爆音に身がすくんだ。 爆撃だ、皆森へ逃げようと走っている。 足が竦んで動けなくなってしまった自分は幼い弟を抱きしめて建物の物陰に隠れることしか出来なかった。 先ほどより大きな爆発音と悲鳴。 森の方からだった。 空爆ではない、戦車は来ていない。 (地面に爆弾が―――) 森へ逃げると予測してて、埋めたのだろう。 もう死ぬかもしれない、助からないかもしれない 爆発音が怖い。 瞬間、大きく揺れる。 思わず上を見上げてしまった。 崩れる建物の壁が目に写る。 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 その後の記憶は無い。 奇跡的に助け出されたバーストとグレネードはそのまま戦災孤児として扱われ流れ流れて最終的にレジスタンスに拾われてしまっていた。 グレネードは戦士として教育されていったがバーストは『爆発音』に怯えるため別の役目を負わされていたが、 爆薬を使った兵器作りに関わってから頭角を現せていく。 ―――爆弾が怖い物だって皆がその身で知ればきっと使われなくなる。 バーストは様々な知識を吸収していった。 **** 「今はそのレジスタンスもなくなってしまったなぁ…。 よくわからん組織に拾われてしまった…とりあえず最低限の人道的な扱いをしてくれているのが救いか」 椅子の背もたれに体重をかけながら天井を見上げているバースト。 この組織は、簡単に言えば『武器商人』だ。 武器を人間付で『貸し出し』し、あわよくば武器を売り込む。 正義も悪も関係なく、利益のみを優先している。 何かしら信念をもっていたり政治が絡んでいたりするよりは大分マシだとバーストは思っていた。 どういう経緯でこのような組織が生まれたのかは解らない。 しかしバーストにとって『自分が作った武器』を世界中に撒き散らせるのだ、深く詮索はしない。 「ん!来た!」 バーストはガタンッと目の前のPCに飛びついて打ち込み始める。 インスピレーションは唐突に。 新作の兵器が閃いた。 今度こそ、今度こそ皆怖がるはずなのだ。きっと、恐ろしいものだと理解してくれる。 恐怖しないのはイカレた弟か――― 「バーストォ!!!!」 「……」 手を止めるバースト。 なんと言うタイミングで来るのか。 グレネードが飛び込んできた。 彼は当時の戦士としての教育の影響か(多量の薬物を投与するため)すっかりイカレてしまい、バーストが実の兄だと認識しているのかどうかわからない。 会話を成立させるのが困難なのだ。 なのでバーストも他人のフリをしている。寧ろ避けている。 血が繋がっていると知っているのは数人だけだ。 「何か用か」 「武器くれよ!新しい武器をよォ!!!!超シゲキ的でシビレる武器だよ!!!!」 「ないから帰れ帰れ」 手でシッシッと追い払う。 「んーだよ…。そうだバースト、このスーツに爆薬仕込めねぇのかぁ!?」 黒いボディスーツを撫でながらいう。 「何でだよ、自爆したいのか」 「気持ちよさそうだろぉ?」 「そのスーツはお前が内臓ぐちゃぐちゃになっても骨が折れても動けるように作ったんだぞ。 自分から爆発したいならそのスーツ脱いで腹に爆薬巻いて死ね」 「自分じゃ脱げねーだろーがコレ」 不満そうな表情を浮かべるグレネード。 彼のいうとおり、特殊なスーツで内側に針状の端子がついており、彼の肉体に無数に突き刺さっている。 外し方も外部の者の操作で行うのだ、勝手に脱がないようにという理由もあるのだが。 「そうだったな。」 今日は珍しく会話が成立している。このままお帰り願いたいが。 「なぁバーストぉ…」 「やめろ抱きつくな」 「一緒に遊ぼうぜぇ?オレ様を可愛がってくれよぅ」 「……」 眉を顰めるバースト。 ある種脅迫だ、断れば暴れるのだから…コチラの立場はどうしても弱い。 ナパームのように強引にねじ伏せる力があればいいのだろうが…。 バーストはポンポンとグレネードの頭を撫でるように叩くと彼はバーストを解放した。 **** グレネードをベッドに座らせ、バーストは丁寧にボディスーツを外していく。 全て外さない、全部外してしまうとグレネードはほとんど動けなくなってしまう。 それほどまでに彼の身体はガタガタになっているのだ。 両手、下腹部…一つ外しては丁寧にテーブルの上へ並べていく。 「なんか内臓むき出しになっていってる感覚がするぜぇ!キモチイー!!!ギャハハハッ」 「オレは昆虫の解剖してる気分だよ…」 「なぁバースト、お前もソレ外せよ」 「コレ?」 マスクを指差す。 「キスとかしてぇだろぉ?」 「噛むなよ?絶対に。噛んだら止めるからな?」 マスクを外し、バーストはグレネードにキスをする。 (兄弟同士で何をやってるんだか…) いや、ただ同じ血が流れているだけだ。 それだけだ。ここでは一般常識なんて通じるわけが無い。 グレネードの舌はピアスが付けられていて、異物感を味わうことになる。 柔らかい舌が絡み合う間に硬いものが触れてくるのだ。 既に勃起しているグレネードのそれを握る。 「へへ、もっと強く握ってくれよ?」 「お前は感度が一般よりも落ちているんだ、あまり無茶はするんじゃない」 「まどろっこしいぜぇー!」 「!?」 胸倉を掴まれたかと思った瞬間、そのままグレネードに抱き寄せられベッドに押し倒される。 「どんだけされれば気持ちイイか教えてやるよぉー!!!」 「な!?教えられる筋合いはないぞ!!!」 「オレ様の親切だぜ!っと、オレ様用の拘束具使ってやるよ!」 ベッドの下から手錠を引っ張ってくる。 ベッドに繋がっている代物で、グレネードのために取り付けてあるものだ。 抵抗するのも無駄に終わり、両手両足が拘束され大の字になってしまった。 「なぁバーストぉ…」 「何だ…」 グレネードはバーストの顔を掴んで、顔を近づけてきた。 「まだガキだったころ、一回だけ見たことあるんだけどよぉ。 お前犯されてただろ。何人とヤったんだ?ずっと便器暮らしだったのか?」 「さぁ…生憎だが薬を投与されてたからよく解らない」 概ね本当のことを話す。 ずっと犯されていたわけではないし、自分だけがそういう目に合っていたわけではない。 しかしグレネードに話したところで彼には興味の無い話であろう。 だが意外だった、過去の話をするとは。 「どうした急に」 「いや、気持ちよかったのかと思って」 「薬による高揚感はあったかもな。それ以外はないだろ」 「ンじゃあオレ様がカイカンを教えてやるぜ!」 「なんでそうなるんだよ!え、おい待て!?」 グレネードが隠し持っていたらしい、細い注射器を取り出してバーストの太ももの付け根あたりに狙いを定め始めたようだった。 「うわ、あっ…!?」 「キくぜぇ?たまんなくなっちまうからよぉ!」 グレネードは空になった注射器を投げ捨て、新しい物を出すと自分の舌に刺して注入する。 「ヒャハハハハッ!!!」 笑いながらグレネードはナイフでバーストの服を裂く。 「おい、グレネード…ナイフで、刺したり…は、よせよ…?オレは、生身で…」 「ちょっとぐらいはいいんじゃねーのか?」 「うあぁ!!!」 ナイフの先端が胸元を浅く切り裂く。 ゆっくりと血が滲んでズキズキと痛みが走る。 グレネードは笑いながらそのキズを舐め、手で身体を撫で回し始める。 その手はゴツゴツしてる上に遠慮が無い。 (駄目、だ…薬が回ってきた…早いな…意識を、保てるか…) キズの痛みが感じなくなってきた。 「よーし、準備してやるからなぁ?」 グレネードが何やらごそごそし始める。 普段グレネードに使っている道具たちだ。 その中で尿道を責めるための器具を手にしてきた。 先端に凹凸があるしそれなりの太さで未経験のバースト向けではないだろう。 「待て、やめ、グレネード…ッアァァァァ!!!」 ガシャガシャと暴れるバースト。 痛みはないが激痛の代わりにビリビリとした感覚が襲ってくる。きっと本来激痛と感じなくてはいけない感覚だ。 異物感と恐怖に襲われる。 グレネードはその様子が大変気に入ったようで力任せに出し入れを繰り返す。 「こっち犯されるのもたまんねぇーだろー?まぁまだこれからなんだけどよぉー。」 一旦奥まで挿入し、そこで手を離すとその手で足の拘束を緩め、脚を持ち上げる。 秘所をローションで濡らしながら指を挿入してきた。 彼にしてはかなり丁寧な扱いだ。 「ふっ…うっ…」 バーストの表情は次第に蕩けはじめてくる。 「うっ…」 ディルドを捻じ込まれ始め圧迫感に息が詰まる。 ぐちゃぐちゃと聞きたくない音が大きく聞こえてきた。 しばらくの間、前と同じく何度か出し入れを繰り返されて奥まで捻じ込まれる。 「うあ、あぁぁ…!!!」 下半身がガクガクと震えている。 「いい顔だぜバースト、オレ様好み」 キスをする。 本当ならもっともっと気持ちよくさせてやりたいのだけど。 グレネードは少し残念に思いながら次に使うものを引っ張り出してくる。 電極のクリップである。それで前や後ろから僅かにでている箇所を挟む。 「ぐれねーどっ…ぐれねーどぉ…」 首を左右に振りながら身をよじりはじめるバースト。 「ヒャハッ!いい顔ぉ!!!」 スイッチを入れるグレネード。 「ッ――――!!!!」 電流が走り絶叫を上げるバースト。 「丁度いいシゲキだろぉ?ギャハハハッ!!!!カイカンだよなぁー!!!」 面白いほど身を仰け反り跳ねるバーストを見下ろす。 電流を流されるカイカン、イキたくてもいけないカイカンが襲っているはずなのだ。 スイッチを切ってもバーストの痙攣は治まらない。 拘束を外して抱き上げる。 項垂れるバーストの頭を掴んで顔を上げさせた。 その表情はグレネードから観ると完全にカイカンに満たされていた。 「いい顔だぜぇ!!」 **** 全ての感覚がおかしい。 痛みがない、快感に襲われて苦しい。 逃げ出そうとしてもグレネードが離してくれない。 「あ、あぁっぁ…」 舌が痺れて喋れない、何本舌に注射を打たれただろうか。 唾液がだらしなく垂れ流れて顎を濡らしている。 何度か意識は飛んだが、頬を殴って来るのだ。 今はローターを奥まで捻じ込まれ、その上でグレネード自身に貫かれて犯されている。 イキたい、イって楽になりたい。 「う、ぇ…ぁっ…」 グレネードの名を呼びたいのにこの有様で、尿道の異物を抜いてもらえない。 自分で抜こうにも、手がグレネードの背に回ったまま動けない、いうことを聞いてくれないのだ。 涙も止まらず、酷い顔になっていることだろう。 「そろそろ終わるか?薬も切れちまった」 「う、っあ…」 ぎゅうっとバーストの腕に力が入る。 「アンタに抱きしめられるの、結構いいな。今度首絞めてくんねぇ?」 「オレは君の何だと思う?」 「武器くれる人」 「……」 はぁ、と息を吐くバースト。 かなり無茶をされた。絶対にこの後くるであろう悲劇的な痛みにしばらく耐えなくてはならない。 「オレは君より偉い、なぜなら君に武器を与えているからだ、解った? 勝手な行動するな、な?」 「わかったわかった」 (解ってないな…) 「…」 グレネードはバーストにくっついたと思えばそのまま頭を下げて膝を枕にしてしまう。 「どういう甘え方なんだ。お前の考え方がわからないぞ」 「いや、なんか思い出しそうで…あれぇ?オレ様ってお前とどういう関係だったっけ?」 「恋人同士ではないから離れろ」 忘れてしまったのか、幼少期の投薬の影響なのだろうか。 もしかすると幼すぎたのかもしれない。精神が。 「なんで泣いてるんだよバースト…そそるぜ?」 「うるさいよ。お前はオレのために武器を使っていればいいんだ、全部破壊してればいいんだ」 「変なバースト」 「お前に言われたくない!正常だから泣いてるんだ!!」 「??」 グレネードは少し戸惑いながらバーストの頭を撫で始める。 「全てをお前に吐露したところで、お前は理解できないんだ、それでいい!」 「よーくわかんねーけどぉ…変な気使われてる?」 「……」 「お前わかんねーぜ」 立ち上がりながらグレネードは目を細める。 「オレ様にだけ妙に優しいし?」 「…明日来い。武器、作っておくから。もう行け」 「? はーいはーい」 部屋をでるグレネード。 何か重要なことが抜け落ちている気がする。 バーストの顔は小さいころから知っているのだが、一番バーストのことを良く知らない。 小さいころ、そうだ、バーストが熱心に爆薬を作っていて、そこで独り言のような語りを聞いたのだ。 だから自分は爆薬が大好きになって、破壊することが気持ちよくて、自分も壊れることが気持ちよくなってきて。 今は自分のために破壊活動を行っているけれど、最初は、最初の切っ掛けは… もしかすると、その何気ない会話がきっかけだったのかもしれない。 昔の記憶過ぎて思い出せないけれど、きっとそうなのだろう。 END |