拠点地の一つである研究所に侵入した者をグランドが捕獲したと聞いたパイレーツは侵入者を監禁している牢獄へ向かっていた。

 侵入者の顔を見に行くわけではなく、そこにキングがいるということで心配になっただけだ。

 昔の精神病院のような廊下を歩く。病院との違いは廊下に窓が一切ないことと扉は外からしか施錠できないこと。

 この組織の牢獄内は病室に近い作りであった。

 目的の牢獄の扉を開く―――視界に入るそれに顔を顰めた。

 キングは椅子に座って侵入者の持ち物を確認していたらしい。

 そして侵入者はベッドの上でグランドに犯されていた。

 意識はないらしい、目を閉じてぐったりしており人形の様に揺すられるがまま。

 頑丈な作りの簡易ベッドがギッギッと軋んでいる。

「あぁ、パイレーツ来たのか。」

「様子を見に来たんだが…相変わらずだなあいつ」

 グランドのことだ。パイレーツもグランドにケツを狙われたことがあるがなんとか回避した。

「好みの体だからね、可愛がりたくなるんだって。いいじゃないか捕虜に何したっていい。

 まぁ拷問に耐える訓練もしてるだろうし」

 キングは侵入者の身分証をテーブルに投げ捨てる。

「どこのモンか解ったのか?」

「この身分証は偽造だった。でも問題ない、君を追い回してる男と同じ組織所属。部署は違うけどね。

 私はつい最近直接会ったことあるけどパイレーツくんだと何年か前のパーティだったね、覚えてる?」

「……」

 パイレーツは犯されている男に歩み寄り髪を掴んで顔をじっくりと見る。


 幼げの残る顔であるが、赤毛の男はダイブの近くにいただろうか?

「あいつの近くにいたか?」

「1度だけ、某博士の護衛としていたね。君の男と親しそうに話していたよ。学友らしい。名はリング」

 よく覚えてるなと思うパイレーツ。というかその時は自分もキングの護衛でいたが、大きな会場だったのでその光景は見ていなかったかもしれない。

 博士の横に立っていた男なんてそもそも覚えてもいない。

「ダイブのために俺を追ってここに辿り着いたとか?」

「自意識過剰め…。そいつは仕事でここで辿り着いただけのようだ。聞いてないけどたぶんそうだよ。

 君じゃなく私に行きついたらしい、『記者』だと名乗って遺跡関係を探っていたし…」

「なんだ…」

 手を離すパイレーツ。興味が失せてしまった。

 いや人質に使えるだろうか?なんて考えてるとリングが呻く。

 気が付いたらしい。しかし薬を入れているため体は自由に動くことはない。

「っあ、ぁ…?」

 ぶるぶると震えて身を捩ろうとしているようだが動かない、視線も思う様に動かせず彷徨うばかりだ。

 グランドはオナホのように扱っていたが意識が戻ったことを認識すると一度ナニをギリギリまで引き抜いてから一気に奥まで突き刺した。

「っぁ、ぁぁ……!?!?」

 舌が動かないためにただただ声を漏らすだけの悲鳴。緩んでいる口端から唾液も零れ目からも涙が流れ始める。

 リングのナニは勃起していないがイクことはできたらしい、精液がだらだらと流れている。

「ぅ、ぅ…」

 リングはなんとか視線をグランドに向けていた。

 無表情のままグランドは再び激しく腰を打ち付け始めた。深く届く様に腰を持ち上げて。

 力の入らないリングの両脚は抵抗することもなく大きく開く。

 苦しそうに呻くリング。

「薬が切れるまで待とうか」

「暇なのか」

「忙しいよ。でもこのまま席を外したらグランドが何をするか解らないだろう?」

「あぁー…そうなるのか」

 パイレーツも空いている椅子に座る。

「君も暇か」

「お前に付き合ってやるんだよ」

「別にいいのに…」



   ◇◇◇◇



 閉鎖された研究施設に潜入したところまでは良かった。

 いや、良くなかったのかもしれない、罠だったのだから。

 リングは背後からの接近を許してしまい、気が付けば見知らぬ男に犯されていた。

 身体が動かない、力が抜けているような違和感。薬を投与されたのだろうということは解る。

 しかし感覚は残っているせいで下半身の刺激に不覚にも声が漏れる。

 深い所をごりごりと打ち擦られるのが耐え切れないほど気持ち良く感じてしまう。

「……」

 男は無表情のまま、感情の乗っていない眼で見下ろしてくる。

 脳裏にあの白いアンドロイドの顔が浮かんだ。

 コサック博士が作り上げた戦闘用ロボ、あいつも似たような眼を向けてきた。

 無意識に冷や汗が出る。血の気が失せるのが解った。

「ぅ、ぁ…」

 身体を無理に動かそうとするがビクリと動くだけだった。さっきよりは動いている、薬も効果が薄まってきているのかもしれない。

 しかし逃がさないと言わんばかりに男は体位を変えて俯せになったリングの首筋に歯を立てながら獣のように犯す。

「ぅっ…ぅ……」

 リングは涙を流しながら再びイってしまう。

 頭がぼんやりする、涙が止まらなくて視界がぼやける。

 気持ちが良いと感じるのがおかしい、おかしいのだ。体の自由を奪うものとは別のものが投与されているのだろうか?

 自白剤を含む様々な薬に対する耐性訓練は受けていた。なのにこんなにもあっけなく―――

「や、ぁ…」

 拒絶の声が漏れる。

「舌が回ってくるようになったかな?グランドの相手をしてくれてありがとう」

「!?」

 初めて他に人がいることにリングは気づく。

 視線を横に向けると金髪の男が微笑んでいた。『医者』だと名乗ってギャラクシーを連れて行った男だと気づいた。

 しかし今のリングは彼の正体がわかる、あの施設で見た資料に書かれていた人工生命体―――彼のことだ。

「ダイブくんのお友達のリングくんで間違いないね?」

「ッ…」

 わずかに反応してしまい、リングは顔を伏せる。

 しかし後ろから被さっているグランドがリングの顎を掴んで顔を上げさせた。

「あの施設に辿り着くのは凄いね、誰か来るかもと思って置いておいたんだ…(あいつ)より先に君がきた」

 残念なことだ…と呟きながらバイザー越しに冷たい目で見下ろす。

「君を今すぐ始末してもいいんだけど、気になることがあるから君の脳を弄って記憶を抜き出してから殺す。

 それまではグランドに可愛がられてるといいよ、気持ちいいだろう?

 じゃあグランド、絶対に殺さないように気を付けて」

「…ん」

 頷くグランド。

 キングとパイレーツは退室する。

「まだ、おれは満足していない」

 耳元でぼそりと恐ろしいことを呟いてきて、リングは戦慄した。

 身体はまだ力が入らない、抵抗しようと身を捩ろうとするのが限界だ。

 密着しているグランドから喉の奥から笑ってるらしい振動を感じる。

 ゆっくりと太いナニが引き抜かれていく感覚にリングの身体は開放感と排泄の快感をまぜこぜにして感じた。

 腰が揺れる、誘う様に揺れてしまう。リングの意志とは関係なく、生理的な痙攣だ。

 グランドはリングを持ち上げて自分の上へ落とす。ズンッと一気に奥まで挿入されてリングは仰け反って声を上げた。

 持ち上げては落とすを繰り返され始める、ただそれだけではなくリングの感じる所を刺激してくるのだ。

「ふっ…ぅ、んぅ…ぅぅ…」

 とめどない涙を流しながら指先に力が入らぬ両手で口を覆い声を抑える。

 奥を叩きつけられるたびに喘ぎで泡だった唾液がごぽごぽと手の隙間から溢れ漏れる。薬のせいで口元も緩まっているのだ。

「ん」

 グランドの短い呻きと共に熱いモノがリングの奥で弾けてリングはガクガクと腰を上下に痙攣させる。

 リングも射精していた。

 薬の影響で射精後もまだビュッビュッと何かしらを漏らしているリングのナニをグランドは片手で優しく扱き始める。

 柔らかい優しい刺激にリングもそのまま喘ぎつつ受け入れていく。

 グランドがリングのナニへローションのような少しねっとりした液体を垂らし始めてしっかりと塗り込むように満遍なく扱き、陰嚢も優しく揉み始める。

「ぉ、…ぁ、…!」

 前かがみになってリングはその快楽の刺激に身悶えた。下半身が熱い、後ろの穴も熱かった、同じぐらいに熱くなってくる。

「あっ…」

 ただのローションじゃないことに気づいたがグランドは次の手を出していた。

 リングの緩んだ口に手を突っ込んで舌を引っ張り出し、その舌先に針のない注射を打ち込む。

 舌の感覚がなくなる。

 熱は感じるのだがどう動いているかわからなくなる。

 グランドがキスをしてきてもその舌を噛み切ろうにも口は動かずただ蹂躙される。

 舌同士が絡まるだけでゾクゾクと快感が走り抜ける。

 蕩けてしまっているリングを仰向けに寝かせてリング自身のナニを自分の手で握らせて扱かせ始める。

 舌に薬を新たに打ったが体の方は動けるようになってきているからだ。

 そしてグランドはリングの頭を掴むと自分の方へ向かせてその口にナニを捻じ込んだ。

 苦しそうなリングの呻きが聞こえているがグランドは表情一つ変えずリングの口内と喉の奥の感触を楽しみ始める。

 薬で抑えられつつも喉まで犯される口淫で苦しいだろうはずなのに、手はナニの熱を鎮めようと必死に動いている。

 それが面白いと感じながらグランドは空虚な瞳でリングを見下ろしていた。

 リングをキングに見立ててできないことをする、凌辱する、満たされる。

 喉の奥で射精するとリングは溺れているのかと思うほど咽て咳き込んで…あまりにも可愛いのでグランドはその首を握りしめた。

 リングの弱々しい力しかだせない手がグランドの腕にしがみつく。

 もちろん本気でやれば片手で首の骨など折れるが、これはじゃれ合いなのでグランドは加減をして締めながらもう片方の手でリングのナニを扱く。

 じたばたするリングが面白い、キングにはできない。

 意識が落ちる瞬間、射精した。

 あまり長く持たなかったのを残念に思いながらグランドはリングを備え付けられてるシャワーの元へ運ぶ。

 シャワーといっても個室ではなく仕切りもない、足元に排水の加工がされているただ汚れを洗い流せればいいというそれだけのものだ。

 冷水を浴びせながら足でリングの股間を踏みつける。

「っ!!」

 リングの意識が覚醒する。薬の効果で激痛とまではいかないはずだ、痛覚を狂わせて気持ちよく感じさせるものだから。

 潰さない程度の力加減で何度も踏みつけるとリングは再びイった。

 さすがに脳が混乱しているのが、呆然としたような、焦点の合わぬ目で動かぬ口から声を漏らしている。

 頭を掴んで緩んでいる口元にシャワーを浴びせるとリングはその刺激に驚いて顔を背けようとする。

 それを許さず頭をしっかり押さえたままシャワーで刺激しつづけてやると「あーあー」と言葉じゃない呻きを漏らし目は蕩け、舌は快感の刺激を求めて垂れてくる。

 かわいいのでその舌をしゃぶるようにキスをする。

 完全にリングの目は堕ちていた。舌に弱いのかもしれないとグランドは思いながらリングをひっくり返して俯せにし、再び犯し始めた。



    ◇◇◇◇



 リングは何が目的なのか解らない装置の中に入れられ意識を失う。

 それは生体データを読み取りそのデータを人工生命体へ転化する装置だ。

 脳を弄るという話をリングに聞かせたが、それをやるよりもこっちのほうが手駒が増えるし記憶の取りこぼしもない。

 始末するかどうかは―――殺した方がいいだろう、リングの組織は欲張りだ、父の技術も欲しいがっていたしこちらの存在を知ったからにはやはり欲しがるはずだ。

 手を組むという選択肢はない、低レベルな地球人類に対して天才として生み出された人工生命体の自分が肩を並べるというのが嫌だ。

 しかしグランドが気に入ってしまったので困った。飽きるまで殺せない。

 たぶん体格が自分(キング)と似ているからだろう、代わりの捌け口にしているだけだ。

「…もしかしてグランドって顔が良いのが好み―――!?」

「いやぁー、ケツしか見てないと思うけどねぇ」

 パイ子があきれた顔でツッコミを入れてくる。

「童顔のイケメンだけど…性格悪そうじゃねぇ?」

 装置の中を覗き込みながらパイ子がフォローしてくれる。

「そっか…私の心は澄み切っているからね…顔より性格」

「………で、この子の複製はどうするんだい?」

「どういう子になるかは解らないけどいつも通りだ」

「そうかい、じゃあがんばって」

「あぁ」

 去っていくパイ子を見送る。

「…何しに来たんだ?やっぱりイケメンを見に来たのか…?」

 キングはちょっと嫉妬した。






 壁にしがみつく様に手を突きながら、もう片方で必死に口元を押さえてリングは声を漏らすまいとする。

 立ちながらグランドに犯されていた。軽々と腰を持ち上げて犯してくる。

 ベッドでヤらないのはリングが逃げた結果である。グランドはどこでもいいのだ、ヤれれば。

 やはり体がおかしいのはそういうおかしくなる薬を打たれていたようだ、グランドが部屋に入ってきてリングを捕まえるなり無針の注射器で打ってきた。

「うー…うーっ…」

 涙をぼろぼろ零しながら獣のように唸りはじめるリング。押さえていた手を噛んで喘ぎかける声に耐える。

 身体はガクガクと痙攣している、汗が止まらない。

 腹の下が疼くような慣れない気持ちの悪い感覚。捻じ込まれてるナニでもっと深くをぐちゃぐちゃにしてほしい衝動に吐き気がする。

「無茶苦茶にする」

 囁くようにぼそりとリングの望みをいうグランド。

 そっとリングのナニを扱き始め、リングは短い悲鳴を上げながら腰を大きく振るわせ始める。

 ぎゅうっと締めていたリングの中が一瞬緩んだのを了解を得たとグランドは壁からリングを引きはがして奥まで勢いよく貫いた。

「ひっあ、あぁぁぁぁぁ!!!!」

 薬のせいで高められた強い快楽にリングの脳は麻痺する。何も考えられなくなる。このままぐちゃぐちゃにしてほしい、それだけになってしまう。

「キング…キング、キング…」

 優しくグランドは囁きながらリングの首筋から背にかけてキスを落としていく。

 その刺激に答えるように中が締まるのが愛おしく感じる。

 この代用品は具合が良かった。

 人間はすぐ壊れるが今回の人間は丈夫だ。この薬に耐えきっている。

 キングに迷惑がかかるかもしれないと思い、いつも長持ちさせないように薬物を投与させて壊してきたが、持つのならばそれはそれで良かった。

 ナニを片手で扱き続けたままもう片方で顔を掴み上げてキスをするとリングの虚ろな瞳が強く揺れ動く。

 手に暖かいものが滴る。お返しに一番奥で注ぎ込んでやると声を震わせながら仰け反ってきた。

「キング…何度も出してやるから」

 グランドはリングの少し膨らんでいる腹を撫でながら呟く。拒むようにリングが腕を掴んでくるが、その力は無いに等しいほど弱かった。

 それが加虐の心を刺激してグランドは少し笑った。

 これから自分が飽きるまで犯すのだ、それで思わず笑ってしまう。

 壊れるか飽きるかしたら犬のように飼ってやってもいいかもしれない、そう考えられる自分にグランドは楽しくなった。 



    ◇◇◇◇



 リングは朦朧とした意識の中であったが必死に頭を回していた。

 薬が忌々しい、身体が狂ってしまっている。

 天井の照明は眩しすぎないが24時間ずっと点灯している。これもまた時間を狂わされている要因の一つだ。

 酷い凌辱であるが暴行はないのでまだマシだ。薬が切れればすぐに動くことができる。

 これが暴行で骨が折れていればやり辛い。

 施設からの脱出はまだ無理だ、構造が把握できていない。

 よくわからない装置が配列されている場所にギャラクシーがいたのを確認している、リングの装置とはまた種別の違う装置に入れられていた。

 何をしているのかはわからないがもしかすると『治療』なのだろうか。頭の中に詰め込まれた異星人の知識を抜き出している最中、かもしれない。

 逃げるときはギャラクシーも保護しなくてはいけない。彼女は一般人で子供だ。

 考え込んでいるとふいに扉が開いてコツコツとヒールの音を立てながら金髪の美女が入ってきた。

「はじめまして。助けに来たわ」

 言いながらリングに薬を打ち込む。

「中和剤よ。副作用は酷い吐き気だから我慢してね。服を着たらここからすぐ出ましょ?」

「お前を信用できない」

「今更ここを脱出するのに罠もなにもないと思うけど?私はこの組織に敵対する組織の者よ

 でもそれを証明するものって何があるかしら?ねぇ?諜報員のリングさん?」

 試すように女は言って微笑む。

 リングは迷うが、女に従うことにした。ここで拒んでも何も進まないからだ。

「う…」

 本当に吐き気がしてきたが不快感は薄れてきた、ひどく身体が重いのは犯されていたせいで体が疲れているのだろう。

「一般人の少女が捕らわれている、彼女も連れて行きたい」

「…ふむ、まぁ、いいでしょう。近くだわ」

 女は少し考えながらも了承する。

「案内を頼む―――お前、何て呼べば?」

 

「―――フェイクよ」



   ◇◇◇◇



「フェイクは二人を連れて脱出したようですね。いいんですかキング、自由にさせて」

 マジックは不服そうに問う。

「いいよ、彼女が望んだのはオリジナルと同じ諜報活動だったし、諜報に便利な肉体変化の能力を欲しがって気軽に与えちゃった私の責任もある。

 まさか脳を書き換えて自由の身になるとはね。オリジナルと同じく彼女は仕事に真面目な性格なわけだ。」

「性格悪いですよ、オリジナルが苦しむ姿を見たいとかいってここから連れ出したんですから」

「そこはオリジナルの性癖が歪んでる結果なんじゃないか?オリジナルがやれないことができると喜んでたしね、

 だいぶ我慢してたんじゃないかなオリジナルが。ともあれ私たちはフェイクから情報を貰ったのだからご褒美だってことで」

「信用できないから心配なんですよ…キングが納得してるならもうこれ以上いいませんけど」

 溜息を吐いてマジックは監視モニターに視線を向ける。もう誰も映っていない。

 グランドはオモチャがいなくなって悲しむかと思ったが「また会ったときに捕まえる」といっていたので大丈夫のようだ。

 はやくキング離れしてほしいとマジックは思う。

 生物兵器たちはキングを好きすぎる。キングが家族を求めている反動が彼らの行動なのだ。








END