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正史ルートじゃないです
もし奏さんが禄くんたちを仲間にしてなかったらこういうルートになる
 身体を縛り付ける荒縄は汗を吸ってより身体に食い込んでくる。

「ッ……ぅッ…!!」

 舌を噛み切らぬようになのか、口には布切れを押し込まれ猿轡を噛まされ息苦しい。

 上げたくない声は抑えられるが、喉の奥から声が漏れる。

 周りはよくわからない、目隠しをされているからだ、目を潰されなかっただけマシかもしれない。

 左腕は、切り落とされてしまった。

 それを思い出し奏は熱に犯されている中であったが、焦燥感に襲われた。

 大切な左腕だったのに…。

「ふ、ふふ…この傷は…何処でついたのですか?」

 ツゥ…っと白い指先が奏の古傷の痕を這う。

 びくり、と大きく震えて奏は息苦しそうに喉の奥で唸った。

 奏は体格に似合わず色白だ。

 ゆえに傷跡がよくわかった。

「ふふ…」

 みこは目を細め、奏を見下ろす。

 屋敷の梁を利用して、奏の脚や身体を吊り上げるように荒縄が巻きついている。

 奏の一物や、その尻までよく見えるよう、脚は広げられ吊り上げられ、残っている腕は体を締める縄に絡められていた。

「あぁ、かわいらしいこと…こんなに蜜を零して」

「ッ!!!」

 先端から溢れる先走りを指で掬うように、裏筋をなぞる。

 その刺激に奏は大きく仰け反り、その勃起もより一層強まった。

「切ない…?触って欲しくて堪りませんか?お侍様」

 みこは微笑む。

「そろそろ触ってあげましょう?その毒で火照る身体もっと熱くさせてあげましょう」

 白い指がつぷり、と奏の菊座へ潜り込んでいく。

 奏の唸り声が大きくなる。

「殿方が悦ぶ場所は、ここでしょう?」

 くにっ…とその部分を指で弄ると奏はもっと激しく身悶えた。

「ふふふ、ふふふふ…」

 ギシッギシッと梁が軋む音がする。

「触って欲しいですか?お侍さま」

 耳元でみこが囁く。

「お侍さまのこの立派なモノを私に触られながら…出しとうございませんか?」

「うっ…う…」

「頷くだけで、その願い叶えてあげましょう?」

「っ……」

 奏は身体を一瞬硬直させるが、小さく首を左右に振る。

「ふふ…」

 みこは楽しそうに笑みを零す。



    ****



「あっはっはっ!お侍さま!そんなに腰を振って、どうなさいました?

 出したいのですか?それともねだっておられますか?」

「ふーっ…!ふーっ…!」

 猿轡をかまされている奏は何も答えることができず、ただ荒い息を漏らす。

 みこによる刺激に耐えていたが、それも限界に近かった。

 腰が刺激を、前の刺激を求めて揺れる。

 先ほどから行われる寸止めが奏の理性をかき乱すのだ。

 触って欲しい、そして楽にして欲しい。

「ふふふ…」

 猿轡が外される。

 どろりと、唾液が溢れて流れる。

「はぁっ…はぁっ…」

「どうしてほしいですか…?」

「ッ…う、ぁぁ…」

 言葉を出すのが嫌だと言わんばかりに奏は呻く。

「お強いのですね、ふふふ…」

「ひぐ!」

 再びみこの指が潜り込んで前立腺を刺激してくる。

 先ほどとは違い強く、虐めてやるといわんばかりの激しさで。

「あっあ、あぁっ…!!!!」

 奏は口を開き、だらしなく舌と唾液を垂れ流しながら甘い声を漏らす。

「涎をたらすほどに気持ち良いですか?ねぇ?気持ちいいと、おっしゃって…」

「あぁぁっ…!!!」

 ガクガクと震える奏。

 イキかけたが、再びみこの寸止めでイくことができなかった。

「おっしゃって…気持ちいいと…」

 耳元で囁く。

「キ、モチ…いい…」

「聞こえませぬ」

 みこの指がぐりっと中を抉る。

「ひぎっ…!きも、ちいい…!」

「もっと言って…そしてどうして欲しいのかを…おっしゃって」

「みこ、きもち、いい…みこ、たのむ、もうやめ、て…みこ…みこ…」

「解りました。もう止めます」

 クスクス笑いながらみこは奏から手を離す。

「あっ…!?」

「どうしましたか?お侍様」

「や、め…うぅ…みこ…みこぉ…」

「このみこにどうして欲しいのですか?」

「触って…辛い、もう…気が狂う…」

「あっはっは!面白いことをいうお侍様!みこにこうやって触って欲しいのでしょう?」

「ッ~~~~~~!!!!!」

 一物を握られ、指が先端を擦る。

 奏はだらしのない嬌声を上げながら身悶える。

「かわいい、かわいい…男は卑しくてかわいい…。ちょっと先を擦ってあげるだけでこうなる」

 勢いよく白濁が吐き出されるが、まだ奏のそれは治まっていない。

「みこ、もっと、さわって…みこ…」

「あぁ、わたしを求める奏さま…かわいらしく思います…」

 みこは目隠しを外す。

 奏の表情は完全に泣き顔で、みこの顔を見てますます顔をゆがめた。

「しかし奏さまには私よりも、あちらが良いのでは?」

「…?」

 みこの視線の先を追う。

「!?」

 目を見開く奏。

 そこには沙汰に羽交い絞めにされた巻がいた。

 恐れからなのかどうかわからないが、小さく震えて泣きそうな表情で奏をみていた。

「かなで、さん…」

「ま…き…」

 奏の表情が絶望に染まる。

 何故ここに?見られた?いつから?こんな有様を。こんな醜態を。

「あっはっは!妖怪に甚振られてこうなる男なのだ、お前が追っていた男は…」

「ひぃ!」

 みこに握り締められ、そのまましごかれ始める。

「あッ…あっ…やめ、やめてく、れ…やめて……」

 再び射精してしまう。

 身体が言うことを利かない。

 毒に犯されているからだと、言いたかったが声にならなかった。

 巻が沙汰に連れられて、奏の前に差し出される。

「小娘は」

 沙汰は興味なさげな表情で奏を見下ろしながら口を開く。

「お前の醜態に大層興奮していたようだな」

 怯える巻の着物の裾をたくし上げてその細い足を掴んで上げる。

 初めてみる巻のその秘所からとろとろと、透明な汁が流れ太ももを濡らしていた。

「いや…みないで、かなでさん、見ないで…」

 泣きながら巻がいう。

 横に居るみこがケラケラと酷く高い声で笑う。

「折角だ…奏さま…今宵は楽しく過ごそうではないか…

 私、奏さまが交尾してる姿が見たい…」

「いやっ…!」

 巻の悲鳴。

 しかし抵抗も出来ず沙汰に抱きかかえられ、そのまま奏のむき出しのそれへ腰を下ろされる。

「やめ、いやだ、いやっ巻は、関係ないっ…!巻は…!!!」

「きゃぁぁ…!!いたい、くるしいぃ…!!」

 奏に圧し掛かる巻の、その爪が奏の皮膚に食い込む。

「初物の味はどう…?きつくてきつくて…堪りませんか?」

「みこぉ…!!!」

「あっはっは!私の名を呼ぶだなんていけない男。

 小娘がかわいそうじゃありませんか…」

 みこは奏の顔を掴むとむりやり口をこじ開けさせて、そこへ自分の唾液をたらす。

 ただの唾液ではない、牙から出る毒が混じっている。

 みこの唾液をゴクリ、ゴクリと飲んでしまう。

 身体が、熱い。

 意識が遠のく。

 荒縄が、土蜘蛛の糸へ変貌していく。

「あっ…あぁ…」

 蜘蛛に喰われる―――



    *****



「はぐっ…う、ぅぅ…」

 巻は泣きじゃくりながら、もう声もでないのか、呻くことしかできずそのまま奏に押さえつけられ、

 揺さぶられていた。

 蜘蛛の糸が体中に巻き付いている。

 だから、逃げられない。

 逃げようとすればするほど身体に絡み付いて、絡み付いて…奏と絡み合ってしまう。

 何度も奏の熱を体内で受け止めた。

 お腹がパンパンに膨らんで、まるで孕んでしまっているかのようだ。

「奏さま、美味しいですか?」

 みこの声。

 みこが奏の頬を撫でている。

 虚ろな目の奏に反応はない。

「さすがの奏さまも…私の毒には勝てませんか…仕方ないですよね、浄化の力を失っているのですから…。

 ふふふ、そんなに小娘にがっついて…よっぽど好きなのですね…」

 みこは頭を下げて巻の顔を覗き込む。

「奏さまに抱かれて気持ちいいか?小娘」

「っ…い、たい」

「慣れるよ。その痛みが快楽と知れ。

 …ふふ、貴女は奏さまの子を孕むでしょう」

 目を細めるみこ。

 その下半身は大蜘蛛ではあるが、顔だけは美しく、聖母のようで…。

「何度も交尾させてやる…そして何度も孕め。そして、何匹も産んで。

 ひとつひとつ、食べてあげるから。それはそれは美味しいでしょう…」

 ゾっとする巻。

「沙汰は酷い男だ…私の蜘蛛たちを踏み潰すのだ…」

「あれは私とみこさまの子ではないので」

 先ほどから、少し離れたところで座って眺めていた沙汰がさらりと答える。

「誰の子だろうねぇ?」

「……」

 沙汰は答えない。

 しかしその顔は恐ろしいまでに冷たい無表情になっていた。

 みこは満足そうに笑みを零す。

 お前の子、なんだが…と小さく、ため息のように呟きながら巻へ視線を戻す。

「仲良くしよう?小娘…お前たちが死ぬまでの付き合いだ…ふ、ふふ…」



   *****



 巻は座敷の間に幽閉されていた。

 何もないそこは、音もない。

 畳の上に横になって、奏の左腕を撫でる。

 封印の札に包まれた奏の腕。

 奏自身は今も土蜘蛛の巣で陵辱の限りを尽くされているのだろう。

 会う度に奏は弱っていく。

 しかし狂っていない。

 自壊させず、ギリギリのところで保たせているのは恐らく、みこが奏を愛しているからだ。

 それは酷く残酷なことだ。

 しかし彼女は、愛しい者が壊れていく様を見てしまっている。

 だから余計に…きっと…

「奏さん…」

 ぎゅうっと腕を抱きしめる。

「小娘」

「!」

 顔を上げる巻。

 そこには沙汰がいた。

 この空間に来るときだけは本来の鬼の姿で来る。

 いつもの小豆色の着物ではなく、白装束に身を包み背中には後輪が浮いている。

 猛黒の家へ使いに行ったときに屋敷で見た南蛮の絵を思い出す。たしかあれは天使だったか。

「…あぁ、その前に」

 思い出したかのような呟きをしながら沙汰は後輪を掴むと巻にかざす。

 何が見えているのか、巻にはわからない。

「…」

 沙汰の顔が歪む、笑みに。

 ゾっと悪寒が走る。

「ふふ、オレにも分けてくれるといいんだが」

 沙汰は呟きながら巻の腕を掴んで引きずるように沙汰にしか開けれない襖を開き外へでる。

 沙汰の格好はいつもの格好に戻っていた。

 そしてこの場所はいたるところに蜘蛛の巣が張り巡らされている、みこの巣だ。

 そこで捕らわれている奏はみこの腕の中で情けなくも嬌声を上げていた。 

「みこさま、お連れしました」

「ふふ、奏さま…来ましたよ、今宵もあの小娘と交わってくださいまし?」

「まき、まき…」

 切羽詰った声で、表情で、奏は残っている腕を巻へ伸ばす。

 嗚呼、求めてくる…わかっているのか、孕めばその子は喰われるというのに。

 解っていないのかもしれない、聞かされていないのかもしれない、認識しようとしていないのかもしれない。

 土蜘蛛の毒に犯され続ける奏は、ただ巻の名を呼ぶ。
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