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アルモニカの彼氏

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 キングは早足で兄であるフォルテがいる部屋へ向かう。
 由々しき事態が起こっているからだ。
 敬愛する姉のような存在であるロックに男の影、しかも二人も!
 二人も!魔性!

「お兄さん!大変なのですがッ!お姉さんのことなのですけど!」

 ノックもせずドアを開いて上がり込む。
 しかし兄の姿は無かった。

「…逃げたな」

 舌打ちしながらキングは引き返す。
 この情報は兄も知っているだろう、絶対に小言を聞きたくないなどといって自分から逃げたのだ。
 小言ではない、相談である。そして行動に移ってもらおうと思っただけなのに。
 兄だけはどうしても思い通りに動いてくれない。
 ともあれ出直すしかなかった…。




 フォルテは繁華街をアテもなく歩いていた。
 居場所がないのでとにかく人がいるところに向かっただけだ。
 キングは探しにはこないだろう、そこまで暇ではないはずだ。
 ロックのことだろう、ロックが男と遊んでいるという情報が入ってきたし、ロールからも嬉しそうに話が入ってきた。
 何してんだよ…と思った。
 男どもに騙されているのではないだろうか、という心配もある。
 ぼやっとしてるところがあるし…。頑固な癖にコロっと押し通される時もあるし…。
 キングが絶対言うであろう言葉はロックを連れ出してこいとかそういうことだろう。
 アレはどうしても兄である自分とロックを結婚させたいらしい。
 自分が結婚すればいいのに。
 とにかくフォルテは心配な気持ちでモヤモヤしながら歩いていた。

「あ、フォルテ」
「あン?」

 顔を上げるフォルテ。
 なんとバッタリと目の前にロックがいるではないか。左右に男をはべらせて。
 フォルテの視線に男たちは何かしらを察したのだろう、ちょっと視線を彷徨わせて表情を歪ませる。
 しかしロックはそんな二人に気づくことなく繋いだ手をぎゅっと強く握ってきた。

「……それ、お前の男か」
「…それって言い方やめてよ…うん、まぁ…そうなんだけど…フォルテこんなところでどうしたの?」
「散歩だけど…」
「またお父さんと喧嘩した?」

 フォルテの曖昧な反応にロックは首を傾げて心配そうな目を向けてくる。

「ちげぇーよ、用はねぇな?じゃあな」
「ま、待ってよフォルテ!そんな顔してほっとけないよ!時間頂戴!」

 そんな顔とはどんな顔なのか、フォルテはロックを睨むがロックからすれば泣きそうな顔に見えていた。
 ロックはフォルテの袖を掴む。

「ちょっとだけでいいから、ね?ゆっくりお話ししようよ」
「お、おい…!ってどこ行く気だ!?おま、そこ!」

 ラブホに向かっている人妻。

「やー、3人でホテルいこうって話してたから…フォルテは途中で出ればいいんじゃないかな?」
「なんでそこで話をしようと思った!?お前らも止めろよ!」
「…合理的かと」
「やー、奥さん止まらないでしょこれ」

 男二人はロックのことをよく理解していたしフォルテもそうだなと同意することしかできなかった。



    ◇◇◇◇



 ラブホに連れ込まれたフォルテは人妻から男たちの紹介を受ける。

「それで…なにか悩み事ある?話聞くよ?」
「お前なぁ~…」

 フォルテは頭を抱えてしばらく俯いていたが、ロックへ顔を向ける。

「お前のことだよ」
「えっ?」

 ロックは首を傾げるが後ろでブラストが「やっぱり…」と気まずそうにつぶやく。

「え?え?僕だけ気づいてなかったの…?」
「いや、だって奥さん…旦那以外の男二人と手つないでニコニコしてたら…悩むんじゃないかなぁ」
「……そうだな」

 ブラストに頷くアシッド。

「我々は真摯に付き合っているが世間からみると浮気現場ということになる…うん」

 アシッドもちょっと気まずげな顔になった。

「あ…そっか…」

 青くなるロック。

「ごめんねフォルテ、僕そこまで気づいてなかった…」
「いや、いいよ…それだけ幸せに感じてるってことだろ?
 それに…こんな状況に追い込んだのは俺のせいだ。」
「なんでフォルテのせいなのさ?」
「俺がお前と結婚するの、断らなければ…もう少しまともな生活になってたんじゃないか?
 お前が二人と出会ったパーティでも俺がお前を避けてなければ、俺が介抱してれば後ろに立っていたのは俺になってたんじゃないのか?
 そう思うと考えると、どうしようもなくなってきた…」

 ロールから大まかな話を聞いている。
 だからこそフォルテは考えてしまった、もしもの可能性。

「フォルテは僕のこと好きだったの?」
「え?いや…わから、ない…わからねぇんだ…」
「…そっか」

 ロックはフォルテの横に座る。

「フォルテは手の届く範囲なら助けたいって思うタイプだからそう思っちゃうんだと思うよ。
 でも、でもね、僕も悪かったところあるんだよ、フォルテとの縁談が来てた時、僕はキングに断っちゃったんだよね。
 フォルテは嫌がると思うからって…この時にキングの話に乗ってればよかったっていうのは…思わないんだ。
 色々あったけど、今はブラストくんとアシッドさんに出会えて幸せだから。
 フォルテも僕のことで思い詰めないで楽しいことしよ?ね?」
「楽しいこと…」
「うん…例えば…えっちなこととか!」
「……」

 フォルテは再び頭を抱えて俯く。

「ここ笑うところだと思うんだけど…ねぇ?」
「ネー」

 頷くブラストだが目が泳いでいる。

「恋人作るとか?」
「お前以上の女がいると思うのか?」
「え?」
「いないっすよ!奥さん以上の魔性の女がその辺にごろごろいたら怖い!」
「わ、わかるか…?こいつ無自覚に色気振りまいてくるんだよ!」
「えっ…それを解っていながら付き合いもしなかったんすか?やべぇ…」
「えっ…警戒するだろ普通…」
「……僕、警戒されてたの?」

 色々と判明してきてロックはジト目になっていく。
 フォルテは真面目で親兄弟と仲が悪いから縁談も反発したしすれ違いも嫌われているからなんだとロックは思っていたが…これはただの潔癖症なだけなのではないか?
 だからこそこの年になってまで独身貴族を貫いているのでは?多少キングの虫よけがあったとしても。
 拗らせ童貞だ。人妻は幼馴染をそう認識した。

「フォルテ!僕で童貞卒業して女の子慣れしよう!」
「なにがどうなってそうなるんだよ!そういうところだぞお前!!!!」
「でも童貞なんでしょ!?僕が戻ってきたときのためにとかなんか変な気遣いしてさ!」
「変な気遣いってなんだ!そんなんじゃねーよバーカ!」

 否定が無いので童貞なのは確からしい。

「お、おいお前らこいつ止めろ!いいのか他の男とヤって!」
「嫌だけど…でも、奥さんはお前のために一肌脱ぐっぽいから…なぁアシッドさん」
「止めるのは不可能だということだね…」

 ブラストとアシッドはフォルテに目を向ける。憐れんだ目だった。
 奥さんが幼馴染と一線を越えようとしているのは止めたほうがいいだろう、本当はそれがいい。
 しかし止めてもこの拗れた関係は治らないだろうとも思う。
 なら、一線を越えてスッキリしちゃったほうがいいのではないか?
 ブラストが人妻に仕込んだテクは今や極楽へ届かせるほどになったと思う。ちょっと言いすぎたかもしれない。
 でも奥さんの強い部分を見れば拗らせ童貞もちょっと治るかもしれない。
 彼は今の奥さんではなく、過去の奥さんになる前の、力が無かった少女の頃の奥さんしかしらないから。
 アシッドもブラストと同じ考えに行きついたらしい。
 荷物から道具を取り出してテーブルに並べ始めている。
 ブラストは人妻の手伝いをすることにした。
 フォルテを捕まえて奥さんに服を脱がせさせる。
 抵抗するが人妻にちんちんを握られて動きを止める。

「元気になるように頑張るね」

 ぷるぷるの唇でナニに口づけの挨拶をしてから舌を伸ばして妖艶に這わせ始める。

「うっ…」

 フォルテの腰が引けるがブラストは逃がさないよう押さえつけた。
 ロックはナニを喉の奥まで咥え込んでしゃぶりはじめる。

「奥さんえっろ…」

 思わずつぶやくブラストにロックは目を細めて微笑んでくる。魔性だ。
 アシッドは取り出した感度が高くなるローションをフォルテの胸元に垂らし、ブラストはそれを馴染ませるように
 手を這わせ乳首をくにくにと弄り始める。

「待っ…ぅ、んぅっ…ぅ…」

 フォルテは顔を真っ赤にしながら身を捩りつつ、声を抑えるために手で口を塞ぐ。

「うーっ…!うーーー…!!!」

 脚を痙攣させながら身を縮ませて唸る。
 ぷじゅるじゅると水音が上がる。奥さんがわざと音を立てながら射精された精液を啜って飲んでいるのだ。

「はー…はぁー…フォルテの、濃いねぇ…」

 蕩けた笑みを浮かべながらロックは呟きつつ手は上下に動いてフォルテのナニを扱いていた。
 その手にアシッドがちゃんとローションを垂らしていくので連携プレイが出来上がっている。

「まだここにいっぱいあるよね?」

 陰嚢の片方を口に含ませながら聞いてくる。えっちすぎる人妻にフォルテは首を左右に振りながら拒否する。

「うそつき」

 ジト目でロックは呟いてコンドームを被せると馬乗りに被さってくる。

「やめ、ろっく、やめろ、やめ…」

 腰が降りて来てフォルテの全てを飲み込んでいく。

「僕のなか、味わってね…ふぉるての、すてき、だよ」
「ろっく…」

 ロックにキスをされて―――フォルテは堕ちた。



   ◇◇◇◇



 フォルテを搾り取った人妻は勢いに乗って二人と3Pをし、とても幸せな状態で朝を迎えた。
 ずっとラブホにいるのも何なので身なりを整えた4人はファミレスでモーニングである。
 結局フォルテは途中退場できなかった、乱れる人妻を最後まで見てしまった。

「なぁロック…お前が望むなら離婚の話をこっちで進めておくが」
「え?どういうこと?」

 キョトンとした顔でフォルテを見るロック。

「もともとは俺が断って縁談が今の旦那のところへ行ってしまっただけだろ?
 たぶんこっちが縁談をそっちに譲ってやったみたいな形にしてると思う。
 ンで10年以上も夫婦らしい関係が築けていない、話をしようにも会話がないお前が離婚したいなぁっていうなぁなぁの状態のままでいいなら話はしないが本当に別れたいなら俺の家から話をつける。すぐに離婚にはならないが、確実に離婚にはなる」
「なるほど…お願いした見返りってなに?君と結婚?」
「…しなくていい。…いや、待てよ…偽装結婚するか?」
「ふぇ?」
「俺とお前が結婚しといてさ、お前ら3人で遊べば?」
「爛れてるよ~~~~」

 ロックは頭を振る。

「提案の一つとして言っただけだ。別に結婚しなくてもいい。
 ま、話は進めておく」 
「うん…なんか、ごめん。僕、勝手ばっかり」
「それだけ好きなんだろ?」
「うん、そうなの…」
「…はぁー…惚気られると疲れる」

 席を立つフォルテ。

「もういっちゃうの?」
「あぁ、しばらくお前の顔みたくないし」
「え…」

 悲しそうな顔をするロックだが、フォルテの顔が赤いことに気づく。

「……あ、そっちの意味で」

 えっちなこと思い出しちゃうからか…と察するロック。
 ならしばらく距離を置いた方がいいだろう、童貞には刺激が強すぎたはずだ。
 ウンウンと納得するロックの態度にフォルテは怒りながら去っていく。

「なんか…新鮮な奥さん見れてラッキーだったかな」

 ブラストはクスクス笑いながら言う。

「子供の時から喧嘩してたからついあんなやり取りになっちゃうんだよね…」

 ロックは苦笑しながら視線を窓の外へ向ける。

「子供のままじゃだめなのにね…僕たちムキになってたのかも」
「幼馴染と元鞘に収まるか?」
「奥さんがそう望むならオレたちかまわねぇよ」
「ううん、そうじゃないよ。今はもう大丈夫だから。フォルテも大丈夫だと思う。
 …二人とも、付き合ってくれてありがと。二人がいるから今の僕がいると思うの。
 ―――ありがとう」


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