ジャックごはん


 柳風は妖怪どもに育てられた経緯から食事に対してこだわりがある。
 美味しいものが食べたい、状況によっては妥協はしたくない。


 陸槍大和はよく食べる方なので食べるなら美味しいものを口にしたいタイプである。
 食べるものがなければ我慢できるがあるならばそっちを食べたい、そういう感じ。



「…なんで二人とも私を見ているのかな?」

 ジャックは困惑気味に、胡乱げに見てくるリウと無の表情の大和の双方を見る。

「一応山の中だけどサ…その辺の草とジャーキーで食事し始めるヤツ初めてみたアル」
「食べれる草だよ、これは食べれる草」
「さすがにジャック殿全肯定の某でもこれは擁護できません。
 もっとエネルギーと味を考慮しませんか!考慮しましょう!火とか使いましょう!水もあります!」
「ジャーキー入れてスープに?」
「お前がやるとただのジャーキー汁になりそうなんだヨ!!!」

 リウが叫びながらドンッと自前の小鍋を石で組んだ竈に置く。

「お湯でふやけたジャーキーを啜るのはちょっと…」
「大和、オマエ米もってるだろ出せアル」
「はい」

 二人でアウトドアクッキングを開始し始める。

「これで十分だと思うけどなー」

 食事の感性がワンパン退魔師(江戸時代)と同じジャックは首をかしげるばかりだ。
 もちろんこのあと出来上がったものを食べさせられたが、美味しいという感想は抱くものの自発的に改善する意思まではいかなかった。
 なのでリウと大和は思った、我々がいるときだけでも食事の主導権だけは握らせてはいけないと。