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百鬼夜行奇譚

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吸血セックス

 猛黒が新大陸に渡って数十年経つ。色々あったが今は屋敷ではなくアパートに住んでいる。
 家来の数が減ったせいもあるが、こっちの方が拠点を移しやすいのもあった。
 六花と轟は消滅いて今生まれ変わって人生をやり直している。
 火雷姉弟は地元に残っている。あっちはあっちでの拠点がいるのでその管理だ。
 竺と漆発はこちらでの商売を任されている。昔からのことなので慣れたモノだ。
 そして静堂と切は猛黒と共に暮らしている。
 もともと二人は拠点を移しながら生きてきたので、今の生活に不満がない。

(俺の体が大人だったらなぁ…)

 未だに猛黒の身体は成人してくれない。
 本人もよくわからない。
 ともあれ成長しないので、不信がられる前に引っ越すのだ。
 スクールには通ったり通わなかったりその時の猛黒の暇つぶしの気分で決まる。

「なんだ、まだ切は帰ってきてないのか」

 猛黒はカバンをソファに投げ捨てて冷蔵庫からミルクを出して飲む。

(…あー、切は仕事か)

 生活費は漆発からの仕送りがあるので困ってはいないのだが、暇は暇なので小遣い稼ぎをして暇をつぶすのである。
 切は何の仕事をしているのかは知らないが、遅くに帰ってきたり朝に帰ってきたりと夜行性である。

(メシは冷凍で済ませるか)

 ご飯を食べるのが自分だけなので適当に冷凍食を処分する。





「おはようございます、猛黒さま」

 夜、静堂が部屋から出てくる。
 吸血鬼の彼は今からが一日の始まりである。

「ご飯食べましたか?」
「おう」
「宿題は終わりました?」
「終った」
「お風呂はお済に?」
「済んだ…って」

 猛黒は呆れた表情を浮かべる。

「飲みたいのか?」
「そろそろ飢えてきまして…」
「ホントかよ」
「……猛黒さまの血が美味しいので、我慢が」

 視線を泳がせる静堂。娯楽で血を飲むのはハシタナイと思っているのである。
 猛黒的には娯楽だろうが食事だろうが欲しくなったら飲めばいいと思う。

「素直にそういえばいい」

 猛黒は静堂の部屋に向かう。
 広くない部屋には棺桶とベッド。これだけで圧迫感がる。
 シャツを脱いだ猛黒はベッドに上がる。
 上半身は裸になる、そうじゃないと服が血で汚れるか裂かれるかしてしまう。
 吸血を繰り返しているうちに、静堂の握力が上がってしまったのである。
 数百年もかけていれば仕方がないのだが。

「コウモリ姿で吸われた方がこっちも目で楽しめていいんだけど」
「いやです!!」
「別にいいじゃん」
「こっちの姿が気に入ってますので!」
「わかったわかった、さっさとしろ」
「で、では失礼して…」

 静堂は恐る恐るといった感じで猛黒を抱き寄せて首筋に噛みつく。
 ブルッと震える猛黒。
 気持ちがいい―――昔は何も感じなくなっていたのだが、どうも心を許してから抵抗しなくなったのか、吸われれば吸われるほど気持ちよさが増していた。
 それを静堂に言ったことはない。言うともう吸わなくなりそうで。
 となると誰か…切あたりに噛みつきはじめると思う。それはそれで猛黒は面白くなかった。
 家来の世話がしたいのだ。
 出来なくなる、というのが悔しかった。

「ンッ…んっ…ッ」

 猛黒は唇を噛みしめて声を我慢する。
 静堂も最初はただ噛みついて吸うだけだったのに、慣れたころからは味わうのを本能的に長引かせているようで溢れる血を舐めるようになっていた。
 本人に注意したことがあるが覚えていないらしい、無意識の行動なのだろう。
 そもそも吸血中のことは興奮していてあまり覚えていないそうだ。
 とりあえず仕返しに変態と言っておいたらショックを受けていた。

「は、ぁ…」

 静堂が口を離して舌を伸ばし溢れる血を舐めはじめる。

「ふっ…ぅっ…」

 猛黒は静堂の袖を握り締めて涙を滲ませる。
 静堂の手が少しいやらしく感じるのは催淫効果のせいなのだろう、ただ静堂は身悶える猛黒を押さえたいだけだろう。
 解ってはいるのだが猛黒は静堂の手の動きにビクビクと震えて逃げようとしてしまう。
 押し倒される形になり、猛黒は思わず顔を背けて抜け出そうといてしまう。

「ひぅっ!」

 静堂の指が口の中に入ってくる。
 残った静堂のもう片方の手は猛黒の頭を押さえていた。
 舌が首を舐め、別の部分も味わいたいのか耳を甘噛みしてくる。

「あっあ、あぁぁぁっ…」

 耳が熱い。
 猛黒はぼろぼろ涙を流しながら我慢しきれず声を上げてしまう。

「しぇぃ、ど…や、ぁ…んうぅ…!!」

 顔を振り向かせられてキスをされる。血の味がする舌が、熱い。
 舌もズキズキしてきた、静堂の歯が当たって切れたのかもしれない。
 ズキズキとした感覚は脈を打つような感覚に変わっていき、ゾクゾクとした快楽になってしまう。

「ひっ…ぅ、ぅぅんぅぅ…!!」

 気持ちがいい、不味いと思う。このままでは静堂のペースに呑まれてしまう。
 身悶え、逃れようと足をバタつかせるが意味がない。
 何もなければ静堂ぐらい押し返せるが、今の状態では無理だ。
 催淫効果で静堂への抵抗力が削がれていく。

「しぇぃ…どぉ…」

 呂律が回らない。
 抵抗するために静堂の頭を掴んでも、髪をくしゃくしゃにするだけだ。
 静堂は垂れて流れた血を辿って肌の上を舐めまわす。
 胸元や腹を熱い舌が這う。
 腰がゾクゾクした。

「…はぁ、もうこ、さま…」

 静堂は愛しそうに猛黒のズボンを剥ぎ取ってしまう。

「や、め、嫌…しぇぃど、やぁっ…」

 猛黒は震えるが静堂は脚を押し広げて太ももの内側を噛んだ。

「ひっ!」

 猛黒は手で口を押えながら仰け反って震えあがる。背筋に電流が走っているのかと思うぐらいに猛黒は震えた。
 静堂の吸血が長い。

「ひぃっ…!やめ、しぇぃど、そこはぁ…」

 もう蕩けた表情で猛黒は静堂に訴える。

「猛黒さま…お辛いですか…?興奮してますね…」

 静堂もうっとりした表情で猛黒を見る。そして猛黒のナニへ手を添えた。
 可愛がるように撫でながら舌を這わせはじめる。

「ぅぁっ!あ、あぁぁぁぁぁ!!!!」

 性的な刺激に猛黒は悲鳴を上げながら悶えた。
 我慢なんてできずに白濁を吐き出してしまう。

「猛黒さま、良い顔ですね。ご満足いただけてますか?ふふ、美味しいですよ猛黒さま」
「しぇぃ、手、離し、っ…しご、くなっ…」
「何故ですか?気持ちいいでしょう?」

 いやらしく手が動く。とろとろになっている先端を指の腹で擦って強い刺激を与えていく。

「や、やぁ…」

 下半身を解放してくれなくて猛黒は首を左右に振ることしかできない。
 しかし静堂は微笑むだけで猛黒のナニを指で扱くのを止めない。そのまま扱きつつ再び血を吸い始めるのだ。

(癖になるっやめろ、頭おかしくなるっこんなの覚えたら、もう…!!!)

 下手に意識を飛ばすことができない自分が憎い。このまま快楽に耐えきれず意識が飛べばどんなに楽か。
 飛ばすこともできず、猛黒は快楽に浸る本能と抵抗する知性に苦しんだ。
 静堂はもう正気ではないだろう、吸血衝動に駆られるがままだ。
 貧血気味になってきた身体がダルい、頭がボーっとしてきたので少し楽になった、このまま気絶してしまいたい。
 しかし今度は反対側の脚に快楽が走る。

「や、あぁぁ…!!!」

 猛黒は泣きながら体を仰け反らせて身悶えた。



  ****



 静堂は床に正座して青い顔をしていた。

「変態ジャン!いい年して節操ナシ!えろいことしながらご飯とか変態のすることジャン!」

 静堂の頭の上で切が怒鳴っている。

「う、うぅ…」

 事実なので何も言い返せない静堂。

「しばらく輸血パックジャン!」
「輸血は不味いから嫌です…」
「だからって若様はドリンクバーじゃないジャン」
「ドリンクバー…」

 切の表現になんとも言えない表情になる猛黒。まぁ飲み放題なのは間違っていないのだが。

「切、もういい。」
「でも若様ぁ」
「静堂、バツとしてしばらくコウモリの姿になれ」
「ええー!!??」
「な・れ」
「そ、そんなぁ…」

 コウモリの姿に戻る静堂。
 そのままキャッチしてベッドに寝転がる。

「若様!オレも寝るジャン!」

 何故か虎の姿に戻った切もベッドに上がってくる。
 もふもふしている。二人とも。

「…私まだ眠れないなぁ」
「添い寝の刑だよバカ」
「うう…申し訳ございませんでした!!!」
「次から気をつけろよ」
「はい!」


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