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 プルートは風化して崩れた遺跡の柱の上で寝転んでいた。
        
         今日は少し心地よい日だ。
        
        「おーい、神サマよー。メシ食べようジャン?」
        
        「!」
        
         身を起こして声のしたほうへ顔を向けるとスラッシュがサカナを掲げながら立っていた。
        
         プルートのことを神サマと呼ぶのは、プルートがこの地で眠っている間、神サマとして扱われていたからである。
        
        「食べるにゃ!」
        
        (この言語障害早く治らないかな…)
        
         プルートは締まりのなさにちょっと悲しく思いながら柱から飛び降りた。
        
        
        
        
 恐ろしい神サマとして崇められていたらしい。
        
         そして自分を取り合う戦いがあり、その時にスラッシュと出会った。
        
         スラッシュは傭兵たちに道案内を頼まれた地元のガイドで戦いに巻き込まれたということになる。
        
         ただゲリラの紛争地帯であるのでひ弱な一般市民というわけでもなかったのだが。
        
        
        
         プルートはがつがつとお魚を貪る。
        
         魚は好物だ。ここらは森林の中なので一々川まで行ってサカナを取らなければならないのが面倒であるが。
        
         スラッシュは好物をしっていて持って来てくれる。
        
        「なぁなぁ、異星人だけど人工的な兵器なんだろう?なんか生物って感じがするから変な気分がするジャン?
        
         オイルとかは飲めないの?」
        
        「難しい話になるから俺にはよくわからないにゃー。
        
         自動設定だから俺の意志でやってるんじゃないしにゃ」
        
        「そういう風に作られてるってこと?」
        
        「にゃ」
        
         頷く。
        
        「神サマはさ、家に帰らなくていいの?仲間と一緒のがいいジャン?寂しくない?」
        
        「無意識の部分でアース隊長と繋がってるから大丈夫にゃ」
        
        「うーん…そういうモンだろうか…」
        
        「スラッシュ、そろそろ俺のこと名前で呼んで欲しいにゃ…」
        
        「えぇ、なんか呼びにくいジャン」
        
        「俺神サマじゃないし…」
        
        「どちらかというと招き猫…」
        
        「にゃ!?」
        
        「なんでもない。あ、そうだ!この間さ、バーストが来てさ」
        
         スラッシュは何やら荷物を漁り始める。
        
        「バースト…あぁ、あのクレイジーの方。」
        
        「そう、デンジャーの兄。お前のツメを参考に作ってた武器あるジャン?
        
         改良したとかいって新しいのくれたんだよね。暇なのかなあの人たち」
        
         取り出してきたのは3本の爪鉤が付いた武器である。
        
        「だいぶ暇なんじゃないかにゃ」
        
        「手合わせしてくれジャン」
        
        「いいけど報酬はブラッシングにゃ!」
        
        
        
           ****
        
「ブラッシング…」
        
        「隊長?」
        
        「なんでもない」
        
         アースはサターンに答えながらソファに座る。
        
         そしてサターンがテーブルに紅茶を淹れたカップを置く。
        
         最近は地球人に合わせるため宇宙的飲み物から切り替えて極力地球人が口にするものにしている。
        
         当初「淹れるのメッチャめんどくさいんですけど!」と言っていたサターンもなれたのかすんなり淹れてくれるようになった。
        
        「次はコーヒーが飲みたい」
        
        「自分で淹れるとかしないんですか…」
        
        「お前のが、いいんだろう?」
        
        「モノは言い様ですよねソレ」
        
        「解るか」
        
        「隊長って軽い冗談を言うとき目が笑ってますから」
        
        「…ほぅ」
        
         関心するアース。
        
         自分はそういうものだったのか、と新鮮な気分になる。
        
        「お前は嘘をつくとき私を見ないな」
        
        「……」
        
         顔を紅くするサターン。
        
        「ふふふ…、さて。そろそろプルートの顔をサンゴッドさまに見せないとな…」
        
        「あいつよくあんな場所で暮らせますよねー」
        
        「ここはマーキュリーやネプチューンがいるからな、ストレスが溜まるんだろう。
        
         マーキュリーは何かと神経を逆なでしてくるし、ネプチューンに対してはあれだ、美味しいそうだと感じているようだ」
        
        「あぁ…」
        
         頭を抱えるサターン。
        
        「しかし所詮飼い猫。サンゴッドさまがモフモフしたいと思えばモフモフされなくてはならない」
        
        「そんなもんですか。じゃあ迎えに行ってきます」
        
        「あぁ、頼む」
        
        
        
        END
        
  
 
 
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