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 金輪は六道を見て絶句していた。

 いきなり服を脱ぎだすので何事かと思えば、剥き出しであるはずの骨は肉に覆われていた。

 普通の人間の身体と変わらない姿の六道がそこにいたのだ。

「な、…え…?」

 混乱する金輪だが六道は普段と変わらぬそっけなさである。

「不王の魔術で一時的に肉を得た。」

「その術を木乃伊自身にかけろよ!!?!?」

「魔力が足りないらしい。つまりだ、俺がお前に力を与えればヤツもお前から力を奪えるんだ。

 そのためのこの身体だな」

「六道が直接木乃伊に魔力をやれよ!」

「不王は俺の力は吸収できないだろ。つべこべ言わずに脱げ」

「ちょっ…!!!!」

 胸元を掴んでベッドに投げる六道。

 金輪は顔を歪ませながら納得していない様子で六道を睨んでいる。

「いつも通りでいいだろ…!?」

「俺がつまらんだろ。…あ、骨のが趣味だったか」

 今気づきましたという顔する六道。

 しかし金輪は顔を真っ赤にして叫び始める。

「ちがう!!俺はただ手っ取り早く終わらせたいだけだ!お前、なんか楽しむ気でいるだろ!?!?

 ねちっこいことするだろう!!!!」

「そうか、してほしいのか。」

「言ってない!」

「お前はさっさと脱げ」

 異次元の手を使って乱暴に服を裂き、腕を掴んで抑え付ける。

 そのままギャーギャーいっている金輪の上に跨ると頭を掴んだ。

「お前の望むようにしてやろう」



   ◆◆◆◆



「んぅっ…う、んんっ…」

 涙を流しながら金輪は喉の奥で呻いている。

 口には六道のナニを捻じ込まれている。立派なモノである。

 完全に素人である金輪は、苦し紛れに舌を動かすぐらいしかできないのだが六道はその辺は気にしなかった。

 六道も良くわかっていないのだ。

 金輪を蹂躙するのが楽しいので割と満足していた。

 何度目かの射精をする。金輪は零すまいと必死に咥えこんで来て熱を飲みこんでいく。

「ひぅっ…は、はぁっ…!」

 顔を引き離すと息を荒げて顔を伏せる金輪。

「ん、顔上げろ」

「嫌―――」

「なに照れてんだ?」

 金輪の顎を掴みあげて振り向かせるとそのままキスをする。

 舌を入れると反応して絡ませてくるのだだいぶ素直になった。

「ん、ぅ…ぅ…」

 くちゅくちゅと音を立てながら絡ましてくるその顔は熱で蕩け始めていた。

 六道は金輪の下半身に手を伸ばして勃起しているそれを扱きはじめた。

「ひぁっ!や、ろく、どぉ!いつもと、違ッ…」

「あぁ、指に肉ついてるからな。やっぱ骨で痛くして欲しいのか?」

 扱きながら六道は異次元から骨の手を伸ばして金輪の頬を撫でると金輪はゾクゾクと震えあがりその手に擦り寄ってくる。

「ほう、変態だ」

「違ッ…誰のせいだと!おまえ、おまえが骨だからッ…!!!」

「はいはい、骨でも齧ってろ」

「んう!」

 金輪の口の中に骨の手を突っ込みながら脚を開かせて秘所を解し始める。

 不王が用意した怪しげなローションを使っているのだが媚薬でも入っているのか金輪の様子が変わる。

 大きく腰を震わせ身悶えはじめるので六道は異次元から骨の手を何本も出して抑え付けていく。

 抑えられているので大した抵抗にもならない金輪は涙を流し呻いていた。

「あ、あっ…ぅ…」

「ん…イったか。指で。変態だから仕方ないな…」

 腹を汚す金輪に言いながら六道は手を止めず、指を進め金輪の感じるところを強く刺激し始める。

「あーーーっ!!!あ、あぁぁぁ…!!!!!!」

 首を懸命に振っているのだろうが、骨の手で顔を掴まれて枕に押し込まれているので振れていない。

 手も脚もビクともしない。掴まれている痕が残るだけだろう。

「ひっ…ひぅ…ひっ…」

 骨を噛みしめながら金輪は嗚咽を漏らす。

「気持ちいいか、金輪?」

 六道は笑みを浮かべながら六道が満足するまでしばらくこの愛撫が続けられた。



   ◆◆◆◆



「ろく、どぉ…!」

 六道を中に受け入れた金輪は六道にしがみ付いてキスをする。

「ん…欲しいのか、もっと?激しく?」

「なか、あつくてっ…たりない、こんなんじゃ、足りなくて…」

「欲しがりだな円迦は」

 六道は金輪を突き飛ばし、体位を変えて後ろから犯し始める。

「あ、あぁぁっふか、いィィっ…」

「骨の方が好きか?」

「どっち、も、イイっ…骨でも、今のでも、六道ならなんでもいいっ…」

「ふーん。そういうものか?」

「ろくどぉ、きもちイイ?おれの、なかっ…」

「…さぁ」

「っ…」

 金輪の顔が引きつる。

「初めてだからわかんねぇんだよ。なぁ円迦?頑張ってくれる?」

「ん、がんばるっ…」

「円迦…お前は本当、俺を楽しませるな」

 初めて出会ってから面白かった。

 一番弱かろうと思って奈落へ落し込めば、面白おかしい反応をしてくれつつ心は死なずに生きている。

 今だって不王の薬で意識なんて普通の人間なら混濁でもしているだろうに、まだ意識がある。

 六道を楽しませるために存在しているかのような男だ。

 今も自分が必要とされていないと知って絶望した癖に、まだ付き合うという。

 絶対に手放したくない。何があろうとも絶対に離さない。

 異次元から自分の、本来の巨大な骨の手を出して金輪を撫でる。

 指先に触れる金輪は暖かくて柔らかい。

 気持ちがいいというのはこういうことをいうのだろう。

「ろく、ど…」

 骨の手に目を見開いている金輪。

 次元の隙間から覗く本体の髑髏に奈落の記憶が浮かんだらしい、ヒュッと短い息を突くような悲鳴を上げる。

「おい、俺を愉しませてくれないのか?」

「うぅっ」

 腰を打ち付けはじめ金輪の意識がぐちゃぐちゃになるまで犯し続ける。

「ろく、どう…ろくどぉ…」

 骨の指先に頬ずりしながら金輪は身悶えていた。そうして何度目かの射精後、満足した六道は金輪を解放する。

 本体の手も引っ込める。

「あ、あ…ろくどう…」

 金輪は追う様に狭間に戻っていく髑髏に向かって手を伸ばしてくれる。

「あっちに行きたければ、いつでもつれてってやるよ」

「…まだ、だめだ…」

 震えながら首を振る金輪。

「そうかい?まぁ時間は無限にある、まぐわって心を作り変えていってやるからな」

「……」

 金輪を見下ろして笑うと、金輪は死んだ目で六道を見上げる。

「いい顔だ、円迦」

 金輪の頬を撫でる。自分の手が骨に戻っていることに気づく。

「六道…」

 目を閉じて骨の手に自分の手を添えてくる。

 温かい手だ。金輪は温かい。



「おわったか?」



 不王が入ってくる。

「どうだった骨よ。下郎の味が解ったか?」

「あんまわかんなかった」

「ふむ?あー、お前元々人間じゃなかったな。呪式を改良するか…。

 では下郎のヤられ損だったというわけか!」

「んなっ…」

 金輪は怒りで顔を赤くする。

「ん、まぁそのへんはよろしくな。こいつがあったかいということはわかったから」

 六道はペタペタと金輪の顔を触る。

「え、六道…お前、感覚なかったのか?」

「いや?寒いのが解ったぞ。なんか俺ずっと寒かったみたいだ。お前触ってれば問題ない」

「へ…へぇー…」

 じりじりと六道に寄る金輪。

「…下郎、あらかさまあな態度が面白いぞ。あと体を清めよ」

「う、うるさい!!!!」

「あのー不王さん?まだ部屋に入ってはいけないのですか?」

 ひょこっと顔を覗かしてくる女性。

 シスターダリア、六道の天敵がいた。

「レディ、今下郎が破廉恥すぎるのでまだ入っては…あれ?」

 ダリアはススっと入ってくる。

「不浄の気配がします…こっちに出ましたね、六道さん」

「ああー、ちょっとだけ。指先だけ。」

「この部屋を掃除します」

「シスターダリア!!?シーツとかその、俺がやるから!!!」

 焦る金輪。

 そもそも全裸であるのにこのシスター遠慮がないし恥らってもくれない。シスターってなにさ。

「大丈夫です、血反吐のついたシーツも洗ったことがありますのでまだマシな方ですよ。」

「金輪、シャワーにいくか!」

 六道は逃げるように金輪を抱き上げて部屋から脱出する。

「レディ、我もなにか手伝えることは!?」

「ないですので出て行ってください。掃除の邪魔です」

「つれない…そこがいい…」

「貴方は早くその木乃伊の身体をどうにかしてくださいませ。間違って塵に戻してしまいそうです」
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