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猛黒くんが双子に襲われるIF話
「……」
 猛黒は引きつった表情でその現場を見つめる。
「あ、猛黒」
 気づいた禄が振り返りながら緩んだ笑みを浮かべた。
 その手は奏の脚を抑えているが。
 どこにそのような力があるのか、いや奏自身の力が失われているのもあるのだが。
 巻と奏は猛黒に気づいている様子がなく、甘い吐息やら楽しそうな笑い声やらが混じり合い猛黒は極力そちらは視ないようにした。
 むしろ部屋の中の酒気がすごい、黙って猛黒は襖を閉める。
「えー、猛黒も一緒に仲良くなろう?」
 いつの間に間合いを詰められたのか、開かれる襖の隙間から禄の手が伸びて猛黒の襟首を掴んでそのまま引き込まれる。
「おい!酒乱で淫乱の相手はしたくねぇんだよ!離せ!!」
「触れ合ってお互いの愛情を深め合ってるだけじゃないか。猛黒だって家来とやってるでしょ?」
「俺の家来を汚すんじゃねぇ!!!!」
「まぁまぁ猛黒も仲良くやろう」
「うぐぉぉぉ」
 引きずられていく猛黒。
 猛黒は巻に接吻をされる奏を見やるが、普段と違う様子にもう諦めた。
 酒に酔わされたのかそれとも別の手か、奏はいつもの仏頂面ではなく熱に犯され蕩けている。
 ただただ甘い喘ぎを漏らしながら巻にされるがままで、おそらく巻の名を呼んでいるようなのだが完全に呂律が回っていない。
 そんな奏の舌を巻は愛しそうに舌で触れて、味わう様に吸うのだ。
 巻に頭を抱きしめられながら吸われるたびに奏はビクビクと体を痙攣させていくのだが、蕩けた顔のその眼は正気ではない方向を向いている。
「ぷはっ…かなでさんかわいいですよぉ~ほんとうかわいい~~~」
 正気のない顔で唾液を垂らす奏のどこがかわいいのかと思う猛黒なのだが、酒の入った巻は無敵だ。
 ちなみに猛黒はこれが初めてではない。
 奏がここに来る前の話であるが一度不遇にも酔った双子に襲われてしまったことがある。
 それ以来双子の酒の席は逃げるようになったのだが、これはもうどうにもできなかった。
 奏の様子からするに、これが初めてではないだろう。
 共に生活をしているのだ、身体も慣れさせられているに違いない。可哀想にと同情する猛黒である。
 巻が奏から手を離すと、奏はぐったりと倒れこむ。
 甘い喘ぎは小さくなったが、意識はあるので求めるような呻きが聞こえる。
「猛黒いたの?」
「帰りたいんだが?」
「えぇー!奏さんと仲良くなりましょうよ!」
 巻は無茶なことをいう。
「えへへ、奏さーん!猛黒がきてくれたよ~」
「お前のためにきてねぇよ!!!」
 巻は奏を引っ張り起こし、寄りかかってくる奏を抱きとめる。
「……」
 奏は猛黒を見るのだが、特に何の反応もなかった。そうだろう、奏の興味は巻にあるのだから。
 むしろ二人でちちくりあえと猛黒は思う。
「きもちよくなろうね~」
 禄はそんなことを言いながら猛黒を後ろから抱き込みながらズボンを脱がしてくる。
 こういう時、自分に魔物の血が入っていることを恨んでしまう。何かしらの術で体の自由を奪っていくのだ。
 今手足の自由がきかない。
「奏さぁん、猛黒のやつをかわいがってやりましょう!」
「…ぅ」
 奏は巻の言っていることを理解しているのかいないのか、よくわからない反応しつつ頭を下げて剥き出しの猛黒のそれへ口をつける。
「やーめー!!!おい!するな、やめろ!!!!禄、お前こいつに薬とか使っただろ!!?」
「……」
 無言の微笑みは肯定だ。恐ろしい。
 たとえ熱に冒されていても意識があれば抵抗する。
 何も考えてない感じに猛黒のそれを咥えるのは薬で正気がなくなってるか本当にバカになってしまったかだ。
「くそがー!」
「えへへ、猛黒かわいいねー」
 禄は笑う。
 本当こいつ性格悪いなと猛黒は思う。
 可愛がり方がおかしいのだ。酔うと、という前提があるが。
「んふふ、奏さぁん。もっと頑張らないといれないよ?」
 巻が太い張型を持って、その先端で奏の尻の間を這わせる。
「っひぅ」
 息を呑む奏。
 腰が浮いて誘う様に揺れるのが、完全に調教されてしまっているというのが解った。解りたくない猛黒だった。
 しかし禄の眼で調教されれば抵抗できないだろう、どんな不感症も淫乱にされてしまうだろう。恐ろしい眼なのだ。使い方を間違っているが。
 奏は欲しい一心で先ほどよりも必死さを出して猛黒をイかそうと口淫にふける。
 しかし素直にイキたくない猛黒も必死に抵抗をする。
 途中から禄の指示も出始めて、それは反則だと思いながら猛黒は奏の口の中で熱をぶちまけてしまう。
「うぅっ…」
「飲み込んでくださぁい」
「んぐ、ぅ…」
 涙を流しながら奏は絡みつくような精液を飲み込み、息を吐く。
「上手ですよ奏さん、欲しかったこれたっぷり味わってくださいね?」
「ひぁっ…あっ…ぁぁぁ……!!!!!」
 猛黒の上で身悶えはじめる奏。
 完全に仕込まれている。もう巻の思うがままに善がり狂ってしまうよう仕込まれているのだ。
 そこまでされてしまっているのは、巻の旦那になるのだという禄の確信だろう。
 絶対に逃がすものかという、そういうものを感じる。
 たしかに巻の旦那を逃せばもうないかもしれない。
 自分は巻の旦那には絶対なりたくないし。奏も巻が好きならちょうどいいではないか、結ばれろ。と投げやりに思う猛黒。
「ふっふっふ、猛黒まだ終わってないからね?奏さんにもっとしゃぶってもらおうね?」
「いやだー!!!」
「えへへー、嫌ならこの捕縛の術を抜けてみなよー」
「くそがー!!」
    *****
「すっごい頭いたい…」
「奏さん、またお尻痛いですか…?」
「……」
 二日酔いで倒れている双子と、薬による頭痛とケツの鈍痛に伏せっている奏。
「いやー、なんだかやりすぎた気がするけど覚えてないねー」
「気持ちいい気分だったのは覚えてるんだけどねー」
「……」
「覚えてろよ!!!!」
 猛黒が怒鳴りながらお粥を運んでくる。
「猛黒、黙って」
「貴方の声頭に響くのよ」
 酷い双子の言い分に猛黒は余計に怒鳴りつつしっかり3人分よそっていくのでしっかりしつけられている。
「猛黒、僕たちどんなことしてるの?」
「はぁー?淫乱すぎて口にすると俺が穢れるわ」
「一体どんなことを…」
「いいたくねぇ」
「でも気持ちいい気分だから悪くないと思うわ」
「そうだね」
「……」
 奏は沈んだ表情でお粥を見つめている。
「退魔師…まさか…」
「……」
 スっと猛黒から顔を背ける奏。
「おい…まて…覚えているのか…やめろ…忘れろ…俺の尊厳のために忘れろ!!!!」
「無理だ…」
「やーだー!!!!わすれろー!」
「猛黒!黙って!」
「響く!響くわ!!」
 暴れる猛黒に頭を押さえながら叫ぶ双子。
 奏はぼんやり思い出せる恥ずかしい光景を極力思い出さぬようにしながらお粥を食べようかと思うのだが、やっぱり思い出してしまうのである。
  
 
 
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