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白神
目の前にある門が開かれるのを待っている
薄霧に覆われたこの場所は、その景色を変えることはなかった
もういつからここにいるのかもわからないほど長い時間、ここにいる
白い鳥居の門が開かれるのをずっと待っている、外界のあやかしを屠るために
この場所には自分以外はいないが、たまに流れてくるモノがいて『白神』などと呼ばれるようになったが自身の名はない
否、あったかもしれない
しかしもう自分の名もわからないほど時間が経ってしまっている
門はいつ開かれるかわからない
ただ待つのみだ
門が開かれ外へ出たとき驚いた。今度の門は赤子であった。
野ざらしで、布に巻かれて地蔵の前に置かれているが人が通るよりも先に獣に食われるだろう。
さてどうしたものか…折角の門がまだ赤子とは初めてのことだ。
逆に言えばそれほどの能力をこの時点で備えているということになる。
今までは鍛錬を積んだ術者に一時的に力を貸してやるぐらいだったのに、この赤子は鍛錬なんて積んでいない。
まことに貴重だ、このまま死なせるのは惜しかった。
本来ならば直接の干渉は好ましくないのだが白神は手を伸ばした。
赤子を抱き上げてトンと跳ねるように飛び上がる。
人里に降ろそうかとも思ったが、できれば鍛錬を積んでほしい。
門は既に開いたままだが、成長するまでは表に出ず見守っていよう。
そして共にあやかしを討つのだ。
そのために成長するまで待つことは苦でもない、ただ門が開かれるのを待っているときよりも待ち焦がれそうだという気持ちに気づいて、
白神は思わず笑ってしまった。
擦り切れてしまっていたと思っていた自分の心に感情はまだ残っていたのだ。
プライベッターのコメントメモ
奏さんにあまあまな白神さんだよ
赤ちゃん育ててくれそうなお寺探してあげるし
怪我とかしたら自動回復(中)を寄与
奏さんの怪力は鍛錬のおかげです
ただコミュ力が奏さん並にゼロなので殺伐とした会話しかできない
奏さん(赤子)を抱いて飛んでる時の白神さんと
瀕死で飛び込んできたみこさまを抱きしめる陽之尊の
ワクワク嬉しい感は同等のものである
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