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軽いモブ姦注意
        水晶さんがゲスくてごめんなさい
        「資金調達のために私たちは日夜働いていますが…この不景気な世の中、期限までのノルマ達成まで少々厳しいですね」
        
         クリスタルは目を細めて呟く。
        
        「そうだねぇ…で、私たちを集めたということは何かあるんだろう?君のことだからロクなことじゃないだろうけど」
        
         スターは浮かない表情で言う。
        
        「心外ですね、私は皆のためにと思っていますよ。
        
         占いの仕事をしているときにちょっとお金を持て余しているお客が来ましてね、色々お話をしていくうちに仕事を一つ貰ったのです。
        
         結構な金額になりそうだったので引き受けました」
        
        「で、その内容はなんだ?さっさと言えよもったいぶりやがって」
        
         イライラしながらチャージが言う。
        
         むしろ言わせず皆この場から立ち去りたい思いであったのだがノルマを達成できなかった場合の後が恐い。
        
         それは死ぬほうが楽だと思えた。しかし死ぬ気はないのでこうやって金稼ぎに勤しんでいるわけだが。
        
         彼らはここから逃げても行くところはない、野たれ死ぬだけだとそう考えている。
        
         そして最終的にこういうトコロに転がり込んでしまった社会不適合者たちが寄り集まって、生活のために仕事をこなしているだけなのだ。
        
        「身売りです」
        
        「内臓を売れというのかい!」
        
        「それは最終手段だろ!誰が犠牲になるっていうんだ!」
        
        「いえ、内臓じゃないです。安心してくださいそういう身売りではなくて一晩身体を好きなようにさせるだけで命にかかわりはありません」
        
        「なんだそっかー」
        
        「それならそうと言えよな。がんばれよスター」
        
        「応援してるぜスター」
        
        「俺たちの分も頑張ってくれスター」
        
        「グッドラック!スター」
        
        「ちょっと待て!!!!なぜ私だい!?まぁこの中では一番整っているけどね!!!!?」
        
         結構薄情なメンバーに叫ぶスター。
        
        「誰がスターだと言いましたか、おばかさんどもが」
        
        「じゃあ誰なのさ」
        
        「私以外の写真を見せて好みを聞きました」
        
        「不公平だよクリスタル!!!なぜ君も入らない!」
        
        「だって私は依頼を引き受ける立場なんですよ?」
        
        (本当あいつ性格悪いな)
        
        (シッ!聞こえるよチャージ)
        
        「で、クライアントが選んだのはですね」
        
         クリスタルは視線を一点へ向ける。
        
         皆もつられて視線の先を追った。
        
        
        「………?」
        
         ウェーブだった。
        
        
        「え、ちょ…げええええええええ!!!!!!?」
        
         後ずさりながら倒れ、それでもよじよじと壁際まで逃げるウェーブ。
        
        「ヒッ…むり、むりむりぃ…おれ無理ぃ…」
        
         首を左右に激しく振りながらすでに涙ぐんでいる。
        
        「た、ただでさえっ…人嫌いなんだぞ俺はッ!吐く、絶対吐く!!!」
        
        「でも私たちは平気なんでしょ?大丈夫だよ」
        
         スターが歩み寄ってそっとウェーブの手を握る。
        
        「ちょっとお尻が痛くなるだけさ…」
        
        「無理だああああああ!!!!」
        
        「安心なさい。このクリスタルが仲間のことを思っていないと思うのですか?」
        
        「うん…」
        
        「心外ですね。ちゃんとウェーブさんのことを思って色々クスリの準備をしましたから、ウェーブさんは夢心地の中でヤられて終わりです。
        
         何も辛いことなんてありません。薬で意識も朦朧としているはずですから記憶にも残らないでしょう」
        
         サラっとえげつないことを言われる。
        
        「準備はバッチリじゃないか…よかったねウェーブ」
        
        「なんで俺なんだよ…なんでだぁ…!!!」
        
        「可哀想に…でも代わらないからね、さぁ仕事だと思って頑張るんだ」
        
        「実際仕事ですが」
        
        「うぐぐぐ…」
        
        
        
           ****
        
        
        
         そして仕事の日。
        
         ウェーブはクリスタルが用意した部屋に案内された。
        
        「何だ、この匂いは…」
        
        「お香です。気にせず。これを飲んでください、すぐに効いてくると思います」
        
         液体状の怪しいクスリが入ったコップを渡される。
        
        「副作用が恐いんだけど」
        
        「死にはしませんよ」
        
        「お前のそういうところが嫌なんだよな…」
        
         諦めてウェーブはクスリを飲み干す。
        
        「効いてきた頃に連れてきますので貴方はここで待機をしていてくださいね」
        
        「あぁ…」
        
         部屋をでていくクリスタル。
        
         ウェーブは既に精神的に疲れていた。
        
         これから起こるであろうこともそうだが、こうやって待たされているのもつらい。
        
         少しして、目の前がぐらぐらしはじめてくる。クスリが効いてきたのだろう。
        
         無事に終わって欲しい。
        
         本当に、他人は苦手だ。
        
         モリが欲しい。落ち着かない。
        
         武器が欲しい、武器。心を守る武器。
        
        「うぅ…」
        
         ずるりとウェーブはベッドの上へ倒れた。
        
        
        
           ****
        
        
        
        「ということは今は最中なのか」
        
        「えぇそうなんです。まぁもうすぐ終わるのでは?」
        
         ナパームに答えるクリスタル。
        
        「何せお相手は一人ではないので、あらあらウェーブさん頑張ってますね。」
        
         クリスタルはモニターのスイッチを入れて監視カメラからの映像を見て呟く。
        
         ナパームは覗き込む。
        
         数人に囲まれて犯されているウェーブの姿が映っていた。
        
         焦点の合わぬ目から涙を零しながら、痛みはないのだろう、喘いでいる様子で揺さぶられている。
        
        「見張り、といわれたがこの光景を見張ってないといけないのか?」
        
        「そりゃーそうですよ、ウェーブさんにお痛されちゃ嫌ですし。私、仲間思いなんですよ。
        
         それともなんですか?ウェーブさんの姿に興奮しちゃうんですか?」
        
        「いやその、そういうのは専門じゃないからな…」
        
        「何なら私を抱いて抜いてもいいんですよ?」
        
         スススっとナパームに寄り添うクリスタル。
        
        「ノーサンキュー」
        
         グイグイとクリスタルを押しのけるナパーム。
        
        「つれないですね。良い男なのに勿体無い」
        
        「武器が恋人」
        
        「これだからミリタリーオタクは」
        
         ため息を吐きながらクリスタルはソファに座る。
        
        「終わったら教えてください。私は休みます。」
        
        「ごゆっくり」
        
         ナパームは良い身分だなぁと思いながらも、まかされた見張りの任務のためにモニターを眺めることにした。
        
         任務とはいえ仲間が痴態を晒しているのはなかなか精神的に来る。
        
        (いやこういう訓練だと思えば…平常心を保つ訓練だ…拷問の一種だ)
        
         言い聞かせるナパーム。
        
         しかしあのウェーブがこんな姿になっているのは、何故か興奮を覚える。
        
         いつも怯えて警戒して、距離を置く彼の姿しか知らないからだろうか。
        
         そうこう考えているうちに、終わった。
        
        
        
          ****
        
        
        
        「む、この匂い…麻薬か?」
        
         部屋に入った瞬間に立ち込めていた匂いにナパームは呟く。
        
        「大丈夫ですよ、ソフトなやつですよ」
        
        「お前の大丈夫はアテにならないからな…。換気をしてくれ」
        
         呟きながらナパームはベッドに寝ているウェーブに歩み寄って抱き起こす。
        
        「大丈夫か?」
        
        「……」
        
         ゆっくり目を開くウェーブ。
        
         唇が微かに動く。
        
        「ん?」
        
        「っ…ぃ…」
        
         ―――ナイフ
        
         ナパームはウェーブの唇の動きがそう動いてるのに気づいた。
        
         瞬間、ウェーブがナパームのナイフを引き抜いて喉元目掛けて刃を突き立てようとしていた。
        
         それより早くナパームは腕を捕まえ押し倒す。
        
        「ウェーブ!俺だ、ナパームだ!」
        
        「あ?あ、あぁ…ナパーム?ナパームか?」
        
         カランと音を立ててナイフが床に落ちた。
        
        「ナパーム…うぅ、ナパーム…」
        
         ウェーブに抱きつかれる。
        
        「落ち着いたようですね、では私は依頼人と依頼料の上乗せ交渉にいってきますのでウェーブさんの後始末お願いしますね」
        
        「なに!?そこまでしなくちゃいけないのか!?ってウェーブ、おい!?」
        
        「ナパーム、ナパーム…」
        
         ウェーブが泣きながらナパームにしがみ付いて来る。
        
         それだけならまだいい、その表情。
        
         快楽にあてられている表情だ。
        
         これは犯されたショックでしがみ付いているというわけではない…
        
        「ごゆっくり」
        
         クリスタルがニッコリ微笑みながら部屋を出ようとする。
        
        「クリスタルーーーーー!!!!」
        
        「グッドラック、ですよナパーム」
        
        「全然グッドラックじゃない!!!」
        
         ガチャリと鍵まで閉められた、鬼だ。鬼がいる。ウェーブはまだクスリが効いている状態なのだろう。
        
        「正気に戻って自害しないだろうか…」
        
         戸惑いながらもナパームはウェーブに答えることにした。
        
         コートを脱ぎ、ウェーブに口付けをする。
        
         正直ヤるのは久しぶりだ。
        
         そして男とは初めてだ。極力ウェーブに負担をかけないようにしないといけない。
        
         ウェーブの秘所に指を伸ばすとどろっとしたものが溢れてきた。
        
         先客が出したものだ、ナパームは眉を顰めながら太い指を潜り込ませる。
        
        「んっあ…!」
        
         震えるウェーブ。感度はいいようだ。
        
        「本当に、入れていいのかウェーブ?」
        
        「……」
        
         蕩けた表情で笑みを浮かべたまま、ウェーブはナパームの腕を掴む。
        
        「ほ、しっ…ぃ…はや、く…」
        
        「ウェーブ、ごめん…」
        
        
        
          ****
        
        
        
         火薬の匂いがする。
        
         ふと、そう思った。
        
         考えが纏まらない、ぼんやりした意識の中、火薬の匂いに気づく。
        
         そして次にその匂いはナパームの匂いだと気づいた。
        
         ナパームが近くにいるのだろうか。
        
         ナパーム、と呟く。
        
         声が出ているのかどうかさえも判断が出来ない。
        
         しかし自分の名前を呼ばれた気がする。
        
         嬉しい。
        
         何故かそう思った。
        
         もう一度名を呼ぶ。
        
         すると唇に何かが触れる感覚。そして舌が痺れるような感覚に襲われる。
        
         焦点が合わぬ視界がはっきりしてくる。
        
        「っ!?」
        
         ナパームの綺麗な顔。
        
         ナパームの舌が、自分の舌と絡まって脳を痺れさせてくる。
        
        「んぁぅ…!?」
        
        「ウェーブ?」
        
        「ひ、あっ…ぁぁ!? な、んでッ!?はいって、る…はいって…!?」
        
        「正気に戻ったか。すまない戻る前に終わらせるつもりだったんだ。すぐ終わらせる。お前もつらいだろう?」
        
        「うああっ!!!?」
        
         ナパームにナニを扱かれウェーブは快楽に身悶える。
        
        「ウェーブっ…」
        
        「ナパ、あぁっ…ぁ…!!!?」
        
         果てるウェーブ。
        
         ナパームも熱を放ち、そのままウェーブからナニを引き抜いた。
        
        「はっ…はぁ…あぁ…なんで…ナパーム、何で……」
        
        「すまない…許してくれ。お前を拒めなかった」
        
        「あ…」
        
         ウェーブが自分の失態からナパームに強要したのだと気づく。
        
        「うあ、あ…ごめんナパーム、ごめん…」
        
        「お、おい泣くな。別にお前が悪いわけじゃないし!」
        
        「でも嫌だろ、こんな俺を…」
        
        「別に嫌じゃない。お前が嫌だろ?男に抱かれて」
        
        「え…ナパームだったら別にいい…」
        
        「あ、そうなのか。心配したんだショックで死んだらどうしようかと…」
        
        「……」
        
        「……」
        
        「「!!?」」
        
         ナパームとウェーブはお互い顔を逸らす。
        
        (何か俺変なこと言わなかったか?)
        
        (あれ?何だ?あれ????)
        
         お互い焦り出すが、先に動いたのはウェーブだった。
        
         口元を押さえ顔を真っ青にさせる。
        
        「ウェーブ!?」
        
        「げぇっ…」
        
        「あっ」
        
         ベッドの上は避けれたが床にべちゃべちゃと吐き始める。
        
        「ヤったせいか?クスリの副作用か!?」
        
        「ゲホゲホッ…気持ち悪い、頭痛い…」
        
        「副作用か…怪しいモノを飲まされたか?」
        
         ナパームの問いかけにコクコクと頷くウェーブ。
        
        「うぅ…ナパーム…なんかごめん…」
        
        「いや、別に謝らなくていいんだぞ。お前は任務をこなしたんだからな。
        
         休暇の日はどこかに行こう。人のいない静かなところがいいか?」
        
        「…」
        
         静かに頷くウェーブ。
        
        「探しておこう。」
        
        
        
           ***
        
        
        
        「ウェーブさんのお陰で割と稼げました。この手でどんどん行きましょう」
        
        「行きたくない!!!するんだったら次はお前も混ざれ!!!」
        
         クリスタルに吠えるスター。明日は我が身だ。
        
        「ケチくさいですね」
        
        「薬漬けになるのはごめんさ。見ろクリスタル、あのウェーブの怯えよう」
        
        「……」
        
         クリスタルがウェーブを見る。
        
         ぴゃっ!とウェーブはナパームの後ろへ隠れる。
        
        「酷い、私を避けなくてもいいじゃないですか!ウェーブさんの心に傷を負わせたのは私じゃないのに!」
        
        「……」
        
         ウェーブはナパームにしがみ付いたまま離れない。
        
        「スターならへとも思っていないのに」
        
        「まぁ私は綺麗だからね…」
        
        「そういうのウケが悪いんですよね…ウェーブのような初々しさが欲しいんですが」
        
        「お前が身体売ればいいだけの話なんだけど」
        
        「嫌ですよ。」
        
        「こいつ…」
        
        
        
          ****
        
        
        
        「海、本当に好きなんだな」
        
         ナパームはソファに座ってモニターに映る海を眺めているウェーブに話しかけた。
        
         ここはナパームの部屋。
        
         二人は休暇中。
        
         どこかへ出かけようかと考えていたのだが遠出も出来ず、結局部屋で過ごすことになった。
        
         ナパームが用意した海底の映像にウェーブは気に入った様子でぼんやりと眺めている。
        
        「海は、俺を傷つけようとしてこないからな。好き」
        
        「ふーん」
        
         ナパームは横に座って武器の手入れをし始めた。
        
         手馴れているので一丁に掛かる時間はそんなに掛からない。
        
         時間が許す限り武器を触っている、それがナパームにとっては癒しだ。
        
         ウェーブが海を眺めているのと同じことだ。
        
        「ナパームの火薬の匂い、好きだよ」
        
        「そうか、俺も火薬の匂いは好きだ……ん!?」
        
         ウェーブを見るナパーム。ウェーブは顔を俯かせていたが、耳まで赤くなっている。
        
        「ご、ごめん…俺変なこと言った!」
        
        「そ、そうか!変なことじゃないと思うぞ!火薬の匂いは、俺も、好きだからな…」
        
        「あ、あぁ…うん…だよな…」
        
        「そうそう…」
        
        ((な、なんだろうこの間……))
        
         二人は同時にそう思う。
        
         気まずいというか何と言うか…誤魔化してしまった気まずさを感じてしまう。
        
         二人は黙りこんでしまい、何を話そうか、片方は銃を弄りながら、片方は海の映像を眺めながら考えていた―――
        
END        
        
  
 
 
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