疑似セックス
「お前も自分(オレ)も、お互いにツガイを得たな。
いまそのツガイたちはツガイ同士でお楽しみ中」
「そーですね」
「我々も楽しんでいいんじゃないか?」
「貴方暇なだけでしょ」
海難法師は赤嶺の手をペシリと払う。
「暇だぞ〜お前も暇だろ?なーなー慙愧ぃ」
「ちょ、河童に聞かれたらどうするんですか」
「大丈夫大丈夫、ここ二人っきりだ」
赤嶺は海難法師を抱きしめる。
「うぅぅっ」
触れられただけでゾクゾクとした刺激を味わってしまい海難法師は思わず呻いた。
悲鳴を上げなくてよかった。
原理はまったくわからないが、赤嶺はこうやって妖気を放出して器用なことをしてくるのだ。
もちろん常日頃からこうではない、その辺は弁えている模様。
しかしこうやって誰も来ないと踏んで二人っきりになったときに絡んでくる。
懐かれているのかもしれない。
妖怪が仲良しこよしというのも変な気分だが…しかし化け蟹と牛鬼は友達らしい。
自分たちのようにおかしな関係にはなっていないようだが…。
むしろこれは我慢合戦というか、マウントの取り合いというか…。
「慙愧ぃ、あの飛頭蛮の髪キレイだよな、お前がやってるんだろ?」
「えぇ、まぁ…うっぅぅ…」
のっしりと覆いかぶさってきて、海難法師は俯せに倒れこむような態勢になってしまう。
「自分気になってたんだけどさ、飛頭蛮と交わってないようだけど…」
実際は交わっている、二人で密やかになので赤嶺が知らないだけで…。
しかしそれを教えてあげる義理もない。
「そういうのより愛でたいんです…けどっちょ、赤嶺っ」
赤嶺が着物に手をかけてきたのでさすがに焦る。
「ん?溜まってないかなって」
純粋な顔で言わないでほしい。
「あのねぇ赤嶺…私は人間じゃないんですから、そういう感覚は人間と違うんですよ?」
「慙愧はお魚から妖怪になったのか?」
「またそういうこという…ミノカサゴじゃありませんから!」
「気にしてる気にしてるハッハッハ許せ許せ」
「自分勝手な…うっ!」
だらだら話しながらも上半身が剥かれてしまった法師の背中に赤嶺の手が這う。
「ウロコウロコ〜」
なんて呟きながらその肌触りを楽しんでいるようであるが、法師はたまったものではない。
「ヒレ!」
「ひろげんな!」
「可愛いからつい。痛かった?」
「ワザとだ…絶対ワザとだ…」
「はっはっは!慙愧は面白いからさ〜」
赤嶺はにやにやしながら法師を仰向けにして両足を押し広げた。
「え、まってください!」
「やだね」
「ッ〜〜〜!!!!」
挿入もなにもない、ただ赤嶺が密着しこすり付けてくるだけだ。
なのに電撃のような強い衝撃と快感が体中を走り回る。
「ひっ…ぅぐ、っぅぅ…!!!」
「慙愧は自分にこうされるの大好きだろ?気持ちいいだろ?」
「貴方、ねぇ…!」
「本当の性行もしてやりたいが、この身体はテルミの物だから…ごめんな慙愧。
でもたっぷり注いで満足させれるから安心しろよ」
「勝手なことばかりいうんじゃ…なぁっ……!!!!」
大きく仰け反る法師。
「あ、あぁっあぁぁっ!!!」
「お、いいぞ慙愧。声出て来たじゃん?生娘には程遠いけど」
「やめ、動くの、ああっ離れるの、だめ、ですからっ…そうされると、身体が…」
「ふふふ…それっぽい動きしないとヤってるようにみえないだろ?」
言いながらも赤嶺はしがみついてくる法師を抱きしめてよしよしと宥める。
「あぁ、赤嶺…弱めないでください…」
「慙愧はよく食べる」
「…全部くれてもいいんですよ?」
息を切らしつつも、法師は赤嶺を見上げながら苦しげに笑う。
「さすがにそれは自分が死んでしまう」
「紫鬼に集めさせればいいでしょう」
「浮気してましたといってるようなもんだからそれは無理」
「ほう、浮気と自覚していると」
「浮気ごっこかなー?」
「貴方のそういういい加減なところは直した方がいいかと…」