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百々目鬼
 輝美の魂は完全に赤嶺のモノと化しているし、同化しきっている。

 しかし他人に興味を向けるのは人間だったころの残滓なのか

 はたまた、ろくろ首と成った男に妖かしを惹きつける何かがあるのか。

 興味のある議題ではあるが、赤嶺はそれ以上考えなかった。

 輝美が満足するならそれでいい―――

 大切な手足である彼が望むことは、己の望みである。

「はぐっ…ぁ、ぁっ…」

 後ろから輝美に貫かれガクガクと揺さぶられながら声を漏らすナミ。

 いつも輝美に無理やり犯されているが、最終的に自分から強請っているのでスキモノだと赤嶺は思っている。

「し、きぃ…紫鬼ィ…もっとぎゅっとして…深いところ、きて…」

「応」

 振り返るナミとキスを交わす輝美。

 泣きじゃくっていたナミの顔は既に蕩けて出来上がっており、輝美もいつもの薄ら笑いに熱が入っている。

 バンッ

 乱暴に襖が開く音。

「あ、あっ…」

 怯えた表情になるナミ。

「兄さん…」

 鬼のような形相になっている旋が入ってくる。

「弟の前でイけ」

「ひっぃぃ!!」

 輝美に押さえ込まれ激しく犯されイってしまう。

「兄さんはオレのモノだといっているだろう紫鬼ィ!」

「誰のものとか子供か?こいつは良い声で鳴くし具合もいい。独り占めはズルいだろう?」

 輝美は笑いながらナミを抱き起こす。

「飛頭蛮よ、口寂しいか?弟に可愛がってもらいたいか?」

「う、ぁ…ぁぁ…」

 小さく震えながらも、熱を帯びた目で旋を見上げるナミ。

「旋…」

「兄さん…!」





   *****





 兄弟で絡み合っている光景を眺めながら輝美は酒を飲む。

 あぁナミのあの表情は堪らなくそそる。

『美味いか?テルミ』

 赤嶺は輝美を後ろから抱きしめる。

「ん?あぁ。なんだ?まさか妬いているのか?」

『まさか。ふふ、俺は心が広いからな』

「ありがたいことだ。身も心もお前にやってしまったのにこれ以上求められてはかなわん」

『ククク…。おや、虚無が来るぞ』

「あぁ?」

 ゆっくりと音もなく襖が開く。

 ゆらりと男が入ってくる。

 土蜘蛛に捕らわれた退魔師の成れの果てだ。

 左半身を『虚無』に食われて、たまにこうして正気を失うと土蜘蛛である母を探して徘徊している。

 半身に浮かぶ無数の眼から百々目鬼と呼んでいる。

「…おかあさんは、どこ?」

 百々目鬼は舌足らずに問いかけてくる。

「土蜘蛛なら巣だろう。」

「巣、いけない」

「だろうな。迷路みてーになってるし」

(あの白鬼はお前を巣まで通すわけねーし?)

 心の中で付け加える。

 余計なことを喋ると白鬼に何をされるかわからない。

 なんとも面倒な男だ。

「諦めて部屋に戻ってろよ」

「……会いたい」

 百々目鬼はぺたりと座り込んで黒い涙を流し始める。

『寂しがりな子だなぁ!遊んでやるか?』

「別にかまわんぞ。こいつの下半身がどうなっているのか気になっていた」

「?」

 赤嶺と輝美は悪い笑みを浮かべながら百々目鬼を掴むと、もともと半裸であったその着物全て剥ぎ取る。

「腹ぐらいまでしか来ていないのか」

「何をするの?」

 百々目鬼は少し首をかしげる。

「お前で遊ぶのだ」

「僕…? っ!」

 酒の入っている徳利を直接百々目鬼の口へ押し当てて中身を流し込んでいく。

『酔うかな?』

「さぁ?おい百々目鬼、ここは感じるのか?」

「っあ、うぅ」

 一物を輝美に触れられ百々目鬼は震える。

『輝美、犯しつくすのも楽しそうだ』

「あぁそうだな」

「なに、するの…?なに…?」



   *****



 人並みに快楽を感じることができた百々目鬼は、二人に甚振られながらもその快楽に溺れていった。

 もともと『母』と性行為のようなことはしていたので抵抗はなかった。

 しかしそれが終わるまで続くわけではなかった。

「っ…あ…!?」

 半身…人間側の目に光が戻る。

 無表情だった顔に表情が戻ってくる。

 それは困惑の表情だった。

「っひぎっ!?」

 短い悲鳴。

 百々目鬼―――奏の身体が強張る。

「ぃっ…ぁっ…!?」

「正気に戻ってしまったか、可愛そうに」

『このまま眠っていればよかったのに。』

 深く深く貫く輝美。

「~~~っ!!!??」

 奏は仰け反りながら声にならぬ悲鳴を上げる。

 射精が先ほどから止まらない。

 身体がおかしい。

「助っ…け……」

 透明な涙を零しながら息を呑む。

 脚が勝手に、もっともっとと言わんばかりに輝美を捕らえ、勝手に腰が揺らぐ。

「ひぃっ!?」

「もっと欲しいか」

「ちが、ちがうっわたしじゃ、わたしじゃないっ…」

「何をいうか、そのように強請りながら」

 輝美にキスをされるが、左腕が輝美の首へ回ってより深く、キスを求めるように―――

 舌が絡む、息ができないほど苦しい。

「か、らだがっ…勝手に…嫌だ、気持ちいいの嫌だ…!」

 何とかキスから逃れ、奏は泣きながら訴える。

「ははは、やはり嫌がるやつを蹂躙するほうが興奮するなぁ」

『いい趣味をしているなぁ』

 輝美は体位を変え、奏をうつ伏せにし後ろから犯し始める。

「っぐ、うぅっ…たす、け…苦しい…」

 右手が畳に爪を立てて引っかき傷を作る。

「苦しいか…?魂を貪られながら蹂躙されるのはとても気持ちいいものだったぞ?

 抵抗せず受け入れてみろ、堪らないぞ」

「っいや…だ、嫌…」
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