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白神との会話みたいな感じ。ボツかな~。う~ん。
 夢で見た、霧に覆われた場所。

 奏は大きな鳥居をくぐる。霧は夢の時のように濃厚ではなく、うっすらとしたものであったが周囲は本当に何もなかった。

 まず木々はない。足元は草も生えておらず、砂利だった。

 正面に巨大な磐座があり、その上に腰を下ろしている白装束の人物がいた。

 彼の者が自分に力を貸していた、神格だろう。

『―――ここに踏み込んできた人間はお前が初めてだ』

 低く静かな声が響く。

 奏の中で「殺せ」と言ってきた声よりは温かみがある。

「ここは、どこだ?貴方は何なのだ、神なのか?」

『知らん。お前のいる世とは違う場所だろう。何もない世界だが、たまに迷い込んでくる者もいる。

 そやつらは私のことを白神と呼ぶ。名前などない。』

 そこで白神は少し口ごもって、再び口を開く。

『……名はあったかもしれないが、長き年月を過ごしていくうちに忘れた。

 お前は何の用だ』

「礼を、言いたかった。この力は私の力だと思っていたんだ。貴方の力だとは知らなかった」

『礼?お前は私の力を行使できるのだから私の力を使うのは当然のことだ。この力は簡単に扱えるものでもない。

 お前はその力を扱える、それはお前の力だ。』

「そういう、ものだろうか…」

『そうだ。さっさと常世へ戻り力を使え。悪鬼を粉砕しろ』

「…疑問ができてしまったのだが、何故そのようにあやかしを憎む?」

『憎んではいない。殺すのが我が宿命だ。おそらく。ずっとこうやってきたのだ。私の力はそういうことにしか使えない。

 常世にいる悪鬼をすべて殺し、浄化するべきだ。…そう、だな。この感情は、そう…』

 白神は奏を見つめたままだが、その眼は遠くを見ている。

『あやかしが人を殺すのと、同じだろう。呼吸と同じ、そうだ、そういうものだ。この世の仕組みなど…

 置き換えて繰り返していくただそれが延々と廻りめぐっているだけのこと…。

 心も、感情も擦り切れて純粋な殺意しか残らぬ……。お前が神というものをどう認識しているのかは知らないが。

 私に慈悲などはない』

「だが私を助けてくれる」

『お前は大切な依り代だ』

「そうか…」

『お前を幼き頃より見守っている。安心して力を行使しろ。私はお前を必ず守ってやろう。

 ただ、門を閉じられるとどうしようもなくなる故、閉じるでない。』

「それは私も解らないのだが…」

『無意識か。無意識に門を閉じたり開いたりするのは止めよ』

「むぅ…気を付けるが、解らんぞ」

『解っているはずだが。まぁ良い。人間は鈍いものだ』
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