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【注意】
エアーさんの過去を少しと現在のメタルさんちょろり。
何が起こっているのか、そのとき理解できなかった。
理解の範疇を超えていた。
全身鋼鉄に包まれた『ヒト』が、手から高速回転するブレードを飛ばして障害物を切断していく。
まるで映画を見ているような光景。
上層部が何かを作っていたことは噂に聞いていた。
だから、裏切り者が出たか奪われたかどちらかと、そのとき思った。
だから、周りのものは銃を向けそれを止めようとした。
しかし出来なかった。
無理だったのだ。
銃と共にバラバラになっていく仲間たち。
自分はたまたまこの基地に補給に立ち寄っていたため装備がハンドガンしかなかった。
だからだろうか、ソレは面白いモノを見るかのような視線を向けて歩み寄ってくる。
銃弾は効かなかった、もう少し火力のある…徹甲弾かレーザーあたりなら望みがあったかもしれない。
『この基地の所属者ではないな』
ソレは電子音で呟きながら手を伸ばし、弾が尽きた銃を向けたままのエアーの胸元を掴み上げてくる。
「うっう…」
『貴様、戦闘機は扱えるか?我々の足になれ』
「なにっ…を……」
『博士、指定の場所へ向かいます』
ソレは振り返りながら言う。
視線をそこへ向ければ悠々とした足取りでやってくる一人の男。
そこではっきりと理解した。
ある種の裏切りだろう。
しかし恐らく違う。顔を見れば解る。
裏切りだの侵入者だのではない、我々はこの男に利用されていたのだ、と。
*****
「ふぅーむ…」
メタルは顔を鏡に映し撫でながら唸っていた。
「どーしたんですかメタルさ~ん!ジェミニちゃんみたいですよ~!」
マグネットが声をかけてくる。
「貴様の身内など知ったことか。エアーに笑えといわれたので笑ってみれば引かれたんだ」
「メタルさん笑えるんですか?」
「…笑顔を作るのは問題ないはずなのだがな、どうだ」
ニヤリと笑うメタル。
「目が笑ってないからすごく怖いです。心から笑ってください夢に出そう」
「人間はワケがわからん」
「メタルさんってそういうトコだめだと思いますよー。
メタルさんも人間なのに~~」
「……」
「……」
メタルとマグネットは見詰め合う。
「え、人間じゃないんです?」
「…発言の許可を得ていないのでノーコメントだ」
「あ~~~やっぱり人間じゃなかったんだ!そうだと思った!だって恐いですからね!尋常なく!」
「おい、何油売ってるんだマグネット」
ニードルがやってくる。
「あぁ、よかったニードル。道に迷ってさぁ」
ドスッ
「失礼しました」
「あぁ」
マグネットの腹に一発拳を打ち込んだニードルは、ぐったりするマグネットを抱えて出て行く。
「何故施設内で迷子になるのだ…?」
目を細めるメタル。
「目…うーむ、動物は目で判断するというしな…難しい。
だいたい博士は私を戦闘用として作っておきながら人間になれというのは可笑しな話ではないか…」
「独り言かい?珍しいね」
バブルと、その後ろにウェーブがついてやってきた。
水中戦闘の模擬戦をよくやってるのでその関係だろうが、二人とも濡れたままここまでやってくるとは一体どうしたことだろうか。
「掃除は誰がするんだ?」
「ウェーブがしてくれるよ」
「えっ!?」
バブルの発言に声を上げるウェーブ。
可哀想に、しかしバブルを上司として持っているのだ。上司の命令は絶対だ。
「ふぅーん。シャワー室が壊れてたのか?」
「それもあるけどタオルがなかったんだよね。雑務の当番は誰だったかな?」
「マグネットだな。」
「よしあとで殺す。ねぇメタル、タオル持ってきてよ」
「貴様は他人を何だと思ってるんだ」
「言う事聞いてくれる便利アイテム」
「……」
メタルはため息を吐きながら立ち上がりタオルを取りにいく。
恐らく洗濯は終わっているだろう、それを元の場所に戻すという芸当がマグネットには出来ない。
道に迷う、というのもあるのだが「必要な人がいたらもっていってくれるだろう」といういい加減な考えももっている。
メタルにはそれがなかなか腹が立つのでバブルにキチっとシメて貰おうと思った。
END
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