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 カラリと晴れた空は気が遠くなるほどの青空で。
 ジャイロは空を見上げながらアレがこないかと思っていた。
 いつもジェットエンジンのやかましい音を立てながらやってくる鳥。
「ジャーイロっ!」
「!?」
 今日はいつもと違って後ろから声がかかる。
 おかしい、まさか正面の入り口からはいってきたのか?とぐるぐる思考が走ったが、
 振り返って理解できた。
 今日はジュピターの他にサターンがいる。
 彼が空間を渡らせて来たのだろう。
「チィッス。いつもジュピターがお世話になってます」
「本当にな」
 ジャイロの表情を見て苦笑するサターン。
「今日は珍しいな、仲間を連れてくるなんて」
「あぁ、サターンって部屋から出ねぇからたまに引っ張り出すんだよ」
「あぁ…そういうヤツいるな」
 ジャイロはグラビティーを思い出しながら頷く。
 アレはどうやっても外には出せないが。
「ほらほらサターン!草!これ前ホーネットがいってた草!」
「草って…植物と言ってお願いお兄ちゃん」
 きゃいきゃいするジュピターに引っ張られていくサターン。
 ジャイロは振り回されているサターンに同情しながらも二人から少し距離を置きつつ後を歩く。
 本当にジュピターは楽しそう。
 ジュピターは全力で人生を謳歌する勢いだ。
 嗚呼、楽しいのだ、生きることが楽しいのだ。
 そんな彼を壊してしまったら自分はどうなるだろうと考えてしまう。
 彼と一緒に生きたい気持ちと、この破壊の衝動が拮抗してコアが痛い。




 庭園を一通り回った後、ジュピターは空が飛びたいと言い出して飛んでいってしまった。
 まったく自由すぎる。
「あー、やっと開放された」
 ベンチに座るサターン。
「退屈だったろう?」
「いや、俺結構植物好きなんで。
 …ジュピターと仲良くしてもらってるけど、大変でしょ?」
「あぁ」
「でもあれだいぶ丸くなってんですよ」
「だろうな。なんとなく解る。同じだから」
「……やっぱりアンタも同じなんだ」
 サターンはジャイロを見ることなく呟く。
「同じなのにどうして付き合ってんだ?殺せばいいのに。
 ジュピターも全力で応えるだろうよ」
「知っている。」
「できない?」
「解らない…俺はお前たちと立場が違うから」
「こっちに来ちゃえば?」
「俺はDWNだ、出来ないんだ。出来ないなら壊すしかないだろう!?
 それなのに壊すことすら…!!!」
「おー、マジ恋しちゃってんな」
「うるさい!!!」
「でも安心した。アンタならジュピター壊されてもいいや」
「なっ…!?」
 ジャイロはサターンを見る。
 サターンは微笑んでいた。
「お前の、仲間だろう?」
「仲間だからこそ。俺は愛する者に殺されるのもまた一興だと考える。
 寧ろそれ以外のヤツの手にかかって死ぬのはゴメンだね。
 だからいいよ、ジュピター殺してくれて。」
「簡単に言う」
「簡単だもん」
「…」
 息を吐くジャイロ。
「いいだろう、アイツを壊してやる。この手でな」
「あぁ、がんばれよ」


   ゴゥッ…


「ただいまー」
 帰ってくるジュピター。
「やっぱここまで来るのは飛ばないと落ちつかねーなぁ。
 ん?ジャイロどうした?」
「なんでもない」
「んん?」
 ぎゅっと抱きしめられてジュピターは不思議そうな顔をする。
「なんかあったのか?」
「ノロケ話を少々」
 ジュピターに答えるサターン。
「先に俺帰ってるわ。邪魔になるし」
「おー、よくわかんねーけど」
 姿を消すサターン。
 ジュピターはジャイロの腕に手を添える。 
「惚気たんだ?」
「煩い」


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