。
 その秘所にバイブを捻じ込みスイッチを入れて感じる部分に押し当てる。
 ウェーブの身体が跳ねる。
 あぁ目隠しをとってその表情を見たい。
 やっと感じるようになってくれたこの身体。
 感じるまで毎日丹念に丹念に慣らしてあげた。
『ッ…!!!!』
 床がびちゃりと水音を立てる。
 射精したらしい。
 バイブから手を離して鞭を掴んで振るう。
 我慢するようにと身体で覚えさせるためだ。
 猿轡を噛ませてなければきっと「ごめんなさい」「やめて」「許して」と泣き叫んでいるだろう。
 その言葉は要らない、心が痛む。
『ウェーブ…』
 手を止めて、ウェーブの背中を撫でる。
『ごめんねウェーブ、愛してるんだ…愛してる…』
 震えるウェーブを手で感じながらナパームは囁く。
 愛している、愛しているからこそ。




「ッ!」
 飛び起きるナパーム。
「夢、夢か…」
 顔を手で覆う。
 生々しい、手に鞭の感触が残っているようだ。
「…ナパーム?」
 横で眠っていたウェーブを起してしまった。
 ウェーブは身を起す。
「すまない、起してしまって…夢見が、悪くて…」
「…寝るまで見ててやるよ。」
 ウェーブが両手を広げてくる。
 ナパームは申し訳なさそうな表情でウェーブの脚を枕にする。
 ウェーブの手がナパームの髪を撫でる。
 それがとても心地が良くて、ナパームは緩やかに眠りへつく。
「…夢」
 ウェーブは暗い眼でナパームを見下ろしながら呟く。
 夢のままでいい、夢のままで。
 罪悪感を感じているのなら夢でいい。
 背中の痛みをわざわざナパームに教えて何になるだろうか。
 これは自分への枷だ。
 ナパームの枷ではない。
 こんなにも自分を愛してくれているナパームに抱く感情が殺意などと知られたくない。
 ナパームは好きだ、愛している、しかし理性と本能が合致しない。
 彼の首筋を見つめている自分が嫌いだ。
 何度ナイフを握る度にその衝動に駆られたことか。
 過ちは犯したくない、ならばいっそ自分を動けなくしてくれたほうがいい、どんな方法であれ。
 何故自分の愛は殺意なのか。
 こんなにも彼のことが好きなのに。
 ナパームを受け入れる、全てを受け入れるてしまえば、ずっと愛され続けていれば枷となって一緒にいられる。
「好きだよ、ナパーム…本当に、好きだから…」

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