突然の暗転。
 突然の豪雨。
「ぴゃ〜っ」
 女子高生レンは森の中を走る。
 森のお散歩中に突然のご機嫌ナナメお天気に遭遇してしまったのだ。
 雨に驚いたレンはジグザクにデタラメに走る。
    
    「あ、なんか雨宿りできそう!」
    
     ぼろぼろな神社を発見する。
 素早く屋根の下へ走り込んで一息つくレン。
 空の様子を見ながらレンは困ったニャンとしょんぼりしているとギィ…という物音がした方へ視線を向ける。
 お堂の扉がゆっくりと開いていく。
 なんだろー?とレンは呑気に眺めているとぬるっと黒い影が出てきた。
 そして相手に目はないが視線がバッチリと合った。バッチリと。
    
    「にゃっにゃーーーー!!!!」
    
     ない尻尾をボフボフに膨らませながらレンは飛び出していく。
 それを追いかける黒い何か。
 レンは森の中へ再び突入し駆ける。
 雨水で滑りやすくなっていようが木の枝や根っこが足元の邪魔をしようがレンはぴょんぴょんぴょんと天狗の様に軽やかに走る。
 黒い何かは焦った、ただの女子高生じゃないことに気が付いてしまったが、追うことを今更とめられない。
    
    「ふにゃ!?」
    
     きのこを踏んづけたレンは尻もちをつく。
    
    「パンツがびちゃびちゃ〜〜〜〜!!!」
    
     女子高生らしくない叫びをあげるレン。
    
    『―――』
    
     黒い何かは歓喜の声を上げる。しめた、捕らえることができると。
    
    「ぬ、ぬぉー!お経!お経を唱えればいいってお義父さんいってたしー!」
    
     レンは渡されていた数珠の存在を思い出しそれを握りしめながら振り返った。
    
    「くいあらためよー!なむさーん!」
    『!?』
    
     まったくお経でもなんでもない南無三パンチを食らった黒い何かは吹っ飛んだ。
    
    「うし!」
    
     レンは立ち上がる。
    
    「ひぃん…ぱんつびちゃびちゃあ…」
    
     猫は濡れるのが嫌。
     しくしく泣きながらレンは帰路につくのであった。