六道に凌辱されたあとは体がボロボロになる。
縛られて押さえ込まれているので体の至る所の痣が痛い。
不王の作った薬や六道自体から溢れる瘴気を使われるので身も心も重い。
六道の鋭く尖った骨そのものの指先が肌を抉るので裂けたところがぢくぢくと痛い。
上げさせられた悲鳴で喉が痛い。
「う、あ…」
ベッドからずり落ちて、床に手をついて倒れるのを堪える。
体を清めたい。しかし体はガクガクと震え始め様々な痛みが動くことを拒む。
「起きたか」
声に体が震える。まだ冷めぬ熱がぶり返してきた。その体の震えに別の意味が加わってしまう。
シャワーを浴び終えた六道が部屋に戻ってきた。
いつもなら入れ替わりで不王がきて世話をしてくれるのに。
まだ遊び足りないのだろうか、六道の目は感情を写さず虚ろいでいるのでわからない。
「そういう顔する?まだ足りねぇんだ?」
口端を釣り上げて笑みの表情を形どる。
「ちが、う…いらない」
言葉を絞り出す。もう体は限界を迎えているはずなのに熱は上がっていく。
「不王の薬が効きすぎてるのか?あぁ、あとで搾り取るつもりだったのか。まぁいい、あいつは今ミイラに戻ってるからな」
「なら、行かないと…」
ミイラの状態でも動くことはできるようだが、ここに来ていないということは動くのもままならない状態なのだろう。
金輪の血(体液)で一時的に解呪となる。
「すぐに死ぬわけじゃない。いいだろそんなのあとで。」
「うっ」
六道に蹴られ金輪は床に崩れる。
「ほら、いつものようにおねだりしろよ。いれてくださいって」
「ッ…」
金輪は顔を赤くして六道を睨む。
「なんだ、ちょっと正気に戻ってるのか。薬のせいで解りづらいな…。狂って俺に従順になるお前も今のお前もどっちでもいいが」
「あ、あっ…」
異次元から伸びてきた無数の骨の手が両足を掴み開かせる。
「そうだな、すぐ狂わせるのも面白くねーな…」
六道は自分自身の両腕を骨の手から普通の人間の手へ変化させる。
そうして行為によって緩み再びヒクつきはじめてる秘所に指を2本挿入する。
「やめ、…やぁっ…」
身じろぐ金輪だが腰を浮かすことしかできず、その腰もまた伸びてきた骨の手によって押さえつけられた。
「ひっ…」
指が感じる所を刺激し始める。それだけでも金輪は全身を震わせるが六道のもう片方の手は金輪のナニに指を這わせ始める。
薬により快楽に抗うことなどできず、先走りが溢れてきた。
暴力的ではない純粋な快楽に金輪は戸惑い、涙が勝手に溢れてくる。
「指だけで満足か?犯されたいだろ?」
「はっ…あ、ぁっ…」
金輪は必死に首を左右に振るが六道の手の動きに仰け反る。
欲しくて欲しくてたまらない、六道の指を無意識に締め付けてしまう。いつの間にか腰の抑えは無くなっていて淫靡に腰を揺らしていた。
「違、ちがう…おれは、こんな―――」
「欲しがってんだよ、お前は」
六道は指を引き抜き自身のナニを捻じ込んだ。それを待っていたと言わんばかりに金輪の口からは嬌声が漏れ中は蠢きながら締め付けてくる。
「抜い、て…ッこんな、いや、きもちよ、く、なりたくっ…なっア…!!!」
激しいピストン。高まっていた金輪は耐えれず絶頂し再び流し込まれ始める六道の瘴気に金輪の視界はぐちゃぐちゃに歪む。
六道と一つになったかのような感覚―――自分がもっとひどくなればなるほど六道の悦びになる、それに対しての自身の悦びが強くなってくる。
視界が歪む。見ているのは六道なのに別の誰かを見ているかのような。
視界が歪む。これは誰が見ているものなのか解らない。
思考が混じり合う。六道に残っている、微かな、小さな、誰かの、欠片。
記憶が混じり合う。誰かの欠片と。
それはたまたま手に届いたから。
それはたまたま金輪と同調しただけ。
六道も金輪も望んでいない。欠片の再生。
悦びに満ちた狂気の笑みを浮かべた金輪は床に転がっていた愛用している短剣を鞘から抜いて六道に差し出した。
「「どうぞ司祭様」」
六道と金輪の台詞が重なった。
見ている視界には六道と同じ顔をした青年が悦び満ちた狂った笑顔で儀式用の短剣を差し出している光景だった。
六道は苦痛に顔を歪ませて金輪の手から短剣を払いのける。
胸が苦しい、骨しかないのに胸が痛む。
「円迦は贄じゃない」
正気を失っている金輪の頭を掴んでキスをする。
六道の舌は体温がなく冷たさがあった。その舌が熱くなっている金輪の舌と絡む。
金輪の腕が、脚が絡んでくる。
「もっと…ろく、どぉ…もっとぉ…」
「……」
快楽を求めて呻く金輪の首筋に歯を立てながら六道は腰を動かす。
「あぁ、ああぁぁ…」
金輪は焦点の合わぬ目で声を漏らし唾液を垂らしながら身を跳ねさせる。
「お前、キス好きだろ?ずっとしててやる」
「んぅ、ぁ…」
六道に引き寄せられて再びキスをされ始めて金輪は酸欠気味の苦しさと快楽に意識を失うまで堪能させられた。
六道はボロボロの金輪を抱えて不王の部屋に向かう。
ベッドの上で不王はミイラになっていた。
『骨よ、お前が下郎を殺してしまっていないか心配だったぞ!』
「ならくればよかったんだ」
『足止めしてきたやつがいうことか?下郎に対しての執着心が強すぎる。お前の贄ではない!』
「…解ってる。あんまりうるさいと血じゃなくて小便にするぞ」
『やめろ!!!!我にそういう性癖はないといっておろうが!!!!!!!』
六道は金輪の血を収めた小瓶の蓋を開いて不王に注いだ。血は沁み込んでいき不王の体は生きている人間になる。
「まったく…下郎をよこせ」
「お前の薬が効き過ぎた」
金輪をベッドに寝かせる不王に六道が呟く。
「瘴気で弱らせれば誰でもこうなる。我のせいではない。今から体を清めるから邪魔をするなよ」
「なぁ、俺はお前からどう見える?」
「輪廻転生から外れて転生できぬ亡者どもの寄り集まりだな?」
「…だよな」
「何か思い出したか?思い出せるほどの思い出があったのか、他人の記憶なのか、我にはそこまでわからぬが。
冥府神官としては、お前は無意識に生前の行為をなぞっているように見えているぞ。それを下郎に押し付けている節はあった。
何があったのかは聞かないが、それに気づいてしまったか。ならばもう押し付けることを自制せよ。
生前の行為を他人に強要しても生まれるものはなにもない、終わってしまっていることだからな」
六道の核となった青年テスタの記憶の断片を金輪がトレース(追体験?)してしまったという話ですね
テスタは邪教団の施設で生まれた生贄用の子供で生贄用に育てられたので倫理観はないです。
邪教団サイコー!邪神様に命捧げるのが使命ー!って素で思ってる。
六道は核になったのがたまたまテスタだったという認識なのでちょっと他人感覚