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山奥。
トルネードはテングと焚き火を挟んで向かい合わせに座っていた。
テングは黙って静かに酒を飲み、トルネードは火を見つめている。
「なぁ、料理どうだった?」
ぽつりと呟くトルネード。
「練習はしたけど、お前の口に合うかどうかが解らなくて」
「……食えた」
「美味しいとか、不味いとかねーの?」
「……」
テングへ視線を向けるが彼は無反応だ。
トルネードは少しムっとしてテングの横へ移動して飲み干されて空っぽの杯を奪う。
「不味かったら改善するし、美味しかったら嬉しい!」
「面倒くさい男め。いちいち伝えなければ納得できないのか」
「そうだとも!」
「…不味くはなかった」
「…まぁいいか。もう少し練習する。ほら」
トルネードは杯に酒を注いでテングに返す。
テングは少しの間その杯を見つめていたが黙って受け取り飲み始めた。
トルネードはテングの横に座ったまままた火を見つめ始める。
最初の頃はテングに興味があってアレコレ話しかけては邪険に扱われていたが今ではテングも諦めたのか、
トルネード自身の会話数が落ち着いたせいか、こうしてただ一つの空間を二人で過ごすことが多くなった。
何故テングに惹かれたのかはよくわからない。
周りにいなかったタイプだからだろうか?
自分と近い特徴を持ったロボットだから?
それとも『自由』に生きているから?
『特別な存在』になったのに、まだ『自由』を求めているのだろうか自分は―――
「トルネード」
「えっ」
不意に名前を呼ばれたのでトルネードはビックリしてしまう。
顔を向ければテングが酒の入った杯を差し出していた。
「あ、俺あんまりアルコールは…」
「拙者が嫌がってもアレコレ世話を焼くくせに断るとは良い身分だな」
「や、そういうわけでは…わかった、貰う」
杯を受け取ってグイっと飲む。
「!!!!?」
バシャーンっとプロペラを展開させるトルネード。
「お前のそのショックを受けたら開く癖どうにかしろ」
「ゲホゲホッ…!!なんだこれは、こんなのよく飲むな!!!?」
「普通だが?」
「いや、アルコール度数が高いぞ!」
「貴様の修行不足だ」
見下した目でいうテング。
「グッ…ならば慣れてやる!」
「お前はバカだな」
「お前が挑発するからだろ!」
トルネードは杯に酒を注いで再び飲む。
「倒れても助けないからな?」
「あぁ、俺が勝手にやっていることだからな!」
◆◆◆◆
完全に酔ったトルネードはテングにしがみ付いていた。
倒れはしなかったが絡んできたのだ。
「熱い……」
「お前は本当によくわからんやつだ」
「わるかったな……うわっ」
テングに突き放されてトルネードは地面に倒れる。
「テング…ひゃうっ!?」
テングにうつ伏せの状態で尻を掴まれトルネードは声を上げた。
そのままビリビリとボディスーツが破かれる。
無意識の期待でどろりと、透明な潤滑油が垂れ始めて余計にトルネードは焦った。
「やめ、やっ…今日はそんな、気分じゃ…!!!」
「……」
「テングゥ!!!」
名前を叫ぶがテングは容赦なくトルネードを貫いた。
「あ、あぁぁぁっ…!!!」
慣らしの前戯も無いまま捻じ込まれて苦しい。
「おなか、こわれ、るっ…あっあぁ、あっ……」
舌を垂らしながら訴えるトルネードだがテングの攻めは止まることはない。
狭いせいでなかなか奥まで挿入できず何度か突きを繰り返すたびトルネードは悲鳴のような声を上げながら身悶えた。
ごつり、と奥まで届く。
「ひぃっ……!!!」
ガクガクと身体を震わせるトルネードを抱き上げるテング。
「お前の中はきつくて苦しいな、相変わらず」
「規格外、だって、言って……ああぁっ!!!」
揺さぶられ、ごつごつと何度も奥を叩かれる。
「ッ……」
「んぐっう、ぅぅ…!!!」
指を突っ込まれてそれをしゃぶりながら、トルネードは奥に出された廃油の熱を感じた。
「あぁ、あつ、い…熱い……キス、させてくれ…テング、お願い……」
「……」
一端引き抜いてテングはトルネードを向かい合わせにする。
トルネードはそのままテングにしがみ付いて口元や首筋などへキスを落とし始めた。
それは段々と艶かしくなり、舌を伸ばして舐め始めるようになる。
その間テングはトルネードの廃油口を指で弄っていた。その指の動きにあわせてトルネードが喘ぐ。
「欲しい、すまないテング…もう一度…ひっ…!!!」
再び捻じ込まれてトルネードはテングにしがみ付いた。
「テング、テング…!!」
涙を流しながらトルネードは腰を揺らせてテングの口元を舐める。
「俺、お前と一緒にいていいか?仕事が出来なくなったら、ここで一緒に過ごしても良い?
お前を俺の居場所にしてもいいか?」
「好きにしろ。もう囀るな」
「っ!」
地面に押さえつけられ、テングに容赦なく攻められてトルネードの意識は落ちた。
好きだとかいう感情ではなく、ただの憧れなのだろうか。
テングは眠るトルネードの頬を撫でる。
この若いロボットの行動原理はよく解らない。
きっとこちらに対してもそう思っているのだろう、だから何かしらあれこれとしてくるのだろう。
「ンっ…テング…?」
テングの手を握って、トルネードが目を開く。
しかしその目はとろんとしている。恐らくまだスリープモードから抜け出せていないのだろう。
アルコールの処理が上手く行っていないのかもしれない。
「トルネード、お前の手料理は美味かった」
「……」
トルネードは笑みを浮かべてそのまま目を閉じてしまった。
らしくないことを言ってしまった、と後悔する。
メモリーに保存されていなければいいのだが…。
テングはいつもどおりトルネードを置いて、そのまま滝の元へと向かった。
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