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冷姫…チルド
奇譚で冷姫と奏さん知り合いなんですけど関係をさらっと
 妖怪に憑りつかれていた頃の記憶は曖昧であったが、祓われた後のことは今でも覚えている。
 年のころは自分と同じぐらいであろう、雲水の格好をした少年。
 感情がないのかと思うほど無表情を貫いていたが会話はできる。
 自分を含め、家来たちも救った礼としてしばらくの間もてなした。
 成長期らしく身の丈が合っていないというので新しい着物を降ろしてやり、よくよく話を聞けば修行をしているわけでもないらしい。
 ならばと功刃が自分の集めている業物の中から一振り選び出して来たりもした。
 あれから十数年たつ。
 目の前にはその雲水だった少年…今では貫録も出て立派な侍のような風体になった奏がいる。
 仲間二人はなぜか少年であるが、奏が引きつれているので只者ではないだろう。
 冷姫は懐かしさに顔を緩ませそうになりながらも、キリリと顔を引き締めて奏に助けを求めた。
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 この城に足を踏み入れるのは2度目になる。
 不思議な巡りあわせもあるものだと思った。
 相変わらずの収集癖で、昔の記憶よりも増えている。
 蝶の標本はもとより動物の毛皮や角なのか牙なのかわからぬものも飾られていて、姫の収集癖なのか家来たちの収集癖なのか…。
 とにかくこの城の者たちはちょっと変わっている。良い人たちなのだけど。
 再会した姫は美しく育っていた。ただ白い動物の毛皮を羽織っているのがいけないなぁとも思ったが。
 しかし今度はそれらが原因の事件ではないらしい。それはそれでよかった。あれ以来憑かれてもいないようで安心もした。
  
 
 
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