いちゃいちゃ赤嶺テルミ。
「テルミ」
赤嶺はそう呼びながら輝美の髪を弄る。
彼は「てるよし」と呼ばずワザと「テルミ」だなんて女の子のように呼んでくる。
輝美はあまりその呼び方は好きではなかったが慣れた。
もともと女顔寄りであるから気にしてしまうタチではあるが、赤嶺に言われるとなんだか許してしまう。
お互い体つきは鍛えてるせいもあって男だ。
ただ輝美はその名前と綺麗な顔がどうにもできなかった。
赤嶺は男性を象徴する性器がなかった。
お互い欠けた部分を持っていて、そしてお互いピッタリと、隙間が合わさっただけなのだ。
だから一緒にいる。
赤嶺は輝美を一生の伴侶と決めたようで、作り物ではあるが男性器を手に入れた。
カタチのモデルは輝美のそれだ、悪趣味だと輝美は思った。
「昨日アケミのコイビトに色目使ってたろ」
「なんだ嫉妬か。」
輝美は赤嶺の手を握って振り返る。
その表情は怒った風でもない、そもそも赤嶺が怒っているところを見たことがない。
朱海の恋人というのは大津ナミのことであろう。
彼は確かに魅力的であった。
朱海が惚れるのも無理がないほど彼は惹きこんでくる何かを持っている。
もし、赤嶺と出会う前に彼と出会っていたら自分は彼に惚れこんでいただろう。
赤嶺との関係がカッチリと合わさりあう歯車のようなモノだとしたら、
彼は自分の心の隙間に入り込んでくる、そういう存在だ。
「俺はお前ナシじゃ生きていけない」
「…」
キスをすると、赤嶺は満足そうに目を細める。
「捨てないでくれよ赤嶺」
「捨てるわけないだろ、かわいいテルミ」
クスクス笑いながら、赤嶺は輝美の頭を撫でた。