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轟と六花さん。
氷室の中で寝かしているのは身体への負担を減らすためだと言っていた。
長い年月、あやかしによって氷漬けにされていた身体は変化していたのだ。
これでは氷漬けにされていたときと何一つ変わらないかもしれないな…
六花はぼんやりと考える。
体が動かせないのだ、できるようになったのはこうやってただぼんやりと考えるだけ。
キィ…っとドアが開く音がする。
「どちらさま?」
やっと出せるようになった声で問いかけてみる。
ドアを開けた人物は長い前髪をかきあげながら六花へ視線をまっすぐむけてきた。
「朧車の、轟」
****
「ぁッ…ぅ、ぁぁっ…」
六花の艶めかしい呻きを聞きながら、轟は愛しいそれを口に含んで舌で弄っていた。
理科室の準備室で二人は何度目かの交わりを行っていた。
机に腰掛け、脚の間に轟が潜り込んでいるという構図だ。
「ひっ…ぅ…」
耐えるような声を漏らしながら、六花は無自覚に轟の頭へくしゃりと手を当てて身悶えている。
「っう、ぅぅ…!!!」
咄嗟に白衣の袖を噛みしめて六花は震える。
轟はそれでも淡々とした態度で彼の漏らす熱を飲みこむ。
熱と表現するには熱さが足りないかもしれない。
触れる六花はひどく冷たい。
相手の体温を奪う能力があるからだ。それを抑え込んでいるから彼自身の体温が低い。
もっと熱くしたい、そう思うと手で彼を撫でまわしたくなる。もっと肌を触れ合わせたくなる。
「六花…」
「轟…轟っ…」
六花は轟に抱き着く。
「熱い、轟ぉ…あつぃぃ…」
「もっと温めてやる…」
「あ、ぁぁぁ…」
貫かれ、嬌声にも似た声を漏らしながら六花はそれを受け入れ、体を弓のように仰け反らせる。
「逃げるなよ、もっと引っ付いてたい」
「うん、うん…」
涙をこぼしながら轟にしがみつく六花。
「はぁ…はぁ…轟ぉ…あついね…」
「ん…動くよ?」
「いい、動いて、いい…はぐっ…ぅぅ…」
轟の首に腕を回しながら、自分の口を手で押さえる。
もう人のいない時間だとはいえ、決して二人きりとはいえない。そして学校でこのようなことはするべきではないのだ。
するべきではないのだが、轟のリクエストなのでしぶしぶいうことを聞き入れてしまった。
中で轟のナニと擦れあうたびに、摩擦で自分の芯が溶けていくような錯覚に陥る。
轟の呼ぶ声がくすぐったい。
轟の這うような手つきが身体を敏感にさせる。
「六花」
「んぅ」
キスをされる。
もう六花の表情は熱に冒されて、ぼぅっとした目つきだ。
轟の舌が潜り込んで蹂躙してもされるがまま、その舌に自分から絡めようとはしているようだが力が弱い。
キスから開放すると、六花の目尻からは雪解け水のように涙が流れて止まらなくなっていた。
「轟…」
求めるような六花の声に、轟は六花の脚を持ち上げてより深く挿入し始める。
「っ!っっ!!!!!」
声を抑え込みながら、六花はガクガクと揺れる。
「深いところで出してやるからな…」
身を乗り出すように顔を近づけて、耳元で低く囁くように言うと六花の中がぎゅうっと締まる。
思わず喉の奥で笑いながら轟はその熱い熱を六花の中へ注ぎこんだ。
「…まだ熱い?」
轟は六花の腹部を撫でながら呟く。
「あ、熱いよ…」
「…」
轟は前髪をかきあげながら、六花を見下ろしている。
「轟…」
六花はその轟の手を捕まえる。
「身体が暖かくなると、優しい気持ちになれるよ。轟のおかげ」
「六花は優しいけど」
「どうだろ?」
微笑む六花。
「轟がわたしを心配してくれてるのは解るよ。
不器用なやりかたしかできないこともね。
だから優しい気持ちになれると思う、優しくなるってことは心が温かいってことだろう?」
「俺はアンタが欲しいだけだし」
「子供っぽいところも好きだよ」
「もう大人なんだけど」
「どうかな?」
六花は轟の髪に手を伸ばし、その髪をかき分けて頬を撫でる。
「あたたかい…」
引き寄せ、その額に自分の額を押し付ける。
「アンタも…あったかいよ」
つぶやいて、その唇へキスをする。
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